ダイハツ工業が「ジャパンモビリティショー2023」(一般公開日は10月28日~11月5日)に展示しているコンセプトカー「ミーモ」(me:MO)は、ユーザーに合わせて「成長」していくポップな軽EV(軽乗用車の電気自動車)だ。どんな特徴を備えたクルマなのか、デザイナーに話を聞いてきた。
3Dプリンターで外板パネルを製作!
ミーモのテーマは「クルマと人の関係の再定義」。「ミー」は「私」、「モ」は「モビリティ」を意味する。「私と共に変化していく、成長していくモビリティ」(以下、カッコ内はダイハツのデザイナー)という思いを込めて名付けた。
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「ミーモ」のボディサイズは全長2,955mm、全幅1,475mm、全高1,590mm、ホイールベースは1,985mm。全長が3mを切るミニマムサイズの軽EVで、4人乗車は可能だが「2+2」のイメージで作ったとのこと
どう変化するのか。わかりやすいのが「外板パネル」だ。展示車両はオレンジと緑のポップな外板パネルを装着しているが、この部分は付け替えができる。
展示車両のミーモでは、3Dプリンターを用いた造形を得意とする京都の設計者集団「新工芸舎」とコラボ。こうしたクルマの作り方が可能なのであれば、外観はユーザーの好みに応じたデザインと素材で装飾できる。リサイクル可能な素材を使えば持続可能なクルマ作りにもつながる。
クルマはボディカラーのラインアップやカスタムパーツの品ぞろえがどれだけ多くても、突き詰めて考えれば既存の選択肢から選ばなければいけない工業製品だ。自分好みにすみずみまでカスタマイズできるクルマを探せば、ロールスロイスなどの超高級車に限られてしまうだろう。ミーモであれば、手軽にクルマのパーソナライズを楽しめるかもしれない。クルマの作り方からリサイクルの方法までを考えて乗れるミーモには、「クルマ(軽自動車)を(特に若年層にとって)身近な存在にしたい」との思いを込めたという。
3Dプリンターで外板パネルを製作できるということは、乗る人によって千差万別な見た目の「ミーモ」が生まれる可能性があるということだ。ファッションブランドや家具メーカーなどとのコラボで個性的な「特別仕様車」が誕生する見込みもある。素のミーモはプラットフォームで、そこにユーザーが望みのものを乗っけていくようなイメージなのかもしれない
クルマの内装については、「見ただけでは機能がわからない設備やスイッチが多い」との声が届いているという。そこでミーモでは、それぞれの機能がひと目でわかるように内装を工夫した。例えば中央にあるダイソンの掃除機のような設備は、初見で空調関係の何かだと理解できる形をしている。稼働中は中のファンが動いている様子が視認できるとのこと
ミーモはEVを想定したコンセプトカーだが、ボンネットの形状などはエンジンも積めるようにしてあるという。なので、ガソリンエンジン搭載モデルとEVの両方をラインアップすることも理論上は可能だそうだ。このまま商品化してくれるのかどうかは不明だが、ダイハツの楽しい軽EVの具体化に期待が膨らむ1台だった。