JTBは7月6日、「2023年夏休みの旅行動向調査」の結果を発表した。調査は6月14日~17日、夏休み(7月15日~8月31日)に1泊以上の旅行に出かける15歳~79歳男女2,060名を対象にインターネットで行われた。今年で54回目。
今年の夏休み「旅行に(たぶん)行く」と回答した人は36.5%。前年から0.4ポイント増加し、コロナ禍前の2019年調査(38.0%)の結果に近づきつつあるよう。夏休み期間(7月15日~8月31日)の旅行動向については、総旅行人数(延べ)は7,370万人(対前年117.8%、対2019年97.7%)、総旅行消費額は3兆1,772億円(対2019年95.0%)と推計。
このうち、国内旅行人数は7,250万人(対前年116.9%、対2019年100.1%)と、2019年水準まで回復。費用については、物価の高騰や旅行需要の拡大、サービス業の人手不足の影響など旅行関連費用の高騰から、国内旅行平均費用は40,000円(対前年108.1%、対2019年109.6%)と、調査開始以来、過去最高を記録し、国内旅行消費額は2兆9,000億円(対前年126.4%、対2019年109.7%)と見込まれる。
一方、海外旅行人数については、120万人(対前年214.3%、対2019年39.6%)、3年ぶりの推計となった海外旅行平均費用は23万1,000円(対2019年99.6%)、海外旅行消費額は2,772億円(対2019年39.4%)と推計。意欲の高まりは見られるものの、物価高や円安、久しぶりの海外に対する不安などから短期で比較的日本から近い行先が人気で、ゆるやかではあるものの回復基調となっている。
次に、夏休みの旅行先を「日本国内」と答えた1,816名の旅行の傾向を分析したところ、旅行目的は「家族と過ごす」(10.9%)や「帰省」(10.0%)、「温泉でゆっくりする」(9.8%)が多く、旅行日数は「2泊」(36.2%)が最多で、前年から3.1ポイント増加した一方で、次点の「1泊」(32.6%)は3.2ポイント減少。
同行者は、家族やひとりが中心だった旅行から、「家族と友人・知人」(6.3%)、「友人・知人・パートナー」(14.5%)、「団体」(1.0%)など、同行者の対象が拡大する傾向に。旅行先については、「関東」(18.3%)、「北海道」(12.5%)、「近畿」(12.3%)が上位となり、居住地別に見ると、旅行先と居住地が同じ地方である域内旅行の割合は減少し、域外の旅行が増加していることが明らかに。今年はさらに長期化、遠距離化の傾向が強まり、コロナ禍前に戻りつつあるよう。
一人当たりの旅行費用については、「4万円~5万円未満」(18.5%)が最も多く、全体的に費用は増加傾向に。利用交通機関は「自家用車」(49.8%)が最も多かったものの、前年より1.4ポイント減少し、「JR新幹線」(27.9%)や「従来の航空会社」(20.7%)がいずれも増加。利用宿泊施設は「ホテル」(63.4%)が最も多く、次いで「旅館」(26.3%)、「実家や親族の家」(18.9%)と続いた。
なお、 JTBの宿泊・国内企画商品の予約状況によると、旅行意欲の回復から前年比は120%(7月5日付)となり、人気方面は、1位「沖縄」、2位「関西」、3位「北海道」、さらに「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」や「東京ディズニーリゾート®」などのテーマパークや「ジブリパーク」への需要も高まっている。
2023年4月29日に日本の水際対策が終了して以来、日本人の海外旅行人数は緩やかに回復。コロナ禍において失効したパスポートの申請も順調で、都心部においては手続きに長蛇の列ができるなど旅行に対する前向きな意識がうかがえる。
一方で、航空路線の座席供給数はまだ完全に2019年水準までには回復しておらず、加えて円安や物価高、サービス業の人手不足も世界中で課題に。このような状況から、夏休み期間の海外旅行人数は、120万人程度と推計され、対前年214.3%、対2019年では39.6%となった。
夏休みの旅行先を「海外」と答えた199名の旅行の傾向を分析したところ、旅行日数は「3泊」(26.6%)が最も多く、次いで「2泊」(20.1%)、「1泊」(11.6%)となり、3泊以下の合計は2019年と比べると33.8ポイント増加。行先は「韓国」(19.1%)、「台湾」(16.1%)、「ハワイ」(12.6%)が人気で、旅行費用は「4万円~5万円未満」(16.6%)や「7万円~10万円未満」(15.6%)が上位に。
なお、JTBの海外企画商品の人気方面では、1位「ハワイ」、2位「韓国」、3位「台湾」となったほか、「グアム」や「シンガポール」の人気も高く、アジアを中心に比較的日本に近い旅行先が人気。それに伴い、旅行費用も僅かながら抑えられている様子がうかがえた。