日本や中国などでは、至る所に存在する漢字。漢字のはっきりとした総数を把握するのは困難といわれていますが、最低でも5万字は存在するとされています。

そんな漢字について、一文字だけで前向きな気分になれる漢字を集めました。名前に使える漢字や、ポジティブな意味を持つ漢字、落ち込んでいるときに思い出したい漢字、難しい仕事を頑張る人に贈りたい漢字を紹介。それぞれの意味や由来も、わかりやすくまとめています。

  • 前向きな漢字一文字とは

    一文字で前向きな意味がある漢字を集めました

【前向きな漢字一文字】名前に使える漢字

まずは前向きな意味を持つ漢字の中でも、華やかなイメージを持っていて、名前におすすめの漢字を紹介します。

それぞれの漢字の読み方や詳しい意味、成り立ちなども見ていきましょう。

名前に使える前向きな意味の漢字|陽

「陽」の音読みは「ヨウ」、訓読みは「ひ」「ひなた」「いつわ(る)」です。名前として使われる際には、最近では「はる」と読ませることもあるようです。

太陽の光、日なた、あたたかい、明るい、積極的なもの、などの前向きな意味があります。

太陽に照らされてぽかぽかしているという柔らかい印象の漢字であり、男女どちらの名前にも人気です。

「太陽のように明るい人になってほしい」「心の温かい人に育ってほしい」「明るく朗らかな人になってほしい」などの願いを込めて使用される漢字です。

名前に使える前向きな意味の漢字|晴

「晴」の音読みは「セイ」、訓読みは「は(れる)」「は(らす)」です。名前として使われる際には、最近では「はる」と読ませることもあるようです。

はれる、はれやか、日が出て澄み渡っている空、などの意味があります。

「悩みや心配がなくすがすがしい人生をおくってほしい」「心が広く晴れやかな人になってほしい」といった願いを込めることができるでしょう。

名前に使える前向きな意味の漢字|歩

「歩」の音読みは「ホ」「ブ」「フ」、訓読みは「ある(く)・あゆ(む)」です。

足を交互に出してあるく、物事の進み具合などの意味があります。

由来は、両足の足跡を前後に連ねた形から来ているといわれています。

「地面に足をしっかりつけて、着実に前に進む人になってほしい」といった願いを込めて、名前に使用することができるでしょう。

名前に使える前向きな意味の漢字|翔

「翔」は音読みで「ショウ」、訓読みで「かけ(る)」「と(ぶ)」と読みます。

空高くとぶ、かけるなどを意味し、「飛翔(ひしょう)」「高翔(こうしょう)」といった言葉もあります。

「翔」を用いた「鸞翔鳳集(らんしょうほうしゅう)」という四字熟語は、優れた才能を持つ人が集まって来ることの例えです。

「空高く舞い上がるようにステップアップしてほしい」「夢に向けて羽ばたいてほしい」といった願いを込めることができるでしょう。

名前に使える前向きな意味の漢字|進

「進」は音読みで「シン」、訓読みで「すす(む)」「すす(める)」と読み、すすむ、下から上へ昇る、向上する、などを意味します。

恐れることなく目標に向かって前進することを意味する「勇往邁進(ゆうおうまいしん)」や、既に努力を尽くした上でなお尽力することを意味する「百尺竿頭(ひゃくしゃくかんとう)に一歩を進む」など、多くの四字熟語やことわざにも使われている漢字です。

名前に使う場合は「常に道を切り開き、前進できる人になってほしい」「あきらめることなく目標に向かって進んで行ける人になってほしい」などの願いを込めることができるでしょう。

