日本テレビ系ドキュメンタリー番組『NNNドキュメント’23』(毎週日曜24:55~)では、部落差別と闘う当事者たちを取材し、誰もが持つ差別意識と向き合う『いろめがね~部落と差別~』(山口放送制作)を、きょう19日に放送する。
被差別部落出身と明かして差別と闘う、山口県宇部市在住の川口泰司さん(44)は、山口県人権啓発センターの事務局長を務めている。部落差別を中心に人権活動をしており、全国の企業や団体から年間100を超える講演依頼を引き受けている。
部落差別に怯える子どもたちの悩み相談に乗り、背中を押すことも。そんな川口さんの活動から見えてくるのは、今も部落差別は無くなっていないということだ。「無知、無理解、無関心であることが、あらゆる差別が無くならない要因のひとつ」と川口さんは言う。
7年前、川口さんは仲間たちと裁判を起こした。インターネット上にあふれる部落差別を無くそうと当事者で約250人の原告団をつくり、神奈川県のある出版社を訴えたのだ。部落を特定する動画、全国5,000を超える部落の地名を記したリスト、出身者の個人情報などをネット掲載したり出版しようとしたりしたことに対して差し止めを求め、同時に「差別されない権利」を主張している。高裁判決ではおおむね認められたが、裁判は最高裁で今も続いている。
番組では当事者たちの声に耳を傾ける。インターネット上に個人情報を晒された41歳の女性は「子どものことを考えると不安で仕方がない…」と涙ながらに語る。新聞紙面上で部落出身者ということを明かした27歳の新聞記者は「『穢(けが)れる』と言われたら、嫌じゃないですか?」と憤る。ある中学生は「将来、結婚できるのでしょうか…」と不安を募らせる。
番組を通して部落差別が今も続く現状を伝えるとともに、私たちの中にある差別意識と向き合う。