「時季」「時期」「時機」はどれも「じき」と読む同音異義語であり、「時」で始まるために混同しがちな言葉です。

本記事では「時季」「時期」「時機」のそれぞれの詳しい意味や英語、例文を基にした使い分け方法を紹介。「じきしょうそう」は「時期尚早」「時機尚早」のどちらなのかもまとめました。

  • 時季/時期/時機の違い

    時季/時期/時機の違いやそれぞれの意味、英語や例文などを紹介します

時季/時期/時機の違いとそれぞれの意味、英語

「時季」「時期」「時機」はどれも「時」を表す意味があり、それぞれ以下のような意味があります。

  • 時季…適当な季節
  • 時期…ある期間、その時
  • 時機…適当な機会

以下で、より詳しい意味を見ていきましょう。

「時季」の意味と英語とは

「時季」とは、「季節」「一年のうちで、何かをするのに適した季節、何かが盛んになる季節」などの意味を持つ言葉です。

「季」という漢字には「時節」「決まったサイクルで循環するもの」というニュアンスがあります。

「そろそろ行楽の時季だ」のように使用します。英語の「season(シーズン)」だと考えるとイメージが湧きやすいでしょう。

「時期」の意味と英語とは

「時期」とは「期間や時代のように、ある幅を持った時」のことです。「あっという間に卒業の時期だ」のように使用します。英語の「time(タイム)」「period(ピリオド)」だと考えるとイメージが湧きやすいでしょう。

また「時期が来ればわかるだろう」といった場合の「時期」は、「その時」という意味を表します。こちらは英語だと「timing(タイミング)」に近いでしょう。

「期」という漢字には「定められた時」「ひとめぐり」などの意味があります。

「時機」の意味と英語とは

「時機」とは「何かをするのに適当な機会」のことです。

「機」という漢字には、「からくり」「大切な部分」などの他に、「きっかけ、兆し」という意味があります。

「焦らずに反撃の時機を待とう」のように使用します。英語の「chance(チャンス)」だと考えるとイメージが湧きやすいでしょう。

時季/時期/時機の使い方と例文

  • 時季/時期/時機の使い方と例文

「時季」は「季節」を表すとき、「時期」は「期間」や「その時」を表すときに使う言葉です。また「時機」は「機会」を表すときに使います。

以下の例文を基に、使い方のイメージを捉えましょう。

「時季」を使った例文

「時季」はあることに適した季節、あることが盛んな季節を表す言葉で、一般的に季節感、つまり四季折々の自然や風物の特色を強調する場合に用いられます。

迷ったら「季節」や、英語の「season(シーズン)」に言い換えられるかを試してみてください。

  • 当店は時季の果物を厳選してお届けしています
  • アジサイの時季に訪れるのがおすすめのお寺があります
  • 新茶のおいしい時季になりましたね
  • これからの時季にぴったりのカーディガンですね
  • 時季外れの花が咲いている
  • 年次有給休暇の時季指定については、就業規則に記載されている

なお「時季指定」とは、使用者が労働者の意見をヒアリングした上で有給休暇取得日を指定して、労働者に有給休暇を取得させる方法のことです。これは言い換えはできないので、一つの言葉として覚えておくといいでしょう。

「時期」を使った例文

「時期」は一定の期間や、その時を表す言葉で、比較的広く用いられます。

迷ったら「期間」や「時」、英語の「time(タイム)」「period(ピリオド)」「timing(タイミング)」に言い換えられるかを試してみてください。

  • そろそろ車のオイル交換の時期だな
  • 祭りの時期には、この辺りのホテルは予約が取りづらい
  • 彼の人生の中で、20代は激動の時期だった
  • 今がわが社にとって大切な時期だ
  • 受験勉強は、早い時期から始めるのをおすすめするよ
  • テストの時期と、試合の時期が重なってしまった
  • そろそろ決断すべき時期が来た
  • 上司の仕事が落ち着いた時期を見計らって、席替えの提案をしてみよう
  • その問題は、時期が来れば解消するだろう

「時機」を使った例文

「時機」は、何かをするのに良い機会、チャンスについて話題にするときに用いられます。

迷ったら「機会」や、英語の「chance(チャンス)」に言い換えられるかを試してみてください。

  • ついにその時機が到来した
  • 相談する時機を逸してしまった
  • 時機を失することのないように、常に気を抜かないように
  • やみくもに動くのではなく、時機を見て行動すべきだ
  • 今回の時機に投じて、想定外の利益を得た

「じきしょうそう」は「時期尚早」? 「時機尚早」?

「じき」を使った四字熟語に「じきしょうそう」があります。何かの事を起こすにはまだ早すぎるという意味の言葉です。

この場合の「じき」は、「そうすべき時がまだ訪れていない」ことを表していますから「時期尚早」が正解です。

一方「まだ良い機会が訪れていない」という意味で「時機尚早」と書くケースもあるようですが、一般的ではありません。

なお「尚早」は「まだ早すぎること」という意味の言葉で、「尚」に「まだ」という意味があります。「時期早尚(じきそうしょう)」だと間違えてしまう人もいるので気を付けましょう。

時季/時期/時機の違いを理解して正しく使おう

「じき」は、口頭で話す場合は意識しなくてもいいですが、文章で表現するときには「時季」「時期」「時機」のどれがふさわしいのか、違いを区別する必要があります。

文章の目的に合わせて、適切な漢字を使いましょう。