「〇〇のコウエンは一日に3回ある」と聞いて、「公演」や「講演」など、どの漢字を思い浮かべるでしょうか。この場合、何を「コウエン」するかが重要です。
本記事では「公演」と「講演」について、それぞれの詳しい意味や使い方と例文を紹介。類語の「口演」「上演」についてや、英語表現もまとめました。
「公演」と「講演」の違いとそれぞれの意味とは
「公演」と「講演」は、どちらも人前で何かを発表したり、見せたり、聞かせたりするときに使います。
ただし「公演」は、演技や演奏など、主に楽しむ要素のあることを発表するときに用いる言葉です。一方で「講演」は、学者の講話や政治についてのスピーチなどのように、主にある題目に沿って話し、学習要素のあることを発表するときに用います。
以下で、それぞれのより詳しい意味を見ていきましょう。
「公演」の意味
「演」という漢字には、「押し広める、説く」「練習する、実習する」「技芸などを行う」などの意味があります。
そして「公」には「正しい」「共通の」などの意味の他に、「個人ではなく社会全体のこと」という意味があります。
よって「公演」とは、「公の席で、芸を披露する」、つまり公衆の前で演劇や演奏、舞踏などのエンターテインメントを披露するという意味の言葉です。
「講演」の意味
「講」という漢字には、「習う、稽古する」「仲直りする」などの意味の他に、「説き明かす、論じる」という意味があります。
「講演」とは、集団へ向けて、ある題目に沿った話をして、物事の意味を明らかにしたり、自分の考えを説いたりすることです。
「公演」は見たり聴いたりして楽しむものですが、「講演」は聴いて習うという、学習要素のある発表という意味合いが強いでしょう。
なお「講演」には別の意味として「経典を講じ、仏法を説くこと」などもあります。
「公演」「講演」の使い方と例文
例文を基に、「公演」と「講演」について、それぞれの使い方のイメージを捉えましょう。
「公演」の使い方と例文
- 友人が所属する楽団の、クリスマス公演のチケットを購入した。
- 大好きなアーティストの来日公演スケジュールが、ついに発表された。
- 今年の○○バレエ団の秋公演は、予想を超える大成功で幕を閉じました。
- 皆さまのおかげで、当劇団は記念すべき公演初日を迎えられました。
「講演」の使い方と例文
- ◯◯先生、ご多忙にもかかわらず、講演依頼を快諾くださりありがとうございます。
- 所属する学会の講演会で、研究成果を発表する予定です。
- 彼女の○○研究についての講演は素晴らしいものでした。
- △△シンポジウムにおいて、○○氏による基調講演が開催されました。
類語の「口演」や「上演」との違い
「公演」と「講演」によく似た言葉に、「口演」や「上演」があります。
「口演(こうえん)」とは口で述べることを指し、主に講談、浪曲、落語、紙芝居など、口で語り演じる際に用います。
「上演(じょうえん)」とは、演劇などを観客に見せるために、舞台上で演じることを意味する言葉です。「公演」は、それを興行として、観客に提供するというニュアンスがあります。
また、「上演」は主に演劇に対して使われますが、「公演」は前述のように演劇や演奏、舞踏など、幅広い技芸に対して使われます。
「公演」「講演」の英語表現
英語で「公演」は、主に「performance」を使います。例えば「I gave two performances in one day.(私は一日に2回の公演を行いました)」のように使用します。
また他の単語と合わせることで、どのような公演であるかを表せます。例えば音楽に関する公演は「a musical performance」、芝居は「a performance of a play」といった具合です。
一方「講演」は主に「lecture」を使います。「lecture」は大学の講義、専門的なセミナーのように、学習要素のあることに使われます。
例えば「a public lecture(公開講演)」や、「I went to a lecture held in Tokyo.(東京で開催された講演会に行ってきました)」という形で使用します。
「講演」はその他にも「reading」「make a speech」「give a talk」などの表現も可能です。
「公演」と「講演」の違いを理解して正しく使おう
「公演」と「講演」はどちらも、大勢の聴衆へ向けて、何かを発表する意味の言葉です。
少し紛らわしいですが、一般的には「公演」は見たり聞いたりして楽しむもの、「講演」は学習要素のあるものとして扱われています。
自分の表現したい文章を作れるように、違いを正しく理解しておくといいでしょう。