野村総合研究所は12月4日、「働き方と郊外・地方移住」に関する調査結果を発表した。調査は7月10日〜18日、東京都内の大企業に勤務する20代~60代の男女3,090名(男性1,613、女性1,477)を対象に、インターネットで行われた。

  • 出社頻度

    出社頻度

2023年7月時点の出社頻度を尋ねたところ、「毎日出社」が過半数(53.1%)を占め、「週3日以上」が7割以上(75.1%)という結果に。前回調査時の2022年2月と比べると、出社回帰の傾向にあるよう。

出社が増加した理由を尋ねたところ、「勤務先の方針やルールが変わり、出社を求められるから」(39.0%)が最も多く、企業側の要請が出社増加の主たる要因である一方で、「出社したほうがコミュニケーションを円滑に取れるため、自主的に出社を増やしたから」(28.2%)や、「出社したほうが業務に集中できるため、自主的に出社を増やしたから」(23.7%)など、会社員側が自ら出社を増やしたケースも見受けられた。

  • 郊外・地方への移住意向がある人の割合

    郊外・地方への移住意向がある人の割合

次に、郊外・地方への移住意向を尋ねたところ、「直近1年間に」移住意向がある人は全体の15.3%、「5年以内に」が28.4%と、それぞれ前回調査から微増。アフターコロナで出社回帰の傾向が見られるものの、「郊外・地方移住ニーズ」は高い傾向が続いているよう。

年代別および現在の居住形態別に見ると、現在は賃貸住宅に居住している若年層(25~34歳)の移住意向は40%を超えており、比較的高い傾向に。また、郊外・地方への移住意向がある人に対して、「いつかは家を所有したい(持家を持ちたい)」という価値観について尋ねたところ、「そう思う」と回答した割合が56%であり、移住意向がない人の割合(46%)に比べて、10%ポイント高い結果に。このことから、郊外・地方への移住意向がある層は、現在は賃貸住宅に居住している若年層(25~34歳)で、かつ将来的には持家に居住したいと考えている層であると言える結果となった。

  • 郊外・地方移住時の現実的なハードル

    郊外・地方移住時の現実的なハードル

郊外・地方移住意向ありの人に、移住時の現実的なハードルを聞いたところ、「買い物などの利便性が下がる、商業施設が遠くなる」(22.8%)が最も多かったほか、「公共交通機関が整備されていない」(15.1%)が4位に。

また、理想の出社頻度については、「現在より出社頻度を減らしたい」と回答した人の割合は、郊外・地方移住意向なしの人よりも、移住意向ありの人の方が多い結果。郊外・地方移住意向のある人にとっては、週3日以上の出社は移住のハードルになるよう。

他方で、転職意向については、郊外・地方移住意向ありの人のうち、「今後1年の間に転職を考えている」(47.6%)人の割合は、移住意向なしの人(23.9%)に比べて23.7%ポイント高く、さらに、転職の検討理由も、移住意向ありの人のうち、「テレワークの制限によって理想の働き方が実現できないこと」が理由だと回答した人は23.6%なのに対し、移住意向なしの人は14.8%と、8.8%ポイント高い結果に。これらから、郊外・地方移住意向ありの人の中には、出社頻度を転職の判断軸のひとつとする人が一定数いると推察される結果となった。