「お目汚し」は日常会話ではあまりなじみがないかもしれませんが、日本語独特の便利で奥ゆかしい表現です。

本記事では「お目汚し」の詳しい意味や使い方とシーン別の例文、使用時の注意点を紹介。相手から言われた場合の返答方法や「お耳汚し」などの類語もまとめました。

  • お目汚しとは

    「お目汚し」の意味や読み方、使い方、例文、類語などを紹介します

「お目汚し」の意味・読み方とは

「お目汚し」とは、目を汚すようなもの、つまり見苦しいものを見せる、恐縮ながら見せるという意味の言葉です。目上の人に対して、謙遜しつつ何かを見せる際に用いる言葉です。

読み方は「おめよごし」です。

このとき、「目」は目上の人の「目」を表します。「汚し」は汚すこと、つまりきれいなものや大切なものをきたなくする意味です。

自分が作ったものや披露するものに対し、わざわざ時間を使って目を通す目上の人に対して、敬意を払いつつ申し訳なさや感謝の意を表現します。

「お目汚し」のビジネスシーンでの使い方・例文

  • 「お目汚し」のビジネスシーンでの使い方・例文

「お目汚し」を使ったからといって、本当に見せられないものを見せたり、渡したりするわけではありません。見てもらいたいけれど、全面的にアピールするには気が引ける際に用いられる、謙遜の言葉です。

何かを見せる際の前置きや、見せた後の後付けでよく使われます。

ここでは、ビジネスシーンでの例文を見ながら、具体的な使い方のイメージを捉えましょう。

何かを見せる前に使う「お目汚し」の使い方

何かを見せる前に使う「お目汚し」の使い方の例を紹介します。多くの場合、本題に入る前のクッション言葉として使われます。

  • お目汚しでございますが、資料を作成いたしましたのでご確認いただけますと幸いです。
  • お目汚しかとは思いますが、先日完成した作品がこちらです。

謙遜しながらも何かに目を通してほしいときに使うと、押し付けがましくなりません。

ビジネスシーンにおいて、「お目汚し」は自分や自社をPRする機会で、話の導入に使える便利な言葉です。

何かを見せた後に使う「お目汚し」の使い方

次に、何かを見せた後に使う「お目汚し」の例文を見てみましょう。

  • 拙い(つたない)出来で、お目汚し失礼いたしました。
  • お忙しい中、資料に目を通していただき誠にありがとうございました。お目汚し失礼しました。

何かを見せた後はお礼や挨拶の後に、「お目汚し」を付け加えて謙遜の意を表すといいでしょう。

時間を割いて見てくれたことに対する感謝の気持ちも伝えることができます。

メールでも「お目汚し」を使うことがある

「お目汚し」は口頭の他に、メールでも使うことがあります。基本的な使い方は会話と変わりません。

例えば他社とのやり取りにおいて、自社の製品パンフレットや提案書をメールで送る際に、以下のように添えることができます。

  • お目汚しではございますが、ご覧いただけますと幸いです。

「お目汚し失礼します(しました)」に対する返し方とは

  • 「お目汚し」に対する返答の仕方

逆に自分が「お目汚し失礼します」「お目汚し失礼しました」などと部下や後輩、または取引先に言われたとき、どのように反応したらいいか戸惑う方も多いでしょう。

ここでは「お目汚し」に対する返答の仕方について説明します。

「お目汚し」に対する返事ではなく、内容への意見、感想を述べる

部下や後輩など、「お目汚し失礼します(しました)」と言った側は、単に謙遜しているにすぎないため、その言葉にわざわざ反応する必要はありません。

「お目汚し失礼します」の言葉とともに確認の依頼をされた場合は「分かりました」などと返し、内容にしっかり目を通しましょう。

相手の披露の後に「お目汚し失礼しました」と言われた際は、内容についてどのように感じたかをしっかりと述べることが大切です。

取引先などに言われた場合は、こちらもへりくだった対応をする

取引先など、自分よりも目上だと感じている人に「お目汚し失礼します(しました)」と言われるケースもあるでしょう。

その場合は、「いえいえ、お目汚しなんてとんでもないことでございます」「めっそうもございません、拝見します」などのように、自分も謙遜して返します。

お互いを尊重し合った言葉の掛け合いが、良好な人間関係や取引の土台を作る一助となるでしょう。

「お目汚し」を使う際の注意点

  • 「お目汚し」を使う際の注意点

「お目汚し」は、自分を謙遜して用いる言葉として便利な言葉です。ただし、使う頻度や使う場面については注意が必要です。

多用を避ける。

「お目汚し」を多用すると言葉自体が軽く見られてしまうので、使い過ぎには注意が必要です。

前向きな言葉に言い換えた方がいいことも

「お目汚しですが」が「あまり出来は良くないですが」「自信はありませんが」と同義です。

人によっては「自信が無いものを見せるくらいなら、もう少し努力したらいいのに」と思う可能性もあります。

そのようなときは「自分なりに精いっぱい取り組んだのですが」「自分としては全力を尽くしたのですが」など、努力したことを前向きに主張する言葉に言い換えるといいでしょう。

