マイナビはこのほど、アルバイト就業者の意識と企業の採用活動の動きに関する調査結果を発表。同時にその調査結果をもとにした今後のアルバイト市場についての考察も述べた。

  • <時給別・労働時間別>アルバイト就業者の私生活・仕事の満足感

7月28日、2023年10月に行われる地域別最低賃金額改定の目安は、全国加重平均1,002円にすると決定。昨年の改定では、2021年から31円引き上げられ、全国平均961円と過去最大の上げ幅だったが、今年も政府の目標を受け、過去最高の前年比41円の増額となる。

2022年3月に、時給制アルバイトの就業者に対して、時給別に私生活と仕事に対する満足感をきいたところ、政府目標の「1,001~1,200円」では「私生活の満足度」(52.3%)、「仕事への満足感」(50.6%)だった。

一方、最も満足感が高かったのは「1,401円~1,600円」で、「私生活の満足感」6(2.9%※政府目標比:+10.6pt)、「仕事への満足感」(63.5%※政府目標比:+12.9pt)となり、いずれも10pt以上上回っている。

労働時間別の満足感がいずれも最も高かったのは、「週11~20時間」で、「私生活の満足感」(53.4%)、「仕事の満足感」(49.8%)だった。週の労働時間が長いほど、満足感は減少していくことがわかった。物価上昇などが進む中、2023年10 月改定後の「最低賃金の全国平均1,002円」では、就業者の満足感を高めることは難しいことがわかった。

アルバイトの平均時給と求人件数の増減率推移を見てみると、2022年の平均時給は1,147円(21年比:+24円)、求人件数は2021年比で168.0%。特に求人件数は大幅な増加で推移している。2023年の月間平均時給推移では、直近6月の平均時給は1,190円で、半年間の時給平均は毎月、前年同月比+40円台で推移した。

求人件数も前年同月比120~140%水準で推移しており、10月の最低賃金改定が迫る中、賃金・求人数ともにアルバイト市場が活発化している。

  • <全国>アルバイト平均時給の推移と求人件数の推移

アルバイトを採用・雇用する企業に対して、今後半年間(6月以降)の給与変更予定をきいたところ、46.4%の企業が「上げる予定」と回答し、過去最高を更新した。

その理由については「人材確保が難しくなったため」(41.3%)が最も高く、市場の変化よりも企業の人手不足感を解消するために検討をしていることがわかった。

  • 今後半年間の給与変更予定

企業に、将来的に非正規社員に求められる能力は変化すると思うか尋ねたところ、51.4%が将来的に「変化すると思う」と回答した。求める能力について聞くと、サポート業務だけではない、正社員同等の能力を求める声が多かった。

  • 将来的に非正規社員に求める能力は変化すると思うか

具体的には、事務・データ入力・受付・コールセンターでは「DXの浸透など既存のテクノロジーの新展開や、新しいテクノロジーに対応するための知識」、コンビニ・スーパーでは、「AIの発達により、レジ仕事がなくなった場合には、よりお店を管理する能力が求められる」、飲食・フードでは「人間でなければできないこと、特に表情、話し方、人を惹きつける魅力的な人間力」などの意見が寄せられた。

  • 将来的に非正規社員に求められる能力(自由回答)

「今回の調査では、2023 年10 月改定の『最低賃金1,002 円』では、必ずしもアルバイト就業者が高い満足感を得ることにつながらないことがわかった。一方で、賃上げに伴い非正規社員に求める能力を変化させる企業が多いことから、今後満足感の高い時給を得るためには、仕事内容に合わせた新しい能力の取得が求められていく可能性が高い」と同社のキャリアリサーチラボ 主任研究員 関根貴広氏はコメントする。