「ハリー・ポッター」シリーズは、2011年公開の『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』で完結を迎えました。ただ、同作公開後もニュート・スキャマンダーが主人公となった映画「ファンタスティック・ビースト」シリーズが公開されるなど、一連の「魔法シリーズ」はまだまだ盛り上がりを見せています。

スクリーン以外にも、2023年6月にはアトラクション施設「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京‐メイキング・オブ・ハリー・ポッター」が東京都にオープンし、2022年7月から日本でも舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』のロングラン上演が始まるなど、その人気は続いています。

この「ハリー・ポッター」シリーズと「ファンタスティック・ビースト」シリーズの両方に登場し、キーパーソンとなっているのが、ホグワーツ魔法魔術学校の校長であるアルバス・ダンブルドアです。「最強の魔法使い」とも言われたダンブルドア校長は、時にやさしく、時につきはなしながらも、ハリー・ポッターの成長やニュート・スキャマンダーの冒険を見守ってきました。

この記事では、映画でこのダンブルドア校長を演じた俳優たちや、「ハリー・ポッター」シリーズ、「ファンタスティック・ビースト」シリーズの中で、演じる俳優が途中で交代したキャラクターについて紹介していきます。

「ハリー・ポッター」シリーズの歴代ダンブルドア

映画「ハリー・ポッター」シリーズでアルバス・ダンブルドアを演じた歴代の俳優を紹介します。

初代ダンブルドア:リチャード・ハリス(老年期)

2001年のシリーズ第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』、2002年の第2作『ハリー・ポッターと秘密の部屋』でダンブルドア校長を演じたのは、1930年生まれの俳優リチャード・ハリスです。理知的で落ち着いた雰囲気の彼は、絶対的リーダーであるダンブルドア校長にふさわしい重厚さを感じさせる俳優です。

アイルランド出身のリチャード・ハリスは、ロンドン音楽演劇アカデミーで演技を学びました。1959年に『地獄で握手しろ』で映画デビューを飾っています。1963年の『孤独の報酬』では、カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞。一時期は低迷したものの、1990年代以降は『許されざる者』(1992年)、『グラディエーター』(2000年)などで復活し、高い評価を受けました。2002年10月、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』プレミアの直前に悪性リンパ腫が悪化し、逝去されました。

病気のこともあり、リチャード・ハリスは「ハリー・ポッター」シリーズへの出演を一度は断ったそう。しかし、孫娘から「絶対に出てほしい!」とのリクエストを受けて、出演を決めたそうです。

リチャード・ハリスの主な出演作 『キャメロット』(1967年)/『クロムウェル』(1970年)/『パトリオット・ゲーム』(1992年)/『グラディエーター』(2000年)など

2代目ダンブルドア:マイケル・ガンボン(老年期)

2004年のシリーズ第3作『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』以降、最終作の『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』まで、1940年生まれのマイケル・ガンボンがダンブルドア校長を演じました。シリーズを重ねるに従い、主人公のハリーが成長していくこともあり、ダンブルドア校長もより人間的な顔を見せるようになります。マイケル・ガンボンはイタズラ好きで茶目っけを感じさせるダンブルドア像を作り上げました。

アイルランド出身のマイケル・ガンボンは、王立演劇学校卒業後、ロンドンのナショナル・シアターに所属し、シェイクスピア作品などに出演しています。1965年にローレンス・オリビエ主演の『オセロ』で映画デビューしました。実力派のバイプレイヤーとして、イギリスを舞台にした多くの作品で活躍しています。

マイケル・ガンボンの主な出演作 『コックと泥棒、その妻と愛人』(1989年)/『ゴスフォード・パーク』(2001年)/『ライフ・アクアティック』(2005年)/『ヴィクトリア女王 最期の秘密』(2017年)など

3代目ダンブルドア:トビー・レグボ(青年期)

アルバス・ダンブルドアを演じた3人目の俳優は、1991年生まれのトビー・レグボです。2010年の『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』でダンブルドアの若き日の役で出演。さらに2018年の『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』でも若きアルバス・ダンブルドアを演じました。

ロンドン出身のトビー・レグボは、2006年にテレビシリーズ『Sharpe』で俳優デビュー。2009年に『ミスター・ノーバディ』でスクリーンデビューしました。端正で知的さを感じさせる美貌は、才気あふれる若きダンブルドアにぴったりです。

トビー・レグボの主な出演作 『ミスター・ノーバディ』(2009年)/『ワン・デイ 23年のラブストーリー』(2011年)/『マレフィセント』(2014年)など

4代目ダンブルドア:ジュード・ロウ(壮年期)

『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』(2018年)、『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』(2022年)で40代後半のアルバス・ダンブルドアを演じたのは、ロンドン出身のジュード・ロウです。絶対的な才能を持つハンサムな伊達男というダンブルドアの壮年時代にふさわしい、おしゃれな演技を見せています。

ロンドン出身のジュード・ロウは、1994年の『ショッピング』で映画デビューしました。1997年の『ガタカ』、1999年の『リプリー』で注目を浴び、以降さまざまな作品に出演しています。

ジュード・ロウの主な出演作 『オスカー・ワイルド』(1997年)/『スターリングラード』(2001年)/『シャーロック・ホームズ』(2009年)/『ピーター・パン&ウェンディ』(2023年)など

俳優が変わっていた「ハリー・ポッター」シリーズのキャラ一覧

「ハリー・ポッター」シリーズと「ファンタスティック・ビースト」シリーズを合わせると20年以上にわたることから、劇中のキャラクターも成長したり変化したりしていきます。

その間、演じている俳優の状況にも変化が訪れることもあります。それを証明するかのように、ダンブルドア校長以外にも、キャストが変更になっているキャラクターが両シリーズに多数存在しています。

