東京商工リサーチは10月5日、第14回「地ビールメーカー動向」調査の結果を発表した。調査は9月1日~29日、全国の主な地ビールメーカー239社を対象にインターネットで行われた。

  • 地ビールメーカー出荷量月次推移

    地ビールメーカー出荷量月次推移

出荷量が判明した全国の主な地ビールメーカー65社の2023年1-8⽉の総出荷量は、1万118.0kℓ(前年同期比9.1%増)だった。2023年は、1月の出荷量が前年同期比10.0%増の934kℓと好調にスタート。続く2月は951kℓ(同31.7%増)、3月は1,313kℓ(同27.2%増)と急伸し、4月以降、伸び率はやや鈍化したが、6月の1,301kℓ(同3.1%減)を除き、月次の出荷量は増加傾向に。

需要期である7月は猛暑が続き、1,656kℓ(同9.1%増)と2023年1-8月で月次最多の出荷量を記録。8月は、近年は天候不順などで出荷量が落ち込むことが多かったが、1,414kℓ(同5.4%増)と1,000kℓの大台を維持した。

  • 地区別出荷量の増減

    地区別出荷量の増減

出荷量の増減については、65社のうち「増加」が50社(構成比76.9%)、「減少」が12社(同18.4%)、「横ばい」が3社(同4.6%)という結果に。出荷量が増加した要因(複数回答)は、「外出、遠出が増え需要が伸びた」(33社)、「飲食店、レストラン向けが堅調」(30社)、「スーパー、コンビニ、酒店向けが好調」(24社)など、コロナ禍後の人流回復と需要開拓が功を奏したよう。また、積極投資による生産設備の強化もプラス効果を生み、「生産設備の増強」も8社あった。

地区別では、「北海道」を除く8地区で増加となり、最多は「関東」の4,880kℓ(前年同期比6.4%増)。増加率トップは、「九州」の340kℓ(同21.9%増)で、出荷規模の大きいメーカーが出荷量を大幅に伸ばした。

  • 出荷量ランキング

    出荷量ランキング

出荷量メーカーランキングでは、地ビール醸造の全国第1号・新潟県の「エチゴビール」(2,355kℓ、前年同期比2.3%増)が、圧倒的な強さで12年連続1位に。米国展示会などに積極的に参加し販路拡大を図るなど、国内のみならず、国内外での販売強化に意欲的。

続く2位は、茨城県の「木内酒造1823」(1,285kℓ、同14.6%増)がランクイン。ビール製造設備を増強し、年間生産量を拡大。『常陸野ネストビール』の輸出に積極的で、これまでに40カ国に輸出し輸出シェアを高めている。

3位は三重県の「二軒茶屋餅角屋本店」(801kℓ、同22.1%増)。インドでのビール生産に乗り出すことを明らかにしており、自社ブランドビール『伊勢角屋麦酒ペールエール』を現地メーカーと組み、日本産のブランドビールとして今秋から製造販売する。地ビールの海外生産としては珍しいケースとなる。

以下、4位は『べアレン・クラシック』で有名な岩手県「ベアレン醸造所」(580kℓ、同9.0%増)、5位は北海道「網走ビール」(399kℓ、同17.2%減)と続き、1-8月の出荷量が100kℓを超えた地ビールメーカーは、前年より5社多い23社となった。