最近SNSなどでよく見掛ける「私得」とは、一体どのような意味の言葉なのでしょうか。
本記事では「私得」の詳しい意味や成り立ち、例文を交えた具体的な使い方を紹介。「俺得」「僕得」などの類語や言い換え表現、反対語、「我得」との違いもまとめました。
「私得」とは? 意味や読み方、語源を解説
早速、「私得」の意味や読み方、語源を解説していきます。
「私得」の意味
「私得」とは、「自分にとって得である」という意味のネットスラング、俗語です。自分の好きなものや趣味に合っているもの、有益だと思うものに、ぴたりとあてはまるものに対して使います。
例えば、自分にとって好きな作品や情報などがあったときに「これは私得な作品(情報)だ」といった感じで使います。
万人に好まれるものに対してというよりは、他の人にとってはあまり価値がないものだが、自分にとっては価値が高い、というときに多く使われます。
「私得」の読み方
「私得」は「わたしとく」と読みます。ときどき「しとく」「わたしどく」などと読む人がいますが、それらの読み方は一般的ではありません。
「私得」の語源・成り立ち
「私得」は、「誰得」に関連して生まれたものといわれています。
「誰得」とは「誰が得をするの?」という意味の言葉です。もともとはインターネットの掲示板である2ちゃんねるで使われることの多かった表現です。
例えばニーズが少なく、誰の利益にもならないネタや情報に対して、「このネタ(情報)は誰得なの?」という使い方をします。
そして「誰得(誰が得をするの?)」に対する答えとして、「私得(私にとっては得になりますよ)」という言葉が生まれたといわれています。
「私得」の使い方と例文
例文を参考に、さらに使い方のイメージを膨らませましょう。
「え、わさび味だけこんなに余っているの? 私得すぎる! もらっていい?」
例えばお歳暮でチョコレートをもらって、みんなで分け合ったとします。
みんながミルクチョコレートやダークチョコレート、ホワイトチョコレート、ナッツ入りのチョコレートなどスタンダードなものを選び、変わり種のわさび味が残ったとしましょう。
もしあなたがわさび味のチョコレートが好きだという少数派である場合に、この例文のような使い方ができます。
「このお土産は私得すぎるから、自分用に買っていこう」
旅行先で、ご当地キャラのお土産があったとします。
そのキャラクターがあまり有名ではなかったり、人気がなかったり、一癖あったりするけれど、自分は好きだという場合にこの例文のような使い方ができます。
「推しと推しが挨拶し合ってるなんて私得だよ」
例えば、自分の好きな人(A)と、自分の好きな別の人(B)が、たまたま一緒になってコミュニケーションを取っているとします。
自分からすると、AさんやBさんが単体で存在するだけでもうれしいのに、一緒にいるということで喜びが倍増していることを表現した例文です。
「今日のスタメンは私得でしかない」
この例文は、スポーツ観戦に行って、自分の好きな選手がたくさん出場していてうれしいときに、「私得」を使うパターンです。
こちらも自分にとって喜びが増していることを表しています。
「先ほど投稿したイラストは私得です」
「私得」は、自己満足の場合にも使用します。
例えば一般ウケしないようなマニアックな作品を制作して、SNSに投稿する際などに、例文のような使い方をすることで、あくまで自己満足であるということを伝えられます。
そうすることで「誰得だよ」と言われるのを防ぐことができるでしょう。
「これからは、周りの目より私得を優先する」
こちらの例文も自己満足という意味合いで「私得」を使用しています。
大多数に受け入れられそうだから、無難だからという選択肢ではなく、誰に何と言われようが自分にとって良いと思う選択肢を優先したい、という気持ちを表しています。
「私得」と「我得」との違い
「私得」と字面が似た言葉に「我得」があります。
「我得」は中国語で「私がやらなければいけない」という意味です。例えば「我得亲眼去看看」であれば、「私が自分の目で見なければならない」という意味になります。
SNSなどでも「私得」と同じ意味で「我得」を使っている人もある程度いるので、完全な間違いとは言い切れませんが、この使い方はあまり一般的ではないようです。
中国語が分かる人には意味を勘違いされる可能性もあるので、「自分にとって得である」ということを表したい場合は、「我得」よりも「私得」を使った方が無難と言えるでしょう。
「私得」の類語・言い換え表現
「私得」の類語や言い換え表現も押さえておきましょう。
俺得・僕得
「俺得」は「俺が得する」、「僕得」は「僕が得する」という意味で、「私得」とほぼ同じ使い方ができます。
私にとっては得だ・私にとってはうれしい
「私得」は新しくできた言葉であり俗語なので、広く一般的に意味が浸透しているわけではありません。
「私得」が通じなさそうな相手と話す場合は、「私にとっては得だ」「私にとってはうれしい」などと言い換えるといいでしょう。
また意味が通じそうであったとしても、目上の人に対してや、フォーマルな場で砕けた言葉を使うのはあまり望ましくはないので、そういった場合にも言い換えることをおすすめします。
「私得」の対義語
「私得」の反対の意味を持つ言葉も、一緒に覚えておきましょう。
誰得
「誰得」は前述のように、「誰が得をするんだ?」という意味の言葉です。読み方は、そのまま「だれとく」と読みます。
例えば知名度が低いコンテンツや人気が低いコンテンツが出てきたときに「そのコンテンツに喜ぶ人は誰もいないでしょう」という意味で、「そのコンテンツ、誰得?」のような形で使います。
また好みが特殊すぎて誰の嗜好(しこう)にも合わなさそうな場合、場所や時代が不適切である場合などにも「誰得」を使います。
ただし好みは人それぞれですし、誰しも周りの評価のためにだけ動いているわけではありません。相手の言動に対して「誰得」を使うことで高圧的にならないように気を付けましょう。
「私得」の意味を理解し、正しく使いこなそう
「私得」は、「自分にとって得である」という意味のポジティブな言葉です。
もしも自分の好きなものに対して「それ、誰得?」と言われたら、胸を張って「私得です」と答えてみましょう。