昔から変わらない、香ばしいジャガイモの味とサクッと軽快な歯ごたえが魅力の東ハトの『ポテコ』と『なげわ』。マイナビニュース読者のなかにも、子どもの頃に"指にはめて遊びながら食べた"なんて経験をお持ちの人がいるのではないだろうか。そんな『ポテコ』と『なげわ』は、今年(2023年)でちょうど50周年。そこで編集部では東ハトに赴き、関係者に詳しい話を聞いてきた。

  • 『ポテコ』と『なげわ』の誕生秘話とは? 東ハトで話を聞いた

■誕生のきっかけは?

話を聞いたのは、東ハト マーケティング本部の速水雄飛氏。2013年に東ハトに入社した速水氏は、関西で営業に2年従事したあと、マーケティング本部に異動して8年。現在は、あみじゃが、ポテコ、なげわ、暴君ハバネロなどの人気商品を担当している人物だ。まずは、ポテコとなげわが誕生したきっかけについて聞いた。

  • 東ハト マーケティング本部 商品開発部 商品開発第一課 主任の速水雄飛氏

「今から50年前になります、1973年の話です。当時のジャガイモのお菓子と言えば、ポテトチップスが主流でした。そうした商品との差別化を考え、形状、食感の違うお菓子を考案したんですね。それが始まりだと聞いています」。

どうやったらポテトチップスとは違う"食感"になるのか、試行錯誤を繰り返したという当時の東ハト商品開発部。様々な形状を試した結果、現在のリングの形状に落ち着いたと明かす。ちなみに、ポテコは「ポテトの子」という意味。なげわはポテトの輪を投げ縄に見立てたところから名付けられている。

  • 現在のポテコ(左)となげわ(右)。商品パッケージも1973年から何度もリニューアルを繰り返してきた

ポテコとなげわ、パッと見は似たような商品。なぜ2種類も作ったのだろう。

こんな素朴な疑問を投げかけると「実は食べ比べてみると、食感と味が大きく異なるんです。ポテコは美ら海育ちの塩を使用することで、ジャガイモの味わいを引き立てたあっさりうましお味に仕立てています。一方でなげわは、香ばしくてやみつきになるうましお味。オニオンパウダー、ロースト醤油風味パウダー、焼き塩などをアクセントとして利かせています」と解説。

たとえ同じ"うましお味"でも、違う食感、違う味付けで作り分けることで、商品ラインナップを増やすことに成功したのだった。

  • リングの径が小さめで幅が広く、カリッとはずむような食感の「ポテコ」。1粒でも満足感が高い

  • リングの径が大きめで幅が狭く、サクサク食べ進められる「なげわ」。2、3粒をまとめて口に放り込んで食べられる

■指に"はめて食べる"は予想外!?

ところで、指にはめて食べるイメージが強いポテコとなげわ。開発の段階で、そんな食べ方も想定されていたのだろうか。

「いえ、初めは"良い食感のお菓子を作ろう"ということで形状が決まり、実際に売り出してみたらお客様が指にはめて食べはじめた、というのが事実のようです。穴があったら指を入れてみたくなる人間の心理ってあるんですね。あとから考えると、うまくできた形だったのかな、と思います」。

50年もの間、色んな人に愛されてきたベストセラー商品。変わらないこと、守り続けていることについても聞いた。

「イチバン大事にしていることは、食感です。これまで何度もリニューアルを繰り返してきたんですが、心地よい軽快な食感というものは変えていませんし、これから先も守っていきたいなと思います。あとは家族の中心にポテコとなげわがある、みんなで一緒に食べる、といったイメージは今後も大事にしていきたいです」。

ちなみに現在、販売中の商品パッケージに描かれている黒いシルエットのキャラクターは、ポテコくん、なげわくんという名前がついている。このアイコンは、2006年のリニューアル時に生まれた。

「指にはめて食べる、ということをイメージさせるもので、子どもにも親しんでもらえるキャラクター、そんなコンセプトで誕生しました。実は時代にあわせて、微妙に表情を変えて現在に至ります。ポテコくんはもともと可愛いイメージですが、なげわくんは昔はもっとしかめっ面でした(笑)。これらのキャラクターが登場してから、お客様により親しみを持っていただけたように感じています」。

いまだ商品開発にも余念がない。2017年のリニューアルでは食感の改良のため、生地の厚みを約1mmまで薄くしたという。

「その結果、食感がより軽快になりました。実は、生地を薄くすると成形が困難になります。つまり割れてしまうんですね。厚さを保ってしっかりと綺麗に生地を出せるようになったのは、企業努力と言いますか、東ハトならではの技術があったからだと自負しています。苦労の甲斐あり、当時伸び悩んでいた業績はV字回復しました」。

■50周年を記念した取り組み

50周年を記念して実施した取り組みについても尋ねてみた。

「今春に、みんなでRingsポーズキャンペーンを実施しました。いわゆる写真投稿キャンペーンですね。ポテコやなげわを使ったRingsポーズの画像を添えてSNSに投稿していただいたんですが、お子さんが全ての指にポテコをつめて『ガォー』としている写真とか、チョコを使って指輪のようにデコレーションしたなげわの写真など、楽しい作品をたくさん投稿していただきました。東ハトでは、ほかの商品でも写真をSNSに投稿するキャンペーンを実施することがありますが、多くの場合、商品が中心に写っています。でもポテコ、なげわの場合は、お子さんや家族が写真の中心にきています。指にはめた姿を撮影できるお菓子、というポテコ・なげわならではのメリットを改めて感じました」。

さらに50周年の記念商品として、2023年上期には「インカのめざめペースト」を生地に練りこみ、アンデスの塩で素材の味わいを引き立てた『インカのポテコ』を販売した(現在は販売終了)。速水氏は「お客様からは『いつものポテコと違う』『特別感がある』という反応をいただき、SNSでも大きな反響となりました」と話す。

その上で「下期には『スペシャルチーズポテコ・トリュフ香るチーズ味』を10月30日に発売します。ポテコにトリュフを入れた商品です。トリュフとチーズのバランスがポイント。食べ始めにトリュフがさりげなく香り、その後でカマンベールチーズの濃厚さが広がります。生地も少し厚くして、一粒あたりの満足感を上げました。きっとワインにも合うでしょう」とアピールする。

  • 『スペシャルチーズポテコ・トリュフ香るチーズ味』(164円)は10月30日に発売

また、大事にしているテーマについても聞いた。「ポテコ、なげわでは"子どもも大人も、家族そろって楽しく食べる"という世界観を大事にしています。指にはめて食べられる独特の形状、可愛らしいキャラクターなど色んな要素があいまって、その世界観が出来上がっていったと思うんです」。

50年間、愛され続けてきた商品。今後、どんなところに力を入れていくのだろうか。

速水氏は「現在は、若年層に向けての製品施策を考えています。引き続きプロモーションなどにも注力してファンを増やしていく方針です。これからも親子で楽しんでもらえるような商品として確固たる位置を築いて、次の50年につなげていけたらと思っています」と笑顔で話した。