インテリア好きから根強い人気のある北欧テイスト。しかし、案外イメージが漠然としている人も多いのではないでしょうか。

実際にゼロリノベでリノベーションするお客様にも北欧テイストが人気ですが、設計相談の際に「北欧風のインテリアを空間にどう馴染ませたらいいか分からない」「北欧風に憧れるけど、何をどうすればいいかわからない」といったご相談も多く寄せられます。

実は、北欧風の部屋をつくるポイントは3つだけ。賃貸でも気軽に始められます。

今回は、ゼロリノベでリノベーション設計とインテリアコーディネートを担当する設計デザイナーが、北欧風のお部屋をつくるポイントをお教えします。

  • 賃貸住まいでも叶う「北欧風の部屋づくり」3つのポイント - 住まいづくりのプロが解説)

■1.北欧風のお部屋の5つの特徴

北欧の人々は日照時間が短く冬が長いために、家で過ごす時間を心地よくしたいという価値観が根付いており、インテリアにも日常を慈しむための工夫がされています。

北欧風のお部屋の特徴は次の5つです。

1.自然素材
2.ミニマルなデザインの北欧家具
3.自然な光の照明を多灯づかい
4.温かみのある色や特徴的な柄のファブリックがアクセント
5.テイストはナチュラル、ポップの2つに大別される

1-1.自然素材

北欧風のお部屋では、床板や家具に自然素材を使います。森林資源が豊富で自然が身近なことから、環境に対する意識が高い北欧諸国。そのため、質の高いものを長く使う考えが浸透しており、経年変化を楽しめる木材が愛されています。

厳しい冬にも木のぬくもりや自然素材の肌触りを楽しめるよう、オイル仕上げやソープ仕上げのものがよく選ばれます。

  • 北欧風の部屋の特徴「自然素材」

1-2.ミニマルなデザインの北欧家具

北欧デザインの家具は、丈夫で美しく機能的、装飾が少なくシンプルで使い心地を中心に設計されています。肌触りがよい天然素材を使用し、体のカーブに添う曲線が特徴的です。

特にソファや脚付きのキャビネットなどは、都市部の小さな住宅でも空間を広く見せるために低めに設計されていることが多く、現代の日本のマンションにもフィットするデザインになっています。

<北欧家具のルーツはデンマーク>

  • 北欧家具のルーツはデンマーク

良質な北欧デザインの家具が一般に広く普及するようになったきっかけは、デンマークの生活協同組合連合会に家具部門が設立されたことでした。そこで生まれたのがデンマークの老舗ブランドFDBモブラーです。

「丈夫で、美しく、機能的、そして手軽な価格」を開発条件に開発された良質な家具は、後に北欧家具の模範となる名品として一般市民に愛され、北欧家具の黄金期を築き上げました。

1-3.自然な光の照明を多灯づかい

日本ではシーリングライト1灯で部屋を広く照らすのが一般的ですが、北欧ではフロアライトやペンダントライトなどの照明を組み合わせ、小さく数カ所で照らす多灯づかいが一般的です。日が暮れ始めると一灯ずつ、キャンドルを灯すように明かりをつけていきます。

  • 北欧風の部屋の特徴「自然な光の照明を多灯づかい」

少し暗く感じる程度の明るさの照明を点在させることで、部屋に表情や奥行きが生まれ、ほっとできる空間を演出します。

1-4.温かみのある色や特徴的な柄のファブリックがアクセント

インテリアで自分らしさを表現するのも北欧テイストの特徴です。

特にファブリックや壁に取り入れるカラーは、その人らしさを演出できる大きな要素になるため、ソファなどの大型家具はもちろん、敷物やクッションカバー、ブランケットなどの小物も好みのものを選びます。

  • 北欧風の部屋の特徴「温かみのある色や特徴的な柄のファブリックがアクセント」

1-5.テイストはナチュラル、ポップの2つに大別される

北欧インテリアの中でも、ナチュラルとポップ、2つのテイストに大別されます。前者は落ち着いた色味を中心に構成され、後者はIKEA(イケア)やHAY(ヘイ)のように明るい色使いのアイテムを多く取り入れるのが特徴です。

■2.おしゃれな北欧風のお部屋にする3つのポイント

おしゃれな北欧風のお部屋をつくるポイントは次の3つです。取り入れやすいものから挑戦してみましょう。

  • 内装はシンプルに、北欧デザインの家具を選ぶ
  • シーリングライトをやめる
  • 好みに合わせてアクセントカラーを取り入れる

2-1.内装はシンプルに、北欧デザインの家具を選ぶ

北欧家具の魅力を引き立たせるため、床や壁といった内装は極力シンプルにするのが鉄則です。モダンな印象にしたい場合は、床材を壁と同系色のタイルにするとさらに洗練された雰囲気に。

空間の主役となる北欧家具は、妥協せずこだわりのある品を選びましょう。トータルコーディネートで一気に買い換えるのが難しい場合は、まずは一脚のデザインチェアから始めましょう。

  • 北欧風の部屋作りのポイント「内装はシンプルに、北欧デザインの家具を選ぶ」

椅子は他の家具に比べて価格帯も手に届きやすく、一脚だけで置いても絵になるアイテム。有名なartek(アルテック)のスツール60は3万円台から購入できます。

北欧の人々は初任給で椅子を買うというほど、こだわりのある家具。お気に入りの一脚に合わせて、ポスターや照明など他のアイテムを少しずつ集めるのも楽しいですよ。

  • 北欧風の部屋作りのポイント「内装はシンプルに、北欧デザインの家具を選ぶ」

2-2.シーリングライトをやめる

照明を変えると、おしゃれで落ち着いた空間を簡単に演出できます。天井付けのシーリングライトを外して、自然な光のペンダントライトやデスクライト、フロアスタンドなどを配置してみましょう。

  • 北欧風の部屋作りのポイント「シーリングライトをやめる」

1灯だけでは暗いな、と思う程度の明るさの照明を必要な場所だけに絞って点在させることで、空間に表情と奥行きが生まれます。

賃貸でも、照明の根元が引掛シーリングであれば、工事不要で簡単に取り付けられるライティングレールが販売されています。

2-3.壁やファブリックにアクセントカラーを取り入れる

好みのアクセントカラーを取り入れるだけで、おしゃれで自分らしい空間が簡単に演出できます。貼って剥がせる壁紙や、カーテン、ソファの背面といった面積の広いファブリックなどで取り入れると簡単に印象を変えることができておすすめです。

近年くすみカラーが流行していますが、中でも下の写真のような明るいローズカラーや、目を引くグリーンカラーがインテリアのトレンドに。

  • 北欧風の部屋作りのポイント「壁やファブリックにアクセントカラーを取り入れる」

トレンドカラーは人々の気分を反映するもの。過去数年は落ち着いたグレーがトレンドでしたが、流行が変化し始め、優しさや温かみを感じる明るい色合いに注目が集まっています。

■北欧テイストの空間は生活に豊かさを与える

住空間をより自分らしく・心地よくするためのヒントが詰まった北欧テイスト。その魅力は見た目だけにとどまらず、都市部での生活の質向上や環境保全など、暮らしを根本から豊かにするためのアイデアに溢れています。

シンプルな北欧インテリアは日本の住宅にも馴染みやすく挑戦しやすいはず。まずは一脚、お気に入りの椅子さがしから始めてみてはいかがでしょうか。