名前に使える前向きな意味の漢字|昴

「昴」は音読みで「ボウ」、訓読みで「すばる」と読みます。

プレアデス星団(おうし座の一部)の日本語名であり、清少納言の『枕草子』などにも登場する、古くから親しまれてきた漢字の一つです。

元々は「統べる(すべる)星」の意味で、星が集まっている様子を表していたといわれています。

名前に使う場合は「光り輝く星のような人になってほしい」などの願いを込めることができるでしょう。

名前に使える前向きな意味の漢字|華

「華」の音読みは「カ」「ケ」「ゲ」、訓読みは「はな」「しろ(い)」です。

草木の花や、美しくはなやか、さかえる、しろい、といった意味があります。きらびやかで際立っている印象のある漢字です。

「力強く咲き誇るように生きてほしい」「人として成功してほしい」「人を魅了する華やかさを持ってほしい」などの願いを込めて名前に使用されます。

名前に使える前向きな意味の漢字|雅

「雅」は音読みで「ガ」、訓読みで「みやび」「みやび(やか)」「つね」と読み、おくゆかしさや上品なこと、洗練された様子、風流である、正しいことなどを意味します。

元々は、紫っぽい光沢を帯びた黒色の羽を持つ「深山鴉(みやまがらす)」を意味する漢字であり、鳥を表す「隹(ふるとり)」と、鳴き声を表す「牙(ガ)」を組み合わせてできた漢字だといわれています。

名前に使う場合は「おしとやかで落ち着いた雰囲気を持つように」「上品で伝統的な美徳を持つように」などの願いを込めることができるでしょう。

【前向きな漢字一文字】ポジティブな意味を表す漢字

次に、前向きでポジティブな意味がある漢字を見ていきましょう。

ポジティブな意味を表す漢字|縁

「縁」の音読みは「エン」、訓読みは「ふち」「へり」「よ(る)」「えにし」「ゆかり」「よすが」です。

物のふちや周り、ちなむ、物事や人間関係のつながり、物事の原因、巡り合わせなどの意味があります。

元々は織物のふちを表す言葉でした。物事のつながりを大切にする、前向きな意味がある漢字です。

旧字体は「緣」です。

ポジティブな意味を表す漢字|跳

「跳」の音読みは「チョウ」、訓読みは「は(ねる)」「と(ぶ)」「おど(る)」です。

とぶ、はねる、おどる、おどりあがる、はずむ、走るなどの意味があります。

「足」と、古代の占いで亀の甲を焼いたときに、勢いよくはじけ裂ける形を意味した「兆」が合わさってできた漢字です。

勢いがある様子や、躍動感のある前向きな漢字をお探しの方におすすめしたい漢字です。

ポジティブな意味を表す漢字|勝

「勝」の音読みは「ショウ」、訓読みは「か(つ)」「まさ(る)」「すぐ(れる)」「た(える)」です。

相手を打ち負かす、相手よりも優れている、こらえる、神意にかなう、などの意味があります。

元々は持ちこたえるという意味が、たえる、勝利するという意味に転じていったといわれています。

ポジティブな意味を表す漢字|希

「希」の音読みは「キ」「ケ」、訓読みは「まれ」「こいねが(う)」です。

珍しい、少ない、望む、薄いなどの意味があります。

「希」は元々、細かく交差して織られた布という意味があり、織り目が細かい布が当時珍しかったため、「まれ」、つまり存在が非常に珍しい、特別、貴重という意味が生まれました。

ポジティブな意味を表す漢字|望

「望」の音読みは「ボウ」「モウ」、訓読みは「のぞ(む)」「うら(む)」「もち」です。

遠くを見渡す、願う、人気、満月などの意味を持っています。

「望」は、背伸びをし、目を見開いて遠くを見る人をかたどってできた漢字です。

遠くのものをしっかりと見据えたり、遠くのものを願ったりといった前向きな意味があります。

ポジティブな意味を表す漢字|鳳

「鳳」は音読みで「ホウ」「ブウ」、訓読みで「おおとり」と読みます。

古代の中国で「徳のすぐれた天子(君主)の世に現れる」といわれている想像上の霊鳥である「おおとり」の雄のことを意味します。なお「おおとり」の雌は凰(おう)と言い、合わせて「鳳凰(ほうおう)」と言います。

