「応援してたら、応援されてた」ーー。このステキなワードは、「ツール・ド・東北」がかねてから使い続けているキャッチコピーである。

9月16日、17日、宮城県石巻市などで「ツール・ド・東北 2023」が開かれた。全国から約1,900人がエントリーし、復興の進む沿岸部を颯爽と駆け抜けたのだが、今回は「チーム マイナビニュース」もしれっと参加。ノリでエントリーした素人集団だけに、地元の皆さまの温かい声援と美味しいグルメがなければ、完走すら危うかったに違いない。

ということで、宮城の魅力と男たちの熱い闘いの一部始終をお届けしよう!

■「ツール・ド・東北 2023」チーム マイナビニュースの闘いが今、始まる!

ツール・ド・東北は、東日本大震災の復興支援などを目的に2013年からスタート。開催当初は震災の爪痕が色濃く残っていたが、回を重ねるごとに目覚ましい復旧・復興を遂げていった。

コロナ禍のあおりで2020年大会は中止、2021年大会はオンライン開催になるなど苦難にも見舞われたが、第10回記念大会となった今年は見事にコロナ禍を乗り越え、4年ぶりに従来の規模での開催となった。

コースは2日間で計5コース。最長距離は会場の石巻専修大学から気仙沼まで走る「気仙沼フォンド」(210km)で、チーム マイナビニュースが出場したのは、当然、もっとも短い「女川・雄勝フォンド」(65km)である。

  • マイナビ学生の窓口などを統括するF部長(左)、編集部門の責任者H部長(中央)、編集推進部のS部長(右)。いずれも部署を代表するキーマンたち。

ここでチーム マイナビニュースの選手たちについて、簡単に触れておこう。

編集部門の責任者であるH部長はもともとロードバイクでのサイクリングを趣味とするベテランだが、今回は数年ぶりのロングライドとなる。東京から持参した自前のロードバイクで参加するなど、気合は十分だ。

マイナビ学生の窓口などを統括するF部長も学生時代にロードバイクをかじった経験者。サーフィンを趣味とするアクティブ派でスタミナには自信アリ。この日のためにサイクルジャージからグローブまで揃えるなど、やはり気合は十分だ。

編集推進部のS部長は今大会に向け、大胆な肉体改造に着手。チームメイトには「豚骨ラーメンとマクドナルドのどっちを我慢しようかで悩んでる」と伝えて油断を誘いながら、裏では糖質制限ダイエットに励み、鶏のささみ肉を中心とした食生活を送った結果、約1カ月で5kgもの減量に成功した。誰よりも気合は十分である。

この日の天候は曇り、気温は28度。厳しい残暑が続く季節にあって、絶好のロードレース日和である。

出走直前、東日本大震災の被災者に黙祷を捧げるライダーたち。

そしていよいよ、出陣!

いざ、出陣!

チーム マイナビニュースも出陣じゃ~!

「やばっ、めっちゃ気持ちいい~!」「ロードバイクってめっちゃ快適っすね!」「車体、軽っ!」「結構簡単にスピードが出ますね!」「こんなにすごい自転車なら、65kmなんてすぐに走り切っちゃうっしょ~!」とテンションが上がりまくるマイナビニュースのライダーたち。その威勢、いつまで続くかな?

沿道からはさっそく声援が。本当にありがとうございます!

レースには「走行管理ライダー」が伴走。万が一のトラブルにも対応してくれる頼もしい存在だ。

石巻専修大学を出発してまもなく広がる田園風景。収穫目前の田んぼは美しい黄金色に輝いている。のどかな雰囲気で本当に気持ちいい~!

……と浮かれたのも束の間、さっそく山道に突入。イカつい傾斜に選手たちも面を食らっている様子だ。ギアをできるだけ軽くし、ヒーヒー言いながらペダルを踏み込む。

しかし当然、山を登れば下ることになるわけで……

下り坂は超快適! 登り坂で乳酸が溜まった脚を休ませながら一気に駆け下りていく。

ちょっと回復して余裕の表情! これから国道398号、女川街道へ出て沿岸部を進む。

海を眺めながらのライドで気持ちも晴れやかに。

リズムカルにペダルを回していくチーム マイナビニュース。

もちろん水分補給も忘れない。太陽が雲に隠れているとはいえ、坂道を登るたびに大量の汗が全身から吹き出す。

そしてついに……!