上司や目上の方が手を加えたものには使わない

資料などについては提出する前に、上司や先輩にフィードバックをしてもらったり、添削をしてもらったりして、修正をすることもあるでしょう。

そのように自分以外の人に手を加えてもらったものに対して「お目汚し」を使うと、その相手の立場をないがしろにしてしまうことになります。

「お目汚し」を使う際は、作成物のプロセスに考慮する必要があります。

「お目汚し」の類語・言い換え表現

  • 「お目汚し」の類義語

「お目汚し」は聞き慣れない言葉だと感じる人もいます。また、目で見えるものに限定される言葉です。そこで似た意味の言葉を覚えて、適切に使い分けましょう。

つまらないもの

「つまらないものですが~」などのように、謙遜して前置きや後付けに使う場合は、「お目汚し」の類語と言えます。

「つまらないもの」は、「つまる」に否定の「ない」が付いた形です。

「つまらない」には「面白くない」などたくさんの意味がありますが、ここでは「価値がないもの」という意味です。

  • つまらないものですが、どうかお納めください。

上記の例は「大したものではないですが、どうか受け取ってください」の丁寧な言い回しとして、よく使われます。

お見苦しい

「見苦しい」は、見ていて嫌になるもの、醜い、みっともない、見づらい、などの意味を持つ言葉です。

「お見苦しい」は、謙遜ではなく本当に見せたくないもの、見せるべきではないものを見せてしまった際に、謝罪に用いられるケースも多くあります。

例文は以下の通りです。

  • お見苦しくて恐縮ですが、ご確認いただけますと幸いです。
  • お見苦しい限りで、申し訳ありません。

ご覧・ご高覧

「お目汚し」は、自分が作ったものや披露するものに対し、わざわざ時間を使って目を通す目上の人に対して、敬意を払いつつ申し訳なさや感謝の意を表現する言葉です。

そういった意味では、「ご覧」「ご高覧(ごこうらん)」も類語と言えるでしょう。

「ご覧」は見ることの尊敬語、「高覧」も相手を敬って、その人が見ること意味する言葉です。

例文は以下の通りです。

  • ご覧いただけますと幸いです。
  • ご覧いただき、誠にありがとうございます。
  • ご高覧いただけますと幸いです。
  • ご高覧賜り、誠にありがとうございます。

「ご高覧」はかなりかしこまった表現です。社内の上司などなら、「ご覧」で十分でしょう。

ご笑覧

「笑覧(しょうらん)」は笑いながら見る、の意味で、自分の作ったものを見てもらうときに、へりくだって使う言葉です。 例文は以下の通りです。

  • ご笑覧いただけると幸いです。
  • 拙作(せっさく)ではございますが、どうかご笑覧ください。

「ご笑覧」は謙遜の言葉でありユーモアを感じさせますが、「笑いながら軽い気持ちで見てください」という意味のため、ビジネスシーンでの使用にはやや向いていない言葉です。

ご笑納

前述の「ご笑覧」同様、「ご笑納」には「笑」が含まれています。粗末でつまらないものなので笑ってもらってください、といった意味です。

例文は以下の通りです。

  • ご笑納いただければ幸いです。
  • どうぞご笑納ください。

お耳汚し

「お耳汚し(おみみよごし)」は対象が「目」から「耳」に変わり、謙遜しながら自分の意見や自分の発表などを聞いてもらう際に使われます。

お酒の席におけるカラオケで、歌を披露するときなどにも使えます。

  • お耳汚しで恐縮ですが、A案件について、私見を述べてもよろしいでしょうか。
  • お耳汚し失礼します。僭越(せんえつ)ながら、今から歌を披露いたします。

「お目汚し」の意味や使い方を覚えておこう

「お目汚し」は、ビジネスシーンにおいて便利な奥ゆかしい言葉です。

「お目汚し失礼します」などと一言添えるだけで、目上の人に敬意を払いながら、自分の作成したものを謙遜して、遠慮がちに紹介できます。

ただし「自信が無いのならもっと努力すればいいのに」と感じる人もいるので、場面に応じて前向きな言葉に言い換えるといいでしょう。