「鳳」は一文字で伝説の霊鳥を表す、縁起がよく前向きな意味の漢字なのです。

また「鳳」は、天子に関することにも使われる漢字です。

ポジティブな意味を表す漢字|煌

「煌」は音読みで「コウ」、訓読みで「かがや(く)」「きら(めく)」「あき(らか)」と読みます。

きらめく、輝く、立派、あきらか、などの意味を持ち、炎が燃え盛るように勢いがある様子やきらきらと輝く様子など、前向きで派手な意味のある漢字です。

なお元々「皇」という字には、燭台(しょくだい)の上に火が光る様子から、輝くという意味がありました。しかし時代とともにこの意味が薄れ、「王」や「天子」のような意味だけで使われるようになりました。そして代わりに「火」と組み合わせて作られた文字が「煌」なのです。

ポジティブな意味を表す漢字|燦

「燦」の音読みは「サン」、訓読みは「あざ(やか)」「あき(らか)」「きら(めく)」です。

鮮やかに光り輝く、きらびやかといった意味があり、「太陽の光がさんさんと降り注ぐ」といった表現は、漢字で書くと「燦々(さんさん)」となります。

「燦」は元々「火」と、精米された鮮やかな白い米を表す「粲」が合わさってできた漢字です。

きらきらと鮮やかに輝く様子は、とても前向きな印象を受けます。

【前向きな漢字一文字】落ち込んでいるときに思い出したい漢字

  • 【前向きな漢字一文字】落ち込んでいるときに思い出したい漢字

誰しも物事がうまく行かなかったり、なんとなくモヤモヤしたりして、落ち込んでしまうことはあるものです。

そんなときに思い出したい、前向きな気持ちになれる漢字を集めました。

落ち込んでいるときに思い出したい漢字|夢

「夢」の音読みは「ム」「ボウ」、訓読みは「ゆめ」です。

寝ているときに見るゆめや、将来実現させたいこと、空想、ゆめのように儚い(はかない)ものといった意味を持ちます。

人は夢があるからこそ、努力できるもの。目の前の困難にくじけそうになったときは、自分はそもそも何がしたかったのかを思い出してみましょう。

落ち込んでいるときに思い出したい漢字|叶

「叶」は音読みで「キョウ」、訓読みで「かな(う)」と読み、望み通りになる、願いがかなう、一致するなどを意味します。

「努力すれば夢は叶う」「願いを叶えるために全力で頑張る」などの、折れない心を思い出させてくれる漢字です。

落ち込んでいるときに思い出したい漢字|楽

「楽」の音読みは「ガク」「ラク」「ゴウ」「ギョウ」、訓読みは「たの(しい)」「たの(しむ)」「かな(でる)」「この(む)」です。

快い、たのしい、演奏する、簡単、好むこと、求める、などの意味があります。

旧字体は「樂」で、これは木に糸を張った弦楽器をかたどったものです。それが演奏するという意味となり、転じてたのしむ、となったとされています。

どのような状況でも楽しむ心、あるいは気楽に考えることのできる前向きさを持ちたいものです。

落ち込んでいるときに思い出したい漢字|明

「明」の音読みは「メイ」「ミョウ」「ミン」、訓読みは「あか(るい)」「あき(らか)」「あ(ける)」「あ(かり)」などです。

光が当たって明るい様子、はっきりと見える様子、あきらかになる、日が昇る、といった意味があります。また賢い、神、などの意味もあります。

「明」は元々、太陽と月から成る漢字であり、その光があかるいことを表していました。

落ち込んでいるときに思い出したい漢字|新

「新」の音読みは「シン」、訓読みは「あたら(しい)」「あら(た)」「にい」「さら」です。

初めての、できて間もない、以前のものと違う、進歩的、などの前向きな意味があります。

元々は若木を切って薪(たきぎ)にするという意味が転じて、あたらしいという意味になりました。

新しいことに挑戦するときは大抵の場合、先が見えにくかったり具体的な形が分からなかったりしますが、完成した際には今までとは違う美しいものが現れるものです。自分を信じて進んでみましょう。

