ラグビー界の礎を築いたと言われる“ミスター・ラグビー”平尾誠二さんと、「ヒトiPS細胞」の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授の知られざる友情物語をドラマ化する、テレビ朝日系ドラマスペシャル『友情~平尾誠二と山中伸弥 「最後の一年」~』が11日(21:00~)に放送される。2人は、雑誌の対談で意気投合して以来、家族ぐるみの付き合いを続けていた。“40歳半ばを過ぎてできた親友といつまでもこんな関係を続けていけたら”と願うが、平尾さんががん宣告を受けて……。約10年ぶりに民放ドラマ出演を果たすことになった主演・本木雅弘が平尾さんを、本木のラブコールを受けた滝藤賢一が山中教授を演じる。

そんな本木と滝藤に、今作の見どころや役作りについてインタビュー。互いの魅力や、人生で大事にしていることについても話を聞いた。

  • 左から滝藤賢一、本木雅弘

    左から滝藤賢一、本木雅弘 撮影:泉山美代子

■本木、平尾さん役オファーに悩んだ理由

――今作のオファーを受けたときの気持ちを教えてください。

本木:平尾さんのことはもちろん存じ上げていましたが、自分の中では勝手に「白洲次郎と平尾誠二には手をつけちゃいけない」と思っていたほど特異なオーラを放っていた方なので、とても背負いきれないんじゃないかと悩みました。でも今作は山中教授との友情や闘病生活の最後の一年にフォーカスを当てていて、平尾さんの人生の中で大きく知られていないであろう部分を覗けるという物語なので、それなら何かできることがあるかもしれないと、お引き受けすることにしました。僕が平尾さんと明らかに違うということは分かっていますので、ぜひ記事でも「本物は500倍かっこいいと、100も承知でやっています」と書いておいてください!

滝藤:僕は社長を通してお話を聞いたのですが、山中教授は世界的に有名な方なので、やるなら覚悟を決めてやらないといけないよ、と。でもその時点で本木さんが平尾さんを演じられることが分かっていましたし、素晴らしいプロットだったので、ぜひともやりたいと思っていました。考えるフリはしましたが、心の中では最初から引き受けていましたね(笑)。

  • 本木雅弘
  • 本木雅弘

■滝藤、本木からのラブコールに山中教授役快諾

――平尾さんが本木さんを演じるということも大きかったんでしょうか。

滝藤:本木さんとの共演は、俳優として1つの目標ですから。もちろん一番の決め手でした。

本木:とんでもないです。でも今回は山中教授をどなたが演じるのかでドラマの色合いや熱が変わってくるんじゃないかと思い、もちろん僕にキャスティングの権限はありませんが、密かに滝藤さんをリクエストさせていただいたんです。作品を拝見していても、滝藤さんにはとても惹きつけられるものを感じていたし。あとは、ファッショニスタだとか、植物を株分けして育てているとか、家族が多いとか、ジャンヌレの椅子のコレクターだとか、そういうこだわり屋の部分から、愛情を注ぐことに長けている方だという印象を受けました。それが、滝藤さんのじわじわ内側から心が潤んでいくようなお芝居につながっているというか、自分にないものを持っている方だと確信しましたね。冷静沈着に見えるけれど、実は情に厚いという山中教授のキャラクターとも重なるところがあって。

滝藤:うれしいです! これだけ俳優がたくさんいる中で気にかけていただけて、一緒に作品を作りたいと思っていただけるなんて、もうめちゃくちゃ多くの人に自慢したいです!

  • 滝藤賢一
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■共演して感じた互いの魅力

――実際にお芝居をして感じたお互いの魅力を教えてください。

本木:滝藤さんは冷静で、芯があります。私は撮影にあたって準備をたくさんしていくタイプなのですが、現場ではやっぱりいろいろな歯車が少しずつ狂っていくから、理想通りできない現実に落ち込むこともあるんです。滝藤さんは私とは違い、その場で精一杯やれたことで何かが生まれれば、それはもう十分じゃない? と思えるタイプのようで。

――滝藤さんは、そういう考えでいようと心掛けているのでしょうか。

滝藤:僕は家で台詞を覚えて、1人で役作りをすることが苦痛でしょうがなくて。今回も早く本木さんに会いたかったですよ。憧れの俳優さんとお芝居をやれる現場ほど楽しいことはないですよね。本木さんはすごくストイックな方。最後の最後、本当にギリギリまで悩んで苦しんで、“平尾誠二を演じきる”ということを諦めないんです。僕は他人任せなんですよね(笑)。しっかり準備してきたし、あとは本木さんが僕の力を全部引っ張り出してくれただろうと。

本木:そんなに言われちゃうと、とてつもないお芝居をしたと思われてしまうので、今の話は忘れて見てくださいね!

滝藤:(笑)。素晴らしかったですよ!

本木:僕はこれだけキャリアを積んでも、滝藤さんのようには楽しめないんです。だからいつも役者に向いてないんじゃないかと思うくらいで。平尾さんは、“チャレンジをエンジョイ”するのがスポーツの一番の面白みだと言っているのですが、滝藤さんはそれと同じように役者の仕事に向き合っていて、頼もしいですよね。性質的には滝藤さんのほうがよほど平尾さんに近い。