ここからは、シリーズの途中で俳優が変わっているキャラクターについて、紹介していきます。

ヴォルデモート

【リチャード・ブレマー(壮年期)】

「ハリー・ポッター」シリーズに登場する「名前を言ってはいけない魔法使い」ヴォルデモート。実はヴォルデモート役としてスクリーンに初登場したのは俳優のリチャード・ブレマーです。シリーズ第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』でクィレル先生の後頭部に浮き出たヴォルデモートの顔は、リチャード・ブレマーが演じています。

【レイフ・ファインズ(壮年期)】

シリーズ4作目となる『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』からヴォルデモート役として本格的に登場したのは、レイフ・ファインズです。シリーズ最終作の『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』まで、ハリー・ポッターの宿敵・ヴォルデモートを迫力たっぷりに演じました。

【クリスチャン・コールソン(青年期)】

2002年の『ハリー・ポッターと秘密の部屋』でヴォルデモートの若き日、ホグワーツの生徒時代、16歳のトム・マールヴォロ・リドルを演じたのは、クリスチャン・コールソンです。

【ヒーロー・ファインズ・ティフィン(少年期)】

2008年のシリーズ第6作『ハリー・ポッターと謎のプリンス』で11歳のトム・マールヴォロ・リドルを演じたのは、ヒーロー・ファインズ・ティフィン。ヴォルデモート役のレイフ・ファインズのおいでもある若手俳優です。

【フランク・ディレイン(青年期)】

2008年の『ハリー・ポッターと謎のプリンス』、2011年の『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』で16歳のトム・マールヴォロ・リドルを演じたのは、フランク・ディレインです。俳優のスティーヴン・ディレインの息子にあたる若手俳優です。

ゲラート・グリンデルバルド

【ジェイミー・キャンベル・バウアー(青年期)】

ヴォルデモートが出現するまでは、最も強力な闇の魔法使いだと言われていたゲラート・グリンデルバルド。「ファンタスティック・ビースト」シリーズのメインディランであるグリンデルバルドですが、スクリーンに初登場したのは、2010年の『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』です。10代の頃の写真に映るグリンデルバルドをジェイミー・キャンベル・バウアーが演じています。彼は2018年の『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』でも、若き日のグリンデルバルドを演じました。

若きゲラート・グリンデルバルドは、友人だったアルバス・ダンブルドアと愛し合っていました。しかし、ある事件をきっかけに2人は決裂。30年近く、会うことはありませんでした。

【ジョニー・デップ(壮年期)】

『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』(2016年)、『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』(2018年)でゲラート・グリンデルバルドを演じたのは、ジョニー・デップです。青白い肌に短い白金髪、白っぽい衣装という姿で、冷酷で残忍なグリンデルバルドを表現していました。

ジョニー・デップは元妻のアンバー・ハードから家庭内暴力で訴えられ騒動になったことなどにより、ゲラート・グリンデルバルド役を2作で降板することとなりました。

【マッツ・ミケルセン(壮年期)】

ジョニー・デップの降板により、『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』(2022年)でゲラート・グリンデルバルド役に選ばれたのは「北欧の至宝」ことマッツ・ミケルセンです。黒髪でスリム、ダークスーツというジョニー・デップのグリンデルバルドとはまったく違う外見ながら、その酷薄な雰囲気はグリンデルバルドそのもの。他者を利用して踏みつける、冷酷な闇の魔法使い像を見せてくれました。

【マイケル・バーン(老年期)】

『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』(2010年)で晩年のゲラート・グリンデルバルドを演じたのは、1943年生まれのイギリス人俳優、マイケル・バーンです。

長年幽閉されていたゲラート・グリンデルバルドは、老年期に入り改心していました。そんな彼の元に、死の秘宝の一つであるニワトコのつえを求めてヴォルデモートがやって来ます。グリンデルバルドはヴォルデモートに「おまえは勝てない」と言い放ち、殺されてしまいます。旧友にして仇敵だったダンブルドアへの思いが感じられる最期でした。

エルファイアス・ドージ

【ピーター・カートライト】

不死鳥の騎士団の創立メンバーで、ダンブルドアの学友であるエルファイアス・ドージ。映画初登場は、2007年のシリーズ第5作『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』。この作品でエルファイアス・ドージを演じたのは、1935年生まれのイギリス人俳優、ピーター・カートライトです。彼は2013年に死去しています。

【デヴィッド・ライオール】

シリーズ第7作『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』(2010年)でドージを演じたのは、同じく1935年生まれのイギリス人俳優、デヴィッド・ライオールです。彼は2014年に死去しました。

ダンブルドア校長が変わったタイミングを紹介しました

J・K・ローリングが生み出した魔法の世界を、イマジネーションあふれる映像で映画化した「魔法シリーズ」。2001年に『ハリー・ポッターと賢者の石』からスタートした「ハリー・ポッター」シリーズに続き、2016年に『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』から始まった「ファンタスティック・ビースト」シリーズと、その世界は大きく広がっています。

ホグワーツ魔法魔術学校、魔法省、ダイアゴン横丁など、同一の世界観の中で展開していく「魔法シリーズ」では、同じキャラクターが時代を超えて何度も登場することも。そのため、同じキャラクターを複数の俳優が演じるという事態も生じます。違う俳優が演じていても、同じキャラクターの魂を感じられるのは、やはり魔法の世界だからかもしれません。

J・K・ローリングが創造し、クリス・コロンバス、アルフォンソ・キュアロン、マイク・ニューウェル、デヴィッド・イェーツといった才能あふれる映画監督たちが映像化し、俳優たちが魂を吹き込んできた魔法の世界。すばらしい俳優の演技とその映像美を味わいに、この魔法ワールドにぜひまた足を踏み入れてみてください。

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