今年もクラフトビールの祭典がやってくる。スプリングバレーブルワリーによる「クラフトビール ジャパンホップフェスト2023」は10月21日と22日の2日間、スプリングバレーブルワリー東京(代官山)にて開催。選りすぐりの約20種類のクラフトビールと、美味しい料理とのペアリングが楽しめる趣向だ。

  • 「クラフトビール ジャパンホップフェスト2023」が開催。写真は、スプリングバレーブルワリー代表取締役社長の井本亜香氏(左)と同社 ヘッドブリュワーの辻峻太郎氏(右)

■日本産ホップを味わう

「クラフトビール ジャパンホップフェスト2023」は、キリンビールのブランドであるスプリングバレーブルワリーが毎年開催している”日本産ホップを使ったクラフトビール”を楽しむ祭り。2日間(全4回)の入替制で、料金は1階のフリー席が2,500円(事前予約と当日券あり)、2階の予約席が5,000円(事前予約のみ)。ビール(280ml)もしくはフード(500円)と交換できるチケットが、1階席では5枚、2階席では10枚付いてくる。

  • 会場となる、スプリングバレーブルワリー東京(東京都渋谷区代官山町13-1 ログロード代官山内)。チケットは公式サイトで販売中だが、一部、売り切れの回も出始めている

参加予定ブルワリーは、以下の20社となる。

  1. KAKEHASHI BREWING(京都府)
  2. ヤッホーブルーイング(長野県)
  3. 常陸野ネストビール(茨城県)
  4. 八ヶ岳ブルワリー(山梨県)
  5. ロコビア(千葉県)
  6. ベアレン醸造所(岩手県)
  7. 遠野麦酒(岩手県)
  8. ISHINOMAKI HOP WORKS(宮城県)
  9. NAMACHAんBrewing(東京都)
  10. 那須高原ビール(栃木県)
  11. サンクトガーレン(神奈川県)
  12. ふたこビール醸造所(東京都)
  13. オラホビール(長野県)
  14. NUMBER NINE BREWERY(神奈川県)
  15. 横浜ビール醸造所(神奈川県)
  16. 湘南ビール(神奈川県)
  17. 南横浜ビール研究所(神奈川県)
  18. 京都・一乗寺ブリュワリー(京都府)
  19. JouZo BEER BASE(徳島県)
  20. Spring Valley Brewery(東京都)
  • こちらは10月24日より全国で発売となるSPRING VALLEY JAPAN ALE<香>の缶商品

スプリングバレーブルワリーの井本氏は”ビールの魂”とも言われるホップについて「実は国内のホップ農家さんが減少傾向にあります。その生産量は2008年頃と比較すると半減以下になってしまいました」と危機感を募らせる。

  • 日本産ホップの現状

そこでキリングループでは生産地のブルワリーを支援するとともに、国内で生産されたホップを使ったクラフトビールを積極的に商品化する取り組みを継続している。2027年に日本産ホップの収量100トンを維持することが当面の目標だという。

  • スプリングバレーブルワリー代表取締役社長の井本亜香氏。日本産ホップの安定調達に向けて取り組みを活発化する

こうした状況のなかで、スプリングバレーブルワリーでは「商品開発」「交流・協働」に注力し、業界の人材育成とクラフトビールの品質向上を図っていく。井本氏は「例えば出来上がったクラフトビールに対して、我々の技術者が分析し、官能評価することで品質の向上につなげます。ブルワリー同士の交流も促進していきます」と説明する。また、消費者に向けては「記憶に残る飲用体験の場」を創出し、「間断ない情報発信」により興味喚起していく方針。催事やイベントでクラフトビールの露出を増やすことで、消費者に『いまクラフトビールのブームが来ているな』『なんか楽しそうだな』と思ってもらえるようにしていきたい、と展望を語る。

  • スプリングバレーブルワリーの取り組みの成果。2023年度は国内外のビアコンペティションで53個のメダルを獲得しており(9月末現在)、ブルワリーの価値向上につなげている

  • クラフトビール業界全体の品質向上を目指し、官能評価会などを実施する

ちなみに昨年までは「フレッシュホップフェスト」としていたこの恒例のイベントも、今年から「クラフトビール ジャパンホップフェスト」に改名。この理由については「皆さんに『日本産ホップで作ったクラフトビールってこんなに美味しいんだ』と気づいてもらう狙いがあります。こうした体験の場をつくるのも、私たちの役目だと考えています」と話した。

会場では、12種類の美味しい料理とのペアリングを楽しむことができる。ヘッドブリュワーの辻氏は「一般的にホップの苦味が穏やかなクラフトビールだと、お料理との相性が良いと思います」とし、例としてスプリングバレー×炙り寿司、といったペアリングは「魚の風味を引き立てる」と解説。サンクトガーレンの『フレッシュホップIPA』も日本酒で言うところの”辛口”のビールであり、料理を邪魔しないと説明する。

  • 炙り寿司とサーモンロール寿司

ムール貝のビール蒸しは、ベルギービールとのペアリングを連想させる。ここは柑橘の爽やかな香りがただよう遠野麦酒ZUMONAと相性が良いのでは、と辻氏。

  • ムール貝のビール蒸し

このほか、肉類は色の濃いビール、苦味が強いビールと合わせるのが定石ということで、燻製ローストビーフ×オラホビールの『フレッシュホップ・インベーダー』を薦めた。

  • 燻製ローストビーフ

友人と来場してオススメのペアリングを披露し合うも良し、1人で来場して意外な組み合わせを試すも良し。辻氏も「同じ料理でも、別のビールを合わせることで別の味わいに変わります。そこがペアリングの面白いところなので、行ったり来たりを繰り返してみてください。皆さんに楽しい出会いと発見があることを願っています」と話していた。