「二十四節気(にじゅうしせっき)」とは、一年を24個に等分してそれぞれに名前をつけたもので、ユネスコの無形文化遺産にも登録されています。中でも「夏至」や「冬至」などは天気予報などでもよく取りあげられ、また「春分の日」や「秋分の日」は祝日に制定されているため、多くの方が耳にしたことがあるでしょう。改まった手紙や文書などでは、時候の挨拶にも使われています。

本記事では二十四節気を一覧で分かりやすく紹介。24個の意味や読み方と日付の目安はもちろん、それぞれをさらに3等分した七十二候や、二十四節気がどのようにでき、広まったのかの歴史も紹介。2024年の二十四節気の日付もまとめました

  • 二十四節気の一覧

    二十四節気の一覧と、それぞれの時期や意味はもちろん、歴史や2024年の二十四節気の具体的な日付も紹介します

二十四節気の一覧 ~意味と読み方、日付、七十二候~

早速、二十四節気の意味とその時期、さらにそれぞれに含まれる七十二候(しちじゅうにこう)を紹介します。時期は年によって若干変化するため、目安だと考えてください。

【春】立春(りっしゅん) | 2/4~2/18頃

立春は二十四節気の中で最初の節気です。暦の上で春が始まる日であり、節分の翌日です。茶摘みの歌で有名な「八十八夜」も、立春から数えた日数を示しています。

【七十二候】

  • 東風解凍(はるかぜこおりをとく)
  • 黄鶯睍睆(うぐいすなく)
  • 魚上氷(うおこおりをいずる)

※漢字や読み方については、暦や文献によって差があるため、代表的なものを紹介します(以下同)

【春】雨水(うすい) | 2/19~3/4頃

雨水は、雪ではなく雨が降り始める頃を表した節気です。田畑の雪解けも始まり、農耕の準備を始める時期の目安とされてきました。春への移り変わりを告げる時期とされています。

【七十二候】

  • 土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)
  • 霞始靆(かすみはじめてたなびく)
  • 草木萌動(そうもくめばえいずる)

【春】啓蟄(けいちつ) | 3/5~3/20頃

「啓」は「ひらく、開放する」という意味を持ち、「蟄」は虫が土の中で冬ごもりすることを表します。したがって啓蟄は、春の暖かさで虫や蛇、蛙などが冬眠から目覚める頃を表現した節気です。

【七十二候】

  • 蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)
  • 桃始笑(ももはじめてさく)
  • 菜虫化蝶(なむしちょうとなる)

【春】春分(しゅんぶん) | 3/21~4/4頃

春分は昼と夜の長さがほぼ同じになる日で、この日以降、日が長くなります。なお春分と秋分の前後を彼岸と呼び、「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉の通り、本格的な春の訪れを感じられる時期です。

【七十二候】

  • 雀始巣(すずめはじめてすくう)
  • 桜始開(さくらはじめてひらく)
  • 雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)

【春】清明(せいめい) | 4/5~4/19頃

清明は、「清浄明潔」という言葉を略したもので、空が澄み、さまざまなものが明るく生き生きと見える節気を表します。

【七十二候】

  • 玄鳥至(つばめきたる)
  • 鴻雁北(こうがんかえる)
  • 虹始見(にじはじめてあらわる)

【春】穀雨(こくう) | 4/20~5/4頃

穀雨は穀物を育てる雨を表した節気です。また、穀雨の終わり頃にあたる5月2日辺りには、雑節(二十四節気以外の季節の区切り)の一つの「八十八夜」が訪れ、この頃から種まきや茶摘みが始まります。

【七十二候】

  • 葭始生(あしはじめてしょうず)
  • 霜止出苗(しもやんでなえいずる)
  • 牡丹華(ぼたんはなさく)
  • 夏の二十四節気の一覧

【夏】立夏(りっか) | 5/5~5/20頃

立夏は夏の始まりを表す節気です。爽やかな晴天が続き、夏といっても実際にはまだまだ過ごしやすい気温です。5月の連休の頃から始まることもあり、まさにレジャーにぴったりの時期です。

