• 『王様戦隊キングオージャー』でラクレス・ハスティーを演じる矢野聖人

――メイン監督として作品世界の骨子を築いた上堀内佳寿也監督からは、どんな言葉をかけられましたか。

上堀内監督とは『特捜9Season5』(2022年)で初めてご一緒させていただきました。第1、2、3、最終(10)話で、ラスボスのような役柄だったんです。今回『キングオージャー』出演の際、上堀内監督からは「ラクレスはいろいろ複雑な設定があるけれど、矢野さんなら大丈夫です!」なんて言ってもらいました。大きな期待を込めて僕をラクレスに選んでくださったと知り、嬉しく思いましたね。

――ラクレスは威厳に満ちたムードを絶対に崩さないのが特徴ですが、ギラやヤンマ(演:渡辺碧斗)たちのイメージシーンで、ラクレスのちょっとコミカルなリアクションが見られます。普段の矢野さんはとても明るくひょうきんな面があり、厳格なラクレスとのギャップが大きな魅力となっていますが、ああいったコミカル風味のラクレスを演じるにあたってはどう思われますか?

こういう、普段からしっかりしている役をずっと演じていると、ときどき遊びたくなるんですよね。本当は、もっとメチャクチャなシーンもやりたいんです(笑)。矢野聖人が出演した他のドラマをご存じの方ならわかると思いますけど、僕はコメディもたくさんやってきていますから。もっともっと「ふざけたい!」という気持ちを持っています(笑)。

――第15話でカグラギ(演:佳久創)の妹・スズメ(演:加村真美)に愛されすぎて、ちょっと困ったような表情を見せるラクレスも、とてもよかったです。

ああいう部分もラクレスにはあるってことですね。記号的なキャラクターじゃなくて、ちゃんと生きている、人間味を出していきたいといつも思っています。

――ラクレスは側近のドゥーガ、ボシマールと共に、シュゴッダムの広間でお芝居をすることが多いです。ドゥーガ役の森岡豊さん、ボシマール役の福澤重文さんとのチームワークはいかがですか。

お2人とも、若い王である僕をしっかり立ててくださって、感謝しています。お2人が側近でついてくださるからこそ、堂々としたラクレスを演じることができるんです。ときどき3人で飲みに行くんですけど、お2人からも「矢野君がラクレス王でよかった~」って交互に言われて、嬉しかったなあ(笑)。

――ギラと4国の若き王たち、地帝国バグラナク、ラクレス、そしてジェラミー(演:池田匡志)というクセの強いキャラクターたちが入り乱れる波乱万丈の群像ドラマがファンの興味をひきつけていますが、演じる側である矢野さんは本作のストーリーについてはどう思われますか。

毎回、特撮作品であるとか、ファンタジーだとかは意識せず、先の展開が気になるドラマだなと、毎回の台本を読みながら思っています。他のキャラクターについても、王になったのはこんな理由や事情があったという背景がしっかり作られていて、とても興味深い。ラクレスとギラの対立についても、ある程度は「こういう背景がある」とは聞いているものの、僕でも知らないことがいくつかあったりします。ラクレスとギラの少年時代についても、一切知らないでこちらは芝居をしているんです。スピンオフドラマ『ラクレス王の秘密』もテレビ本編のストーリーとリンクするところが出てきますから、ぜひ観てもらいたいですね。

――第20話では、ふたたびラクレスとギラとの「決闘」が行われました、剣を使った立ち回り、アクションはお得意でしょうか。

時代劇やシェイクスピア作品で立ち回りの経験がありますので、ある程度はこなせるなという思いはありました。でも第20話はラクレスの見せ場だと思って、まる1日立ち回りの稽古をして撮影に臨みました。ギラの酒井くんも懸命に戦ってくれましたし、迫力あるアクションシーンになっていれば嬉しいです。

――『キングオージャー』の撮影現場で、特に矢野さんが感銘を受けたのは、どんなことでしょう。

素面の役者だけでなく、変身後のキャラクターアクションを務めるJAEのみなさんのお仕事ぶりですね。やはり、特撮ものと呼ばれる作品は、アクション部の精鋭の方々に支えられていると痛感しました。変身後を演じる方たちは、現場で僕たちの動き方、しゃべり方、何気ない仕草などをしっかり観察しているからこそ、違和感なく変身前と変身後のイメージがつながっている。ああいった絶え間ない努力を間近で拝見すると、特撮ヒーローが長い間たくさんの人たちから愛されてきたのもわかるなとしみじみ思いました。

  • 『王様戦隊キングオージャー』でラクレス・ハスティーを演じる矢野聖人

――本記事が掲載されるころには、ラクレスに衝撃的な出来事が起こるとうかがっています。今後ラクレスの運命がどうなるかは現段階ではわかりませんが、イメージシーンや回想シーンなど、何らかの形でラクレスの出番はまだまだあると信じています。今後、ラクレスとして矢野さんがやってみたいことがあったら、ぜひ教えてください。

今後、ラクレスがどういう出方をするのかはわからないですが、描いてほしいことはありますよ。シュゴッダムでのラクレスは生活感がないですけど、朝起きたらどんなことをしているのか……つまり「モーニングルーティーン」ですね(笑)。どんな格好で寝てるのか、いつご飯を食べているのか、なんて部分をもっと出してもらいたいなと思っています。ギラたちはトウフ国に行って鍋とか食べているじゃないですか。ラクレスはミステリアスすぎるというか、好きな食べ物は何かとか、ぜんぜん明かされていないんです。

あと、ラクレスはオオクワガタオージャーに王鎧武装しても、いつもひとりで戦っていて寂しい! どんな形でもいいから、ギラと「共闘」したいという思いが強くあります(笑)。これは矢野個人の野望なので実際にはどうなるかはわかりませんが、ぜひみなさん『王様戦隊キングオージャー』ならびにラクレス・ハスティーの応援を今後ともよろしくお願いします!

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