ダイキンは、気象庁が「7月26日頃から気温がかなりの高温になる」と発表したのを受け、「エアコンの仕組みと正しい節電方法」を発表した。
電気代高騰で「エアコンの使用を控えようと思う」は7割
気象庁が7月20日に発表した1カ月予報によると、7月26日頃からは、全国の広い範囲で平年に比べて「かなり高温」となる見込みで、「10年に一度レベルの高温」となる可能性があるという。
同社では6月17日~19日、20歳~59歳までの男女527名を対象に、「エアコンの節電に関する実態調査」を実施した。電気代高騰により、エアコンの使用自体を控えようと思うか聞くと、71.1%が「とても思う」「やや思う」と回答した。これは、5月に行った調査と比べて約10ポイント上昇しており、夏が近づくにつれエアコンの使用控えが高まっていることがわかった。
実は逆効果な「節電」とは……?
夏場にエアコンを使う際、節電になると思うものを尋ねたところ、59.2%が節電に逆効果になる方法を効果的なものとして回答していることがわかった。逆効果になりかねないにもかかわらず、節電効果が期待できる方法として最も票を集めたのは「風量はできるだけ『弱』で使う」(26.5%)だった。
空気の通り道をふさがない
同社によると、風量を抑えるとファンの回転音が小さくなるため、消費電力が抑えられていると思いがちだが、エアコンの仕組み上、室内が涼しくなるまでに時間がかかり、その分、消費電力量が増加する場合があるという。こうした誤解を避けることにつながるとして、同社ではエアコンの仕組みと節電について解説した。
エアコンは室内にある熱を屋外に移動させることで涼しくしているのを知っているか聞くと、49.2%が「知らなかった」と回答した。エアコン全体の消費電力のうち、室外機が占める割合はどのくらいだと思うかという問いに対しては、正解である「80%以上」と回答した人は1割に留まっている。
エアコンの節電における大切なポイントは、室内機、室外機ともにスムーズに空気を吸い込んだり吹き出したりできる状態を保つことで、節電の基本は「空気の通り道をふさがないこと」だという。そのためには、「フィルターにホコリをためないようにする」「室外機まわりをスッキリさせる」が重要とのこと。
フィルターにホコリがたまっていると、熱交換器を通る空気の量が減ることで効率的に熱を集められなくなり、室温が設定温度に到達するまでに時間がかかる。その分、電気代がかかってしまうため、2週間に1回を目安にフィルターの定期的な掃除を行うことをすすめている。エアコンのフィルターを一年間掃除しないと、消費電力が約25%も無駄になると言われており、同社調査では、フィルターに積もった3年分のホコリを掃除すると、約50%の無駄な電気を削減できることもあることがわかった。
室外機周辺に障害物があり、吸込口や吹出口が塞がれてしまうと、熱を効率的に逃がせずエアコンに負荷がかかり、無駄な電力消費につながる。そのため、室外機の周辺は余計なものは置かず、整理整頓することも大事だという。
スイッチのオン・オフは控えめに
エアコンは室内機で集めた「熱」を、「冷媒」というガスが運んで、「室外機」から外に逃がして部屋を涼しくしている。この「冷媒」を循環させているのが、"エアコンの心臓"ともいえる「圧縮機」で、エアコンを動かす電気の大部分は、「圧縮機」を動かすために使われている。その割合は約80%で、エアコンの消費電力のほとんどは、圧縮機が使っているという。
エアコンの消費電力の多くを費やす圧縮機の負担を減らせば、節電になる。そのためには、「スイッチのオン・オフは控えめに」。冷房運転のスイッチのオン・オフを頻繁に行うと、圧縮機への負荷が高まる頻度が増え、その分、多くの電力を消費する。同社の実験では、日中の場合30分程度の外出なら一度オフにするより「つけっぱなし」の方が節電につながることもわかった。
設定温度を下げる代わりに風量を上げる
また、冷房時に設定温度を下げれば、より多くの熱を運ばなくてはならないため、圧縮機の負荷になる。早く涼しくしたい時、設定温度を下げる代わりに風量を上げて「体感温度」を下げるのも工夫のひとつ。風量を上げると、室内機の音が大きくなって電気をたくさん使っているように感じるかもしれないが、ファンを動かすモーターは、圧縮機と比べて、とても少ない電気で動くという。
また、節電しようと風量を弱めに設定していると、熱交換器を通る空気の量が減り、「熱」を集めるのに時間がかかる。その分圧縮機に負荷がかかり、余計な電気を使ってしまうため、風量は必要な分だけ室内の熱を減らしたあとは部屋の温度を維持できるように安定運転を続ける「風量自動」に設定することをすすめている。
部屋の空気を撹拌させて温度ムラを抑える
室内の「温度ムラ」を抑えることも節電につながる。少しでも「温度ムラ」を抑えるには、風向は「下向き」ではなく「水平」にするとよいという。風向を水平にしても、時間とともに「温度ムラ」はできてしまうが、それを抑えるには、空気清浄機や扇風機、サーキュレーターなどを活用し、部屋の空気を攪拌させることが有効だという。