【七十二候】

  • 蛙始鳴(かわずはじめてなく)
  • 蚯蚓出(みみずいずる)
  • 竹笋生(たけのこしょうず)

【夏】小満(しょうまん) | 5/21~6/5頃

小満は秋にまいた小麦がそろそろ実り始める頃で、さまざまなものが成長し、満ちていく季節を表した節気です。

【七十二候】

  • 蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)
  • 紅花栄(べにばなさかう)
  • 麦秋至(むぎのときいたる)

【夏】芒種(ぼうしゅ) | 6/6~6/20頃

「芒」とは、稲や麦などのイネ科の植物の、花の外側にある突起のことを表す漢字です。したがって芒種は、イネ科の植物の種まきを始める節気を意味します。

【七十二候】

  • 蟷螂生(かまきりしょうず)
  • 腐草為螢(くされたるくさほたるとなる)
  • 梅子黄(うめのみきばむ)

【夏】夏至(げし) | 6/21~7/6頃

夏至は、北半球において昼間が一年で最も長くなる日です。これ以降、暑さが増し本格的な夏となっていきます。

【七十二候】

  • 乃東枯(なつかれくさかるる)
  • 菖蒲華(あやめはなさく)
  • 半夏生(はんげしょうず)

【夏】小暑(しょうしょ) | 7/7~7/22頃

小暑は夏の暑さが始まる頃を表す節気です。そろそろ梅雨が明けてセミの声が聞こえ始め、小暑が終わる頃には夏の土用が始まり、いわゆる暑中と呼ばれる時期に入ります。

【七十二候】

  • 温風至(あつかぜいたる)
  • 蓮始開(はすはじめてひらく)
  • 鷹乃学習(たかすなわちわざをならう)

【夏】大暑(たいしょ) | 7/23~8/7頃

大暑は暑さが最も厳しい頃を表す節気です。立春、立夏、立秋、立冬の前の約18日間を土用と呼び、特に夏の土用の丑の日(うしのひ)にはうなぎを食べる習慣が広まっています。

【七十二候】

  • 桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)
  • 土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)
  • 大雨時行(たいうときどきにふる)
  • 秋の二十四節気の一覧

【秋】立秋(りっしゅう) | 8/8~8/22頃

立秋は秋の始まる頃を表す節気です。しかし、実際にはまだまだ暑さは続き、その暑さのことを残暑と呼びます。そのため立秋を過ぎると、夏の挨拶状は暑中見舞いではなく残暑見舞いに変わります。

【七十二候】

  • 涼風至(すずかぜいたる)
  • 寒蝉鳴(ひぐらしなく)
  • 蒙霧升降(ふかききりまとう)

【秋】処暑(しょしょ) | 8/23~9/7頃

処暑は暑さが和らぎ、涼しくなってくる頃を表す節気です。実際にはまだ暑さが残っている時期ですが、稲穂が頭を垂れ、夜には鈴虫などの声が聞こえ始めます。

【七十二候】

  • 綿柎開(わたのはなしべひらく)
  • 天地始粛(てんちはじめてさむし)
  • 禾乃登(こくものすなわちみのる)

【秋】白露(はくろ) | 9/8~9/22頃

白露は秋が深まり朝露が降り始め、白く光って見える頃を表す節気です。この頃から朝夕はかなり涼しくなってきます。

【七十二候】

  • 草露白(くさのつゆしろし)
  • 鶺鴒鳴(せきれいなく)
  • 玄鳥去(つばめさる)

【秋】秋分(しゅうぶん) | 9/23~10/7頃

秋分は春分と同じように、昼と夜の長さが同じになる日です。この時期は秋の彼岸であり、夏の暑さは過ぎ去って、すっかり秋らしくなります。

【七十二候】

  • 雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)
  • 蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)
  • 水始涸(みずはじめてかるる)

【秋】寒露(かんろ) | 10/8~10/23頃

寒露はその名の通り、冷え込みが強くなり、霜になりそうな冷たい露が降りる時期を指します。この時期には農作物の収穫も終盤となり、木々の葉も徐々に色づき始めます。

【七十二候】

  • 鴻雁来(こうがんきたる)
  • 菊花開(きくのはなひらく)
  • 蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)