【前向きな漢字一文字】難しい仕事を頑張る人にぴったりな漢字

仕事をしていると、困難にぶち当たることもあるでしょう。

仕事を一生懸命頑張る人にこそぴったりな意味を持つ、前向きな意味の漢字を紹介します。

難しい仕事を頑張る人にぴったりな漢字|志

「志」の音読みは「シ」、訓読みは「こころざし」「こころざ(す)」「しる(す)」です。

心の目指すところ、心に決めた目標や、思いやりの気持ち、記録する、などの意味があります。

「志」は元々、「心」と「止(変形して士となった)」から作られた漢字で、心にある気持ちや考えを指していました。

難しい仕事を頑張る人が向かう場所、目標を示す、前向きな漢字です。

難しい仕事を頑張る人にぴったりな漢字|続

「続」の音読みは「ゾク」「ショク」、訓読みは「つづ(く)」「つづ(ける)」「つ(ぐ)」です。

物事がつながる、連なる、次々と起きる、後に従うなどの意味があります。

「続」の旧字体は「續」で、これは糸を結んでつなぐこと、連続するこを意味する漢字です。

努力を続けることは将来の何かにつながっていること、頑張っていることは無駄ではないことを表す前向きな漢字です。

難しい仕事を頑張る人にぴったりな漢字|挑

「挑」の音読みは「チョウ」、訓読みは「いど(む)」です。

いどむ、仕掛ける、立ち向かう、などの意味があります。

元々「手」、そして「跳」と同様に、古代の占いで亀の甲を焼いたときに、勢いよくはじけ裂ける形を意味した「兆」が合わさってできた漢字です。

勢いよく弾むような状態から、いどむ、という意味になりました。

重要な役割を担って、難しい仕事に挑戦する人を応援する、前向きな意味の漢字です。

難しい仕事を頑張る人にぴったりな漢字|学

「学」の音読みは「ガク」、訓読みは「まな(ぶ)」です。

勉強する、研究する、体系化された知識、教育機関などの意味があります。

旧字体は「學」で、教えられたしぐさをまねして習うという意味が、まなぶという意味になったとされています。

難しい仕事のために多くを学ぶことは、きっと自分自身を成長させることにつながるでしょう。

難しい仕事を頑張る人にぴったりな漢字|努

「努」の音読みは「ド」、訓読みは「つと(める)」「ゆめ」です。

精を出してつとめる、はげむ、力を尽くす、決して、などの意味があります。

元々は「耒(農耕に使う、すきのこと)」の象形である「力」と、「奴」が合わさった漢字で、農耕に勤労することを意味していました。転じて、物事につとめることを意味するようになります。

仕事を成功させるため、力を尽くして努力する、前向きな意味のある漢字と言えるでしょう。

難しい仕事を頑張る人にぴったりな漢字|超

「超」の音読みは「チョウ」、訓読みは「こ(える)」「こ(す)」です。

限度をこす、とびこえる、抜きんでている、優れている、などの意味があります。

元々はとびこえる、という意味が、優れるという意味に転じました。

どんなに難しい仕事や困難でもとびこえることのできる、優れた能力があることを表す、前向きな漢字です。

前向きになれる漢字を見つけて、その意味や成り立ちを知ろう!

前向きな意味を持つ漢字や、落ち込んでいるときにもポジティブになれる漢字は多数存在します。

普段何気なく見ていた漢字も、その意味や成り立ちを知ると、より前向きになれるのではないでしょうか。

今回紹介した漢字以外にも、前向きな漢字はたくさんあるので、ぜひ探してみてくださいね。