伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦(主催:新聞三社連合、日本将棋連盟)は予選が進行中。12月4日(月)には第6ブロック準決勝の井田明宏四段-藤本渚四段戦が関西将棋会館で行われました。対局の結果、千日手指し直し局を93手で制した藤本四段が自身初参加となる本棋戦で挑戦者決定リーグ入りまであと1勝としました。

井田四段リベンジなるか

リーグ入りまであと2勝に迫った二人。9月に指された加古川青流戦準決勝で藤本四段に敗れている井田四段としてはまたとないリベンジの機会です。先手番を得た井田四段は得意の雁木から右玉に組み替えるも、戦機を得られず本局は13時32分に千日手が成立しました。

先後を入れ替えて始まった指し直し局では先手となった藤本四段が躍動します。相雁木調の出だしから玉を深くに囲ったのは深謀遠慮の一手。この直後、6筋に飛車を回って左辺からの反撃を目指したのが自陣の広さを生かした遠大な構想でした。

藤本四段が快勝

首尾よく仕掛けを得た藤本四段はここから丁寧な指し回しでリードを拡大。勝負手気味に跳ね出してきた井田四段の桂を丁寧に歩で捕獲したのが「桂の高跳び歩の餌食」の格言通りの一手でした。自らの飛車道を止めてでも局面を落ち着ければ駒得が物を言ってきます。

逆転を目指す井田四段も怒涛の猛追で先手玉に迫りますが、藤本四段の打った自陣への香打ちが反撃をシャットアウトする決め手でした。終局時刻は19時38分、井田四段が投了を告げて藤本四段が自身初となるリーグ入りまであと1勝としました。

  • 藤本四段の次局の相手は強豪・菅井竜也八段だ

    藤本四段の次局の相手は強豪・菅井竜也八段だ

水留 啓(将棋情報局)

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