ヤマハ発動機は11月16日、新型電動アシスト自転車「PAS CRAIG(パス クレイグ)」を発表した。都市部に住む30~40代の男性をはじめとする、スタイリッシュなデザインを好むユーザーに向けたシティモデルとなっている。発売日は2024年3月29日、価格は12万9,000円。都内では製品発表会が開催された。

  • ヤマハ発動機が、新型電動アシスト自転車「PAS CRAIG」を発表した

知的で上品なデザイン

PAS CRAIGは、Urban Outrunner(アーバンアウトランナー)というコンセプトで開発されたモデル。普段の通勤、あるいは週末の街乗りなどの利用シーンを想定している。カラーはマットラベンダー、マットジェットブラック、マットグレイッシュベージュ(いずれもツヤ消しカラー)の3色で展開する。

  • こちらはマットグレイッシュベージュ

  • 落ち着いた印象のカラーリング

  • ハンドルにはスマートクロックスイッチを配置。運転に集中しながら好きな走行モードに切り替えられるほか、残りアシスト距離、電池残量なども一目で分かる

全長は1,860mm、全幅は595mm、タイヤサイズは700×38C、車両重量は21.6kg(ワイヤー錠を含む)。バッテリー容量は8.9Ahで、充電時間は約2.5時間。いち充電あたりの走行距離は、強モードなら36km、スマートパワーモードなら40km、オートエコモードプラスなら70km。

  • こちらはマットジェットブラック

  • 純正のワイヤー錠を用意。タイヤとバッテリーにリングを通すことで盗難を防ぐ

細身のパイプフレームをはじめとする洗練されたパーツ群、細部の配色までこだわったカラーリングなど、デザインの上質さが目をひくPAS CRAIG。それでいて「内装3段変速」など、日常生活での数キロ圏内の移動を便利にする機能も搭載している。

  • こちらはマットラベンダー

  • サドルも無駄がない形に

ヤマハ SPV事業部事業企画部 商品戦略グループの碓井紗和氏は、その冒頭「当社が世界で初めてとなる電動アシスト自転車PASを世に出してから、今年で30年の節目を迎えます。国内の電動アシスト自転車の出荷台数は過去10年間で約2倍にまで拡大しており、現在も市場規模が広がり続けています」と説明する。

  • ヤマハ SPV事業部事業企画部 商品戦略グループの碓井紗和氏(左)と、同 クリエイティブ本部 プロダクトデザイン部の北山亮平氏(右)

  • 電動アシスト自転車の市場規模は右肩上がりで拡大中

発売当初は「シニア向け」「子育てママ向け」がメインだった電動アシスト自転車だが、近年では「通勤・通学」「レジャー」「街乗り」向けに開発されたモデルも販売好調だという。碓井氏は「いまだ新規購入者のうち、電動アシスト自転車を初めて購入する人が7割を占めている状況です」と説明する。

  • 様々なタイプの電動アシスト自転車が発売されるようになり、利用者層も広がりを見せている

PAS CRAIGは、電動アシスト自転車の購入検討者を対象にしたヒアリング調査から開発のヒントを得ている。具体的には、街中を走るのに充分なスペックの自転車が欲しい、汗だくにはなりたくない、スタイリッシュなデザインが良い(ママチャリ型は抵抗がある)、服装や街中にマッチするおしゃれな車体カラーが欲しい、といった声だった。

  • スポーティすぎず、けれどスタイリッシュで、普段使いに適している――。ヤマハとしても、これまでリーチできていなかったターゲット層に向けた1台となった

製品名については、Crossbikeのようなフレームで素早く(Rapid)駆け抜ける、機敏(Agile)で知性(Intelligence)を感じさせる、所有・運転する喜び(Glad)を感じられる電動アシスト自転車、という思いを込めて命名したと明かす。そのうえで「クレイグという人の名前をイメージさせることで、より親しみを持って乗ってもらえるのでは、と期待しています」と話した。

デザインについては、クリエイティブ本部の北山亮平氏が説明した。自転車のフレーム形状について、北山氏は「スッキリとしたシンプルで上品な見た目にしたかったので、パイプの径を細くできる鉄フレームを採用しました」とする。それでいて跨ぎやすさにも配慮。デザインと使いやすさのベストなバランスを図った。

  • ダブルトライアングルフレームを採用。日常の跨ぎやすさにも配慮した

チェーンケースも、極限まで削ぎ落としたデザインにした。これにより軽快さが強調されている。北山氏は「設計上、必要最低限のサイズは守りながらも、極力面積を削りました。ここは設計チームと激論を交わしたポイントです」と苦笑いする。

  • 設計チームと激論になったチェーンケース

なお、泥除け(フェンダー)については、初期状態ではハーフフェンダーを装着している。こちらはオプションでフルフェンダーに交換することが可能だという。

  • 泥除けの機能を高めたい場合は、フルフェンダーを購入する

販売目標は年間5,000台。最後にPAS CRAIGの利用シーンについて、北山氏は「通勤用途であれば、少し早起きして走らせると気持ちが良いと思います。オフィスやカフェに駐めておいても絵になる自転車です。駐輪後、思わず振り返って眺めてしまうことでしょう。1日の仕事を終えて綺麗な夕日を眺めながら帰宅するひとときも、自転車通勤ならではの楽しみ方のひとつ。自宅に駐めておくときも家のインテリアにマッチするデザインですし、休日はのんびりポタリングするのもオススメです。通勤に、街乗りに、買い物に、サイクリングに。PAS CRAIGを良き相棒にして、皆様の日常生活がより豊かになることを願っています」と話していた。