ひとつめのエイドステーションである「女川(おながわ)AS」に到着! 場所は女川駅前、スタートから17km地点の場所である。

ライダーたちに振る舞われたのは、女川名物の「女川汁」だ。サンマのすり身が入った塩味ベースの汁物だという。

東京ではあまり馴染みがないフードだが、どんな味なのだろう?

F部長「ああ〜、沁みる~! ウマい! 出汁がめちゃくちゃ効いてるし、サンマのつみれもホロホロで最高! もう一杯もらいたいけど、そんに欲張っちゃダメですよね……あっ、給水所でコーラも配られてる! さっそくいただいちゃおう!」

女川汁に舌鼓を打ち、身体を休めるチーム マイナビニュースのメンバーたち。

10分程度の休憩を挟み、ボトルにスポーツドリンクを注ぎ足したら再びコースへ。

次のエイドステーションまで21km、張り切って行こう!

坂道で謎にスプリントを仕掛けるH部長。休憩直後とはいえ、そんなに飛ばしたらすぐバテてしまうのでは……。

トンネル内もぐんぐん進む! 登り坂だけど、道路がなめらかだからものすごく走りやすい。

雄大な太平洋。12年前にこの街を襲ったとは思えないほど美しい。

第二のエイドステーション「雄勝(おがつ)AS」に到着!

なにやらいい匂いが……。あっ、あれは! ホタテやんけ!

ここでは地元産のホタテと宮城県沿岸で水揚げされた銀鮭むすびなどが振る舞われた。

勢いよくおにぎりを頬張るチーム マイナビニュースのライダーたち。地元のおかあさんたちが丹精を込めてにぎってくれたのだという。美味しいな~。嬉しいな〜。エネルギー補給にも最適である。ホタテも味が濃厚でめちゃくちゃウマい!

ここでスポーツジャーナリストの中西哲生さんを発見! 石巻市の「いしのまき観光大使」を務め、ツール・ド・東北では東北応援大使にも任命されている。

「(ツール・ド・東北には)毎回出ているので、走るたびに復興していることを実感しますね。最近は道路の補修も進んで、かなり綺麗で走りやすくなりました。でも、まだまだやらないといけないことは多いと思います」

さらに中西さんは、「ツール・ド・東北は参加者のリピート率が高いんですよ。エイドステーションでは美味しいご飯を食べられるし、満足度がかなり高いんですよね。タイムを競うというより、自転車を楽しもうという感覚が強いと思います。終わったあとに、新幹線で飲むハイボールがめちゃくちゃウマいんですよ(笑)」と大会の魅力について語ってくれた。

ふたつめのエイドステーションを出発した後は、いきなりの登り坂! しかもかなりの距離である。すでに40km以上を走り、脚にもだいぶ疲労が溜まってきたところでこの勾配は、ちょっとヤバいかも。これマジで完走できるのか? と諦めそうになっても……

沿道からの応援で何度でも立ち直る。

何度だって持ち直す。

ツール・ド・東北は被災地を応援するために始まったイベントだが、「応援してたら、応援されてた」のキャッチコピーどおり、地元の皆さんの応援こそがライダーたちに力をくれるのだ。なんとありがたいことか……。

北上川で記念撮影。このまま川沿いを西へ7kmほど走れば、ゴールはもうすぐそこだ。

ラストスパートに備え、水分補給。

住宅街に戻ってきた! ゴールは限りなく近い!

見えた!!

ゴールだ!!!!

チーム マイナビニュース、見事に65kmを完走〜!!!!!!

転倒などの事故もなく、無事にレースを終えた戦士たち。勾配がキツい登り坂などでは口数が減ったりもしたが、最後の最後まで笑顔を忘れずにフィニッシュすることができた。

H部長「久しぶりのロードバイクでしたけど、やっぱり気持ちよかったですね。坂道は本当に疲れました。これを機に、東京に帰ってもまたちゃんとバイクに乗り始めようかな……(笑)」

F部長「いや〜、疲れましたね! でも、65kmくらいがちょうど楽しく走れる距離だったんじゃないですか? 自転車って、こんなに面白かったっけ。これからも機会があれば乗りたいな〜」

S部長「1ヶ月間のダイエットが功を奏して、なんとか完走できました。せっかく痩せたんだし、このまましばらくダイエットを続けてみようと思います。健康診断の数字もあまりよくなかったので、見返してやりますよ!」

身体はクタクタでも、心はますますウキウキしている様子の3人。それもこれも、温かい地元民のみなさんと美味しい地元グルメ、そして美しい東北の景色のおかげ。ツール・ド・東北、最高~!