トヨタ自動車が新型「クラウン(スポーツ)」を発売した。長い歴史を持つクラウンで初のSUVタイプとなる「スポーツ」はどんなクルマなのか。どんなお客さんが興味意を持ち、いくつくらいの人が購入しているのか。トヨタ以外からの乗り換えは多い? 販売状況を聞いてみた。

  • トヨタの新型「クラウン(スポーツ)」

    トヨタの「クラウン(スポーツ)」は若者に人気?

クラウン(スポーツ)ってどんなクルマ?

新型「クラウン(スポーツ)」はクラウンの長い歴史の中で初めてのSUVだ。クラウンのチーフエンジニアを務める清水竜太郎さんによると、「パッと見て感じるカッコよさと俊敏な走り」にこだわった1台だという。

パワートレインは2.5Lの「シリーズパラレルハイブリッド」(HV)と2.5Lの「プラグインハイブリッド」(PHEV)の2種類。11月に発売となったのはHV(590万円)で、PHEVも近く発売となる見込みだ。どちらも駆動方式は「E-Four」(4輪駆動)。

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  • 「クラウン(スポーツ)」のボディサイズは全長4,720mm、全幅1,880mm、全高1,565mm、ホイールベースは2,770mm。ショートホイールベースとワイドスタンスによる凝縮感が特徴

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    「クラウン(スポーツ)」のHVは動力性能が最高出力186PS、最大トルク221Nm、燃費が21.3km/L

スポーティーだが硬くない? 走りの特徴は?

スポーツはクロスオーバーよりホイールベースが短く、俊敏性が向上している。「スポーツ」と聞くといかにも足回りが硬そうなのだが、このクルマで目指したのは「硬いだけがスポーツではない」という価値観だと清水さん。だからといって足は「ソフト」なわけではなく、狙ったのは「しなやか」な走りなのだという。

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  • 左右非対称のインテリアは「視覚的なワクワク感」を掻き立てると清水さん(写真の内装色はPHEVのみに設定されるブラック&センシュアルレッド、シート表皮はスポーツレザー本革)

走りを作り込むうえでの判断基準は「楽しいか楽しくないか」。走りの楽しみの「一丁目一番地」は「曲がることと加速すること」というのが清水さんの定義だ。スポーツではリアタイヤが独自に切れる「ダイナミックリアステアリング」(DRS)にクルマに合わせた最適なチューニングを実施。例えばコーナリングの際には狙った方向にスパッと鼻先を向け、向きを変えた後はぐんぐんと加速していくというような走りが可能だという。それでいて足回りは硬くないので、同乗者も気持ちいい。そんな走りを目指した。

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  • ボディカラーはのモノトーン6色とツートーン5色をラインアップ。「アッシュ」(グレー)と「マスタード」(黄色)が選べるのはスポーツのみだ(写真のボディカラーは左がブラック×プレシャスホワイトパール、右がブラック×プレシャスブロンズ)

ちなみに、今後の発売を予定するPHEVはスポーツの高性能版というような位置づけ。圧倒的な加速などPHEVならではの走りが期待できそうだ。

クラウン(スポーツ)の販売状況

さて、クラウン(スポーツ)の販売状況はどうなのか。受注台数、パワートレインの内訳、人気のボディカラー、購入者の年齢層、トヨタ以外からの乗り換えの割合などをトヨタに聞いてみると、年齢層と乗り換えの割合だけ教えてくれた。

購入者の年齢層は20~30代が2割、40~50代が5割、60代以上が3割。他社からの乗り換えは17%だ。

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  • 「クラウン(スポーツ)」はトヨタ自動車の堤工場(愛知県豊田市)で生産する。「月販基準台数」は月間700台

2023年9月ごろに新型「クラウン(クロスオーバー)」(2022年9月に発売)の販売状況を調べたことがあるのだが、その際の状況はこんな感じだった。

  • 2023年1月~6月のクラウンの累計販売台数は2万3,288台(前年同期比2.8倍強)

  • 40代以下の割合は旧型クラウンが6.9%、新型(クロスオーバー)が11.1%(約1.6倍)

  • 20代以下の割合は旧型0.6%、新型2%(3倍以上)

このデータを見て、新型クラウン(クロスオーバー)の登場によりクラウンユーザーの平均年齢が下がった(若返った)ことがわかったのだが、クラウン(スポーツ)の登場により、この傾向に拍車がかかっているらしい。