アストンマーティンはオーナーズイベント「ASTON MARTIN ARCADIA」を開催した。「コンクール・デレガンス」の会場となった金竜山浅草寺(東京都台東区)には、日本初公開のクルマを含む70台以上のアストンマーティンが集結。アジアに1台という稀少車も間近で見ることができた。
浅草寺の境内に超高級車が大集合で異様な雰囲気に
イベント名の「ARCADIA」(アルカディア)とは古代ギリシアの「楽園」を意味する言葉。神話に由来する車名の多いアストンマーティンにふさわしいネーミングだ。アストンマーティン APACリージョナルプレジデントのグレゴリー・アダムス氏によると、浅草寺でクルマの展示を行うのは今回が史上初とのこと。
境内には同社初のミッドエンジン・ハイブリッド「ヴァルハラ」、2023フォーミュラ1レプリカ、オープンコックピットの「DBR22」、ボンド映画に登場した「DB5」の再生産モデル「DB5ゴールドフィンガー・コンティニュエーション」、創立110周年記念モデル「Valour」(ヴァラー)など多彩なモデルが集まった。
コンクール・デレガンスの審査員はカーデザイナーの中村史郎氏ら計5名。各部門の受賞車は以下の通りだ。
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シグネットクラス:2014年製「シグネット」。2011年にトヨタとのコラボレーションで誕生したクルマ。内外装だけでなく、あらゆる面でアストンマーティンらしさを吹き込んだユニークなクルマだ。オーナーの須山美奈子氏はシグネットクラブを結成し、仲間とツーリングなどを行って楽しんでいるという
The Best in Show:1940年製「アストンマーティンスピードモデル TypeC LMF385」。審査員5名が選出したコンクールにおける最高のクオリティを讃える賞。本邦初公開の希少なクルマで、アジアにはこの1台のみが存在する
審査を終えたステーブ・ワディンガム審査委員長(アストンマーティン・ラゴンダ社 ヒストリア)は、「アストンの歴史の専門家として、これだけのバラエティに飛んだアストン車を見ることができて嬉しく思っています。いくつかのクルマは、世界的に見ても滅多にお目にかかれないモデルで、英国でも見たことがないものもありました。品質の高い展示車ばかりで、参加した方全員におめでとうと言いたいです」とコメントした。
カーデザイナーの中村史郎氏は、「これだけのクルマがそろっているのは珍しい。私が知る限り、単一ブランドでここまで幅の広いクルマが集まるブランドはないですね。古いレーシングカーやスポーツカーから4ドアまで、ゴマをするわけではないんですが、アストンマーティンというブランドの奥深さを改めて感じることができました。最初は『こんなに多くの台数を審査するのか』と思ったんですが、やってみたらとても楽しかったです」と話していた。
参加車は表彰式の後、「オーナーズパレード」として都内の一般道を走行。移動先の富士スピードウェイホテルでは華やかなガラディナーとチャリティーオークションが開催された。チャリティーの大注目アイテムはフォーミュラ1のレプリカモデル。落札額は驚きの2,900万円だった。
参加者に大人気の「DB5ゴールドフィンガー・コンティニュエーション」。リアの防弾板、シフトノブの赤いボタンで発射するフロントウインカー内の機関銃(ダダダダッという擬音も聞くことができた)などが忠実に再現されている
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コンクールデレガンスでベストカーとなった1940年製の「アストンマーティンスピードモデル TypeC LMF385」。空力を意識したカウルを持つレーシングカーとして開発したが、当時の世界大戦の影響でレースへの参戦は叶わなかった。日が当たると本来のボディカラーであるレーシンググリーンが映える
グレゴリー・アダムス氏によると、次の「ASTON MARTIN ARCADIA」は2025年に開催予定だ。