【秋】霜降(そうこう) | 10/24~11/6頃

霜降は、霜が降り始める時期を指し示す節気です。秋が深まり、紅葉が見頃を迎える行楽シーズンが訪れる時期です。

【七十二候】

  • 霜始降(しもはじめてふる)
  • 霎時施(こさめときどきふる)
  • 楓蔦黄(もみじつたきばむ)
  • 冬の二十四節気の一覧

【冬】立冬(りっとう) | 11/7~11/21頃

立冬は、いよいよ冬が始まる時期を表す節気です。朝夕の冷え込みが一段と厳しくなり、木枯らしが吹く時期です。紅葉で目を楽しませてくれた木々は葉を落として、冬らしい姿に変わっていきます。

【七十二候】

  • 山茶始開(つばきはじめてひらく)
  • 地始凍(ちはじめてこおる)
  • 金盞香(きんせんかさく)

【冬】小雪(しょうせつ) | 11/22~12/6頃

小雪は雪が舞い始める頃を表す節気です。積もるほどではないにしても野山や北国では雪が降り始めます。本格的な冬に向けて準備を始める時期です。

【七十二候】

  • 虹蔵不見(にじかくれてみえず)
  • 朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)
  • 橘始黄(たちばなはじめてきばむ)

【冬】大雪(たいせつ) | 12/7~12/20頃

大雪は、山の峰々に本格的に雪が降り積もる頃を表す節気です。各地で雪が降り動物は冬ごもりをする一方で、人々は何かと慌ただしくなる時期でもあります。

【七十二候】

  • 閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)
  • 熊蟄穴(くまあなにこもる)
  • 鱖魚群(さけのうおむらがる)

【冬】冬至(とうじ) | 12/21~1/4頃

冬至は北半球において、昼が一年で最も短くなる日を表す節気です。冬至にはカボチャの煮物を食べ、ゆず湯に入る風習があります。クリスマス、大みそか、そして正月と、イベントが盛りだくさんの時期です。

【七十二候】

  • 乃東生(なつかれくさしょうず)
  • 麋角解(さわしかのつのおつる)
  • 雪下出麦(ゆきくだりてむぎのびる)

【冬】小寒(しょうかん) | 1/5~1/20頃

小寒は次の大寒に向けて寒さが厳しくなっていく時期です。小寒と大寒を合わせたおよそ30日間を寒中または寒の内と呼び、一年で最も寒さが厳しい時期とされています。

【七十二候】

  • 芹乃栄(せりすなわちさかう)
  • 水泉動(しみずあたたかをふくむ)
  • 雉始雊(きじはじめてなく)

【冬】大寒(だいかん) | 1/21~2/3頃

大寒は寒さが最も厳しい頃を表す節気です。実際には厳しい寒さの中でも日が少しずつ延び、春の訪れを予感させる時期でもあります。

【七十二候】

  • 款冬華(ふきのはなさく)
  • 水沢腹堅(さわみずこおりつめる)
  • 鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)

