リスクモンスターは10月25日、第3回「借金王ランキング」調査の結果を発表した。調査は、2023年7月1日時点で開示されていた2022年4月期決算以降の最新決算書を分析。対象企業は、金融機関(銀行、証券会社、保険会社等)を除く決算短信提出企業3,192社。
上場企業の決算短信(金融機関除く)の記載に基づき有利子負債を算出した結果、「借金王ランキング」の1位は「トヨタ自動車」(有利子負債29兆3,803億円)となった。調査開始以来、有利子負債額が増加し続けながらも、3期連続で「EBITDA」が1位となっていることから、借り入れた資金を積極的に事業に投下(リスクテイク)し、収益(リターン)を得ている模範的な事例を提供していると言える。
以下、2位「ソフトバンクグループ」(同19兆4,782億円)、3位「日本電信電話」(同8兆2,305億円)、4位「本田技研工業」(同7兆6,652億円)、5位「三菱HCキャピタル」(同7兆6,318億円)、6位「日産自動車」(同6兆9,029億円)、7位「ソフトバンク」(同6兆1,345億円)と続き、トップ20の業種としては、自動車製造業、物品賃貸業、通信業、電気小売業が3社ずつランクイン。特に、自動車製造業と通信業においては、上位7社までに3社ずつがランクインしており、事業の特性から多額の資金調達が必要になる業種であることがうかがえた。
また、「ソフトバンクグループ」「三菱HCキャピタル」「ソフトバンク」「オリックス」をはじめ、トップ20のうち「自己資本比率が30%未満」の企業は12社。一見すると財務安全性が低いように見受けられるが、手元資金を潤沢に確保して安全性を保っていることがわかる。
さらに、上場企業の収益力を計る指標として、「EBITDA」「営業キャッシュフロー」を集計してランキングしたところ、EBITDAでは、「トヨタ自動車」「日本電信電話」「ソニーグループ」「ソフトバンク」「KDDI」が上位となり、営業キャッシュフローでは、「トヨタ自動車」「日本電信電話」「本田技研工業」「三菱商事」「日産自動車」が上位に。
借金王ランキングトップ20のうち8社がEBITDAランキングにランクインし、10社が営業キャッシュフローランキングにランクインしていることから、借入調達した資金を事業に投下しリスクテイクすることで、より多くのリターンを獲得しているよう。
借金王ランキングの上位企業には、安全性が低いと評価されるような企業はほとんどみられず、借入により財務レバレッジを高めることで、より大きな収益の獲得に成功していたり、十分な量の現預金を保有しておくことで、事業環境の変化に備えていたりと、資金調達を自社の成長や安定化のために活用していることがうかがえた。