最新技術を駆使した見守りシステムや介護ロボットなど、介護する人もされる人も「負担が少なくなる製品・サービス」が続々登場。そんな最新の介護事情を垣間見られる業界関係者向けイベント「CareTEX札幌'23」を見学してきました。
介護の食からテクノロジーまで幅広く展示
会場となったアクセスサッポロには、業務効率化や職員の負担軽減を促進させるITツール、介護ロボットやケアフード、介護施設向けの新商品やサービスが集結しており、介護の現場に携わる多くの人が来場していました。
出展ブースの中でも多く目についたのは、BCP対策や経営支援、介護統合システムといったITツール。どの業界も担い手不足が課題となっていますが、とりわけ介護業界は急務なのかもしれません。
高機能AIを搭載した見守りアイテムも登場
最近は赤ちゃんやペット用など見守りカメラの活用が、一般的になってきました。それは介護の現場においても同じ。しかし、介護となるとセンシティブな場面も多くなりますので、シルエット画像やウェアブルなどを活用し、プライバシーに配慮されたものが主流でした。
在宅介護や遠く離れた家族の見守りなどに取り入れられそうなのが、ドアの開閉があると連携しているスマホに連絡が届くというシンプルな「開見(かいみ)ちゃん」。
コンパクト設計で取り付けも簡単にできるそうです。帯状のシートを布団やマットレスの下に敷くだけで、心拍や呼吸の状態を検知する『ベッドモニターケア』もありました。
これらを製造している竹中エンジニアリングは、セキュリティ・情報機器を扱う京都に本社のあるメーカー。
「セキュリティで培ったノウハウを介護に活かし、人々の生命・財産・快適を守るために製品やサービスを提供しています」。(ヘルスケア事業部 次長 田中さん)
使いやすくてコンパクトな介護ロボット
身体介護というと、体への負担が大きいというイメージですが、最近は介護支援をするロボットというのが続々と誕生しています。
各種ある中でも一般住宅サイズで介護保険レンタル対応なので、在宅介護で取り入れられそうなのが「移乗サポートロボットHug」。
電子部品実装ロボットや工作機械を手掛けるFUJIによるこのロボットは、ベッドから車椅子、車椅子からトイレへの乗り移りといった移乗動作をサポートしてくれます。
体をやさしく包み込んでくれる安定感も魅力で、「ベルトやスリングもなく、簡単に操作できるのが特徴です」。(ロボットソリューション事業本部 主査 福祉用具専門相談員 竹本さん)
「第9回 ロボット大賞2021 厚生労働大臣賞」を受賞し、国内では3,500台以上出荷しており、海外でも注目されているそうです。
災害用の備蓄アイテムとしても活躍! 簡易トイレ
在宅介護のトイレ問題を緩和する一助になるのが、ポータブルあるいは簡易トイレ。簡単に設置できるので便利ですが、排泄物の臭いが部屋にこもる、排泄後の処理が大変などという悩みもあります。
建築用、自動車用分野をはじめ各種塗料を扱う関西ペイントは、"漆喰"に消臭や抗菌効果があることに着目して、漆喰塗料が塗布されたシートシールなどを提供していましたが、2021年からダンボール製簡易トイレをリリース。
「防災備蓄用に開発した簡易トイレですが、コロナの隔離生活や在宅介護のトイレ問題に貢献できるのではと考えています」。(関西ペイント 汎用塗料事業本部 建設塗料統括部 マーケティング部 担当部長 岩崎さん)
備えあれば憂いなし! は介護も同じ
介護はライフスタイルを左右する人生の転機のひとつ。おそらく、多くの人が避けられない問題といえるでしょう。高齢の親が一人暮らしをしていても、親が老老介護していいても、元気そうに過ごしていると、自分が介護をするというのは考えにくいかもしれません。
しかし、介護経験者たちは口々に「介護は突然やってくる」といいます。いざというとき焦らず、慌てず、困らないためにも介護関連の情報チェックは大切です。そして、自分の親は介護が必要になったとき、どうしてほしいのかという意向も折に触れて確認しておくといいでしょう。
●information
イベント:CareTEX札幌'23
会期:2023年7月26〜27日
本イベントは介護業界のプロのための「商談型展示会」で一般ユーザー、学生、18歳未満の入場はできません。