なお二十四節気は、季語の時期にも関係しています。

【冬の季語についてより詳しく知りたい方は】
冬の季語846選! 一覧を時期・花や食べ物などの種類別に紹介|俳句例や意味も

2024年の二十四節気の日付一覧

  • 2024年の二十四節気の日付一覧

二十四節気の日付は、太陽の運行と暦との対応の関係で、毎年同じではなく少し変動があります。2024年とその前後の二十四節気が始まる日付は、以下の通りです。

節気 日付
立冬 2023年11月8日~11月21日
小雪 2023年11月22日~12月6日
大雪 2023年12月7日~12月21日
冬至 2023年12月22日~2024年1月5日
小寒 2024年1月6日~1月19日
大寒 2024年1月20日~2月3日
立春 2024年2月4日~2月18日
雨水 2024年2月19日~3月4日
啓蟄 2024年3月5日~3月19日
春分 2024年3月20日~4月3日
清明 2024年4月4日~4月18日
穀雨 2024年4月19日~5月4日
立夏 2024年5月5日~5月19日
小満 2024年5月20日~6月4日
芒種 2024年6月5日~6月20日
夏至 2024年6月21日~7月5日
小暑 2024年7月6日~7月21日
大暑 2024年7月22日~8月6日
立秋 2024年8月7日~8月21日
処暑 2024年8月22日~9月6日
白露 2024年9月7日~9月21日
秋分 2024年9月22日~10月7日
寒露 2024年10月8日~10月22日
霜降 2024年10月23日~11月6日
立冬 2024年11月7日~11月21日
小雪 2024年11月22日~12月6日
大雪 2024年12月7日~12月20日
冬至 2024年12月21日~2025年1月4日
小寒 2025年1月5日~1月19日
大寒 2025年1月20日~2月2日

二十四節気の意味と歴史

  • 二十四節気の意味と歴史

二十四節気の中には、夏至や冬至、春分や秋分など、現代の日常生活に溶け込んでいるものもあります。そのため、その意味をなんとなく予想できる人も多いかもしれません。しかし、具体的な定義やそれがなぜ生まれたのかといった点については、曖昧なままにしている人もいるのではないでしょうか。

そこでここでは改めて、二十四節気の意味と歴史についてご紹介します。

二十四節気とは一年を24等分したもの

二十四節気とは、一年を春夏秋冬の4つの季節に分け、それをさらに6等分、すなわち一年を24等分したものです。

15日ほどの期間を表すこともあれば、その期間の最初の日を指すこともあります。昼と夜の長さがほぼ同じになる春分や秋分、昼間が最も長くなる夏至、短くなる冬至などからわかるように、太陽の運行をもとに定められています。

二十四節気が必要とされたのは次の理由からです。古代中国では暦として太陰太陽暦(旧暦)が用いられていました。太陰太陽暦は月の運行をもとにした太陰暦と、太陽の運行を組み合わせた暦です。

しかしこの太陰太陽暦は、季節の変化とズレが生じるもので、農作業などの生活において季節を把握する必要があった人々は、この補正のための基準として二十四節気を考案したのです。この補正がなければ暦と季節がズレていってしまうため、二十四節気はまさに季節を表す指標だと考えられます。

飛鳥時代には日本へ

古代中国で生まれた太陰太陽暦、そして二十四節気は、飛鳥時代に日本に伝えられます。その後、明治時代になり太陰太陽暦(旧暦)が廃止されて、現在も使われる太陽暦(新暦)に変わるまで、二十四節気は日本の暦を定める上で重要な役割を果たしました。

なお二十四節気は太陽暦が一般的になった現代でも、農業などで指標として使うことがあったり、手紙などにおける時候の挨拶として活用されたりと、私たちの生活の中にあります。

このように日本や中国の文化に深く根ざした二十四節気はその価値を認められ、2016年には国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産にも登録されました。

七十二候とは

一覧でも紹介した七十二候(しちじゅうにこう)とは、二十四節気をさらに3つの期間に分けたものです。

二十四節気と同様に古代中国からもたらされ、季節を表現するのに用いられてきました。ただし日本の気候、風土に合わせて改訂されてきました。例えば江戸時代には暦学者の渋川春海が、それまでの七十二候をもとに「新制七十二候」を作成しています。

七十二候は、日本の季節の移り変わりを、四季や二十四節気よりさらに細かく表現したものと言えるでしょう。その豊かな表現力は、私たちが日常生活の中で季節の微妙な変化を感じ取る手助けになります。

二十四節気を通じて豊かな季節の違いを楽しもう

一年を24個の時期に区切った二十四節気は、繊細な季節の変化を感じ取れる伝統的な言葉です。春夏秋冬、それぞれの節気が持つ独特の意味や特徴を理解すれば、季節の美しさと奥深さに触れられるでしょう。

二十四節気を通じて、春の芽吹き、夏のせみの鳴き声、秋の実り、冬の雪景色など、日本の四季折々の美しい風景とともに、豊かな季節の違いを楽しんでみませんか。