飾らない人柄でバラエティでも大活躍の女優・佐藤仁美。舞台経験も重ねており、8月に上演されるミュージカル『ヴィンチェンツォ』ではヒール役に挑む。佐藤にインタビューし、同舞台への意気込みや、女優業とバラエティへの思い、素の自分を出せるようになった転機など話を聞いた。

  • 佐藤仁美 撮影:加藤千雅

ソン・ジュンギが主演を務め、大ヒットした韓国ドラマ『ヴィンチェンツォ』を、世界初のミュージカル化。シリアスとユーモアが入り混じるストーリーと大迫力のアクションを融合させた復讐劇が日本の舞台で蘇る。イタリアマフィアのコンシリエーレ(相談役)である主人公の弁護士ヴィンチェンツォ・カサノ役を和田雅成、ヴィンチェンツォと共に大胆不敵な復讐に挑む弁護士ホン・チャヨン役を日向坂46の富田鈴花、ヴィンチェンツォ、チャヨンと対立するウサン法律事務所の主力弁護士であるミョンヒ役を佐藤仁美が務める。

佐藤は昨年Netflixでドラマを視聴し、見た数週間後にこの舞台の話をマネージャーから聞いたそうで、「舞台化!? ミュージカル!? どうすんの!?って(笑)。うれしさはもちろんありましたがびっくりしました」と当時の心境を明かす。

本作の魅力について、「アクションもあるし、コミカルなところもあるし、少し恋愛要素もあったり、友情が芽生えたり、いろんな感情があって面白い」と語る佐藤。「作品を汚したくないしですし、プレッシャーはすごいです」と吐露した。

ミョンヒ役にはとてもやりがいを感じているという。

ミョンヒ役の佐藤仁美のキャラクタービジュアル (C)2021 Studio Dragon Corporation/MUSICAL VINCENZO 2023

「最初から最後まで、嫌なヤツから始まって嫌なヤツで終わろうと。踊りも歌もふてぶてしく。ずっと観客に『なんだアイツ!』って思われたいです。ここまでずっと嫌な役は初めてですね。ミョンヒは性根が腐っていていいところが全くない。だから逆に楽しいなと」

ミョンヒと自身の共通点はほとんどないが、「思ったことを言うのは似ている」とのこと。「あまり我慢しない。自分が発言したことでストレスを感じることがあったとしても、言わないでストレスを溜めるほうが嫌なので」と話した。

思ったことを言えるようになったのは、30歳を超えてバラエティへの出演が増えてきてからだという。

「女優としてバラエティに出るのではなく、爪痕を残そうと思って出演をした意識の差なのですが、もう女優ヅラしないでいいやと思って、『うるせえ!』と言ったら受け入れてもらえて、『これで笑ってくれるの!?』と(笑)。その頃、1年半ぐらい仕事がなく、どうやって暮らしていこうという時期だったので、バラエティに苦手意識がありましたが出演させてもらい、そこで気取っていても仕方がないと思ったので。そこから素のまんま話すようになり、たまに余計なことを言ってしまったなということもありますが、とても楽しいです」

そして、日本テレビ系『今夜くらべてみました』(『今くら』)がきっかけでバラエティにたくさん呼ばれるようになったと振り返り、さらに同番組がミュージカル出演にもつながったという。

「『今くら』でカラオケなどもして、経験がないのにミュージカルに呼んでもらって。ミュージカル『アニー』は、『今くら』を見て、『できるんじゃない?』と思ってくれたみたいで」

舞台のやりがいについては、「同じ役を1カ月ずっと追いかけていくというのはすごく勉強になるなと。舞台が一番芝居の勉強になると思います」と語った。