三菱自動車、イケてるコンパクトSUVの外観を先出し公開しちゃった|第30回インドネシア国際オートショー|

三菱自動車工業(以下、三菱自動車)は、2023年8月10日〜20日にインドネシアで開催する、第30回インドネシア国際オートショーへの出展内容を明らかにした。

 

【画像】筋肉質で張りのあるスタイリッシュなSUV

同ショーでは、かねてより新型コンパクトSUVを世界初披露することを公表していたが、その外観デザインを先行して初公開したのだ。

 

公開した写真を見ると、その姿は2022年10月のベトナムモーターショーで発表したコンセプトカー「XFCコンセプト」が、そのまま市販モデルになったようにも見える。

 

三菱自動車のデザイン本部長 渡辺誠二氏は新型コンパクトSUVについて、

「今回の新型車は、近年ニーズが高まっているコンパクトSUV市場に向けて、デザインをいっそう進化させました。三菱自動車らしい堅ろう性や力強さに加え、これまで以上にスタイリッシュで、エネルギーに満ちあふれ、個性を際立たせたデザインを追求しています。まもなく開幕するインドネシア国際オートショーの会場で、このクルマを通して、より多くのお客様に三菱車の魅力を知っていただき、共感していただけることを期待しています」

とコメント。

 

■スタイリッシュでスポーティさを追求

 

この新型コンパクトSUVは、「Silky & Solid」をコンセプトに、優雅さと堅ろう性を融合させたスタイリッシュかつ力強い本格的なSUVデザインとし、アセアンの都会からアウトドアシーンまで圧倒的な存在感を発揮するスタイリングを実現したという。

 

ボディ上部はフロントのスリーダイヤからサイド、リヤへと流れるようにつながるスリークなサーフェイスとフローティングルーフによって滑らかな軽やかさを表現。ボディ下部はクラストップレベルの222mmの最低地上高と18インチのホイール&大径タイヤによって悪路走破性を確保しながら、アスリートの敏しょう性を表現する筋肉質なフェンダーフレアを採用。SUVらしいソリッドで力強いプロポーションを作り出している。

 

フロントまわりに目を向けると、三菱顔としてすっかり定着した感のある「ダイナミックシールド」が、デザインコンセプトにあわせてさらに進化。パワートレーンのパフォーマンスを象徴するフロントグリルを左右のバンパーがプロテクトする造形と一体化。これにより奥行き感のあるスポーティなフロントフェイスに仕立てられている。

 

LEDデイタイムランニングランプはL字形にスリット状の造形を組み合わせT字形に発光。遠くからでもひと目で三菱車だとわかるアイコニックなデザインとするとともに、ワイドなスタンスを強調している。

 

ボディサイドは彫刻的な前後フェンダーフレアやキャラクターラインによって、張りのある立体的な面構成がメリハリを生み、SUVらしいたくましさや躍動感を表現する。

 

リヤコンビランプもフロント同様にT字形のLEDランプを採用し、ワイドで安定感のあるリヤビューを作り出している。

 

■新たな三菱顔になるのか

 

これまで三菱顔として定着してきた「ダイナミックシールド」デザインは、採用されるモデルが増えるごとによりシャープさを増してきた感があるが、今回の新型コンパクトSUVでは、より洗練された印象でさらなる方向性が示されたように感じる。

 

特に目を引くのがT字形のLEDデイタイムランニングランプで、欧州車ではいくつかのブランドで採用されているが、三菱自動車では2019年の東京モーターショーで、次世代の電動SUVとして公開したバギータイプのコンセプトカー「MI-TECH CONCEPT(マイテックコンセプト)」がT字形のヘッドライトとして採用していた。フェイスデザインだけでなく、リヤまわりもT字形コンビランプの採用やバンパー下部などのディテール要素を含めて、デザインニュアンスは近いように感じる。これを踏まえて、前述のXFCコンセプト→市販モデルと、デザインを煮詰めたのではなかろうか。

 

新型コンパクトSUVのボディサイズなどの諸元も公開された。

出品車の3サイズは、全長4390mm、全幅1810mm、全高1660mmとなっており、最低地上高は222mm(18インチタイヤ装着車でアンダーカバーを含まない数値)だ。

 

パワートレーンは1.5LエンジンとCVTを組み合わせ、駆動方式はFF(2WD)とのこと。

 

■あのご長寿モデルとほぼ同サイズ

 

この諸元値にピンと来た人もいるのではないだろうか。そうRVRとほぼ変わらない寸法(4365mm×1810mm×1630mm)なのである。現行の3代目RVRは、2010年2月の登場から改良を繰り返し13年以上も販売し続けてきたご長寿モデル。

 

欧州ではASXとして販売され、2023年にはアライアンスを組むルノーのコンパクトSUV、キャプチャーをベースにOEM供給されたものへと世代交代しているが、国内のRVRについては現行モデルの販売が続いている。

 

そして、国内ではいまだ刷新の気配はない。そんななかで自社生産の新たなコンパクトSUVが登場となれば、新型コンパクトSUVの日本導入もあり得るではないだろうか。そうした期待が持てるのが、XFCコンセプト公開の際の、加藤隆雄社長のコメントだ。

 

アセアンの現行ラインアップにない待望のコンパクトSUVだとしたうえで、「2023年度にアセアン各国に順次投入し、将来的には電動車の追加や、アセアン以外の地域にも展開する計画がある」としており、アセアン戦略車から世界戦略車となって三菱自動車の販売をけん引するクロスオーバーMPV「エクスパンダー」のような主力車種に育てていきたいと、XFCコンセプト(=新型コンパクトSUV)に強い期待を寄せていたからだ。

 

もうひとつ、2023年7月26日にタイで発表された新型ピックアップトライトンが、2024年に日本でも販売することが決まったことも、新型コンパクトSUVの日本導入への期待につながるのではなかろうか。

 

とにかく、世界初披露で明らかになる“車名”とともに、その動向に注目したい。新型コンパクトSUVはミツビシ・モータース・クラマ・ユダ・インドネシア(所在地:西ジャワ州ブカシ県)で生産され、2023年11月に販売を開始する予定だ。

 

■軽EVも参考出品

 

今回のインドネシア国際オートショーでは、新型コンパクトSUVのほかにも、軽EV「eK クロス EV」を海外初披露するほか、インドネシアで現地生産を予定している1ボックスタイプの軽商用EV「ミニキャブ ミーブ」を参考出品。インドネシアで販売するクロスオーバーMPVのエクスパンダーやエクスパンダー クロス、ミドルサイズSUVのパジェロスポーツも出品する。

 

さらに、新型コンパクトSUVで初搭載となるヤマハと共同開発したオーディオシステム「ダイナミックサウンドヤマハプレミアム」を視聴できる専用コーナーを設置。新型車コンパクトSUVの車内で、輪郭のはっきりとした中高音や躍動感のある低音という訴求ポイントを実際に聞いて確かめられるそうだ。

[第30回インドネシア国際オートショー概要]

●会場:インドネシア

●会期:2023年8月10日(プレスデー)、11〜20日(一般公開日)

●三菱自動車ブース:ホール10

 

●三菱自動車出品車両(一般公開日)

・新型コンパクトSUV〈世界初披露〉:4台

・eK クロス EV〈海外初披露(参考出品)〉:1台

・ミニキャブ・ミーブ〈参考出品〉:1台

・エクスパンダー:4台

・エクスパンダー クロス:3台

・パジェロスポーツ(中南米ほかではモンテロスポーツ):3台

 

 

〈文=ドライバーWeb編集部〉