「講釈を垂れる」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。「講釈」という言葉のイメージから良い意味に捉えがちですが、実際の使い方には注意が必要です。
この記事では、「講釈を垂れる」という言葉の意味や正しい使い方・例文、類語・言い換え表現などを紹介します。
「講釈を垂れる」とは? 意味と語源
ここでは、「講釈を垂れる」の意味や語源を紹介します。
「講釈を垂れる」の意味
「講釈を垂れる」は、もともと「物事の意味を勿体ぶって説明する」や「目下の人に模範や教訓を示す」という意味で使われていました。
現在では、「つまらない話を上から目線で長々と話す様子」や「偉そうな言い方でくどくどと話すさま」という意味に変化しています。
したがって、「講釈を垂れる」は、良い意味で使われることはなく、長い話をタラタラと人に説明して聞かせるというニュアンスが含まれています。
「講釈を垂れる」の語源
「講釈」という言葉には「言葉や文章の意味を説明する」や「講談(落語のように物事を調子良く語る演芸)をすること」の意味があります。
「垂れる」には複数の意味が存在し、「目下の人に表し示す」のほかに「よくないことを話す」というマイナスの意味も含まれます。
「そこから、講釈を垂れる」は、「つまらないこと・よくないことを長々と説明する」という意味に派生したといわれています。
「能書きを垂れる」との違いとは?
「能書きを垂れる」には、「自分の優れた部分を得意げに話す」という意味があります。
「能書き」は、「薬の効能を書いた文章」と「自分の良いところを並べ立てた言葉」という二つの意味を持つ言葉です。「能書き」+「垂れる」を組み合わせて、現在使われている意味になりました。
つまり、「能書きを垂れる」は「自分について話をする」ことに対して「講釈を垂れる」は「相手につまらない知識を披露する」という意味合いです。
聞き手にとってマイナスであることは共通しています。
「講釈を垂れる」の使い方・例文
「講釈を垂れる」は、主に上から目線で話がくどい人や、説明が長くて嫌味な口調で話す人に対して使われる言葉です。
ここからは、「講釈を垂れる」を使用した例文をいくつか紹介します。この言葉がどのような場面で使われているのかチェックしましょう。
- 彼はいつも講釈を垂れるばかりで、行動が伴わない
口だけの説明で、行動を伴わない人がいます。仕事にダメ出しをしたり、偉そうに指示をしたりするだけで、自分からは行動しないような人に対して使用します。
- つまらない講釈を垂れるより、早く業務を片づけてください
この例文は、「つまらないことばかり言っていないで、早く業務を終わらせるように」という意味で、相手に強く言っている印象を与えます。
- 彼女が講釈を垂れている間、私は完全に上の空だった
説明が長く、同じようなこと繰り返し話す人に対し、話が頭に入ってこないという心情を表した例文です。
「講釈を垂れる」の類語・言い換え表現
「講釈を垂れる」という言葉には、類語・言い換え表現がいくつか存在します。ここでは、「講釈を垂れる」の類語・言い換え表現を紹介します。
御託を並べる
「御託(ごたく)を並べる」は、「勿体ぶる言い方をする」や「自分勝手なことを偉そうに述べる」という意味を持つ言葉です。「講釈を垂れる」と似た意味を持つため、同じような場面で使えます。
長広舌をふるう
「長広舌(ちょうこうぜつ)をふるう」とは、「長々と喋りたてること」を表す言葉です。「ふるう」には「能力を十分に発揮する」や「勢いが盛んになる」という意味があり、元気よく得意げに長々と話している人に対して使われます。
長々と話す
「長々(ながなが)と話す」は、「講釈を垂れる」をもっとも簡単に言い換えた表現です。言葉通り「長く話している様子」を表し、「講釈を垂れる」よりやわらかいニュアンスになる言葉です。
「講釈を垂れる」の英語表現
「講釈を垂れる」を英語で言い換えると「splain」という言葉になります。「splain」とは、「相手に対して上から目線で説明する」という意味を持つ俗語です。また「講釈を垂れる人」のことは「splainer」と呼ばれています。
「講釈を垂れる」人の心理とは?
講釈を垂れる人は、どのような心理なのでしょうか。
ここでは、講釈を垂れる人が持つ特徴や心理的な要因を解説します。
優越感に浸りたい
講釈を垂れる人は、優越感に浸りたいという心理を持っています。このような人は、自分は他人よりも優れていると思っているため、自然と上から目線の語り口で話すことが多いでしょう。
一方で、優越感の裏返しとして、自分に対してコンプレックスを抱いている可能性もあります。もしかしたら、自分のコンプレックスを隠すために、自分を大きく見せようと振る舞っているのかもしれません。
周囲から褒められたい
周囲から「すごい」と褒めてもらいたいがために、講釈を垂れる人も存在します。
このような講釈を垂れる人は、自分でさまざまな情報をかき集めては、周囲の人にその情報を披露することで、自分の価値を高めて、「すごい人だ」と周囲に思われたいのです。
注目されたい
周りの人から注目されたいことから、講釈を垂れる人も存在します。周りの大勢の人が自分の話に耳を傾けてくれる状態が快感で、長々と話してしまうのかもしれませんね。
「講釈を垂れる」の意味・使い方を理解しよう
「講釈を垂れる」の意味・使い方をこの記事では紹介しましたが、実際に講釈を垂れてしまうと周りの人に煙たがられてしまうおそれがあります。「講釈を垂れる」という言葉の意味・使い方を理解して、周りの人と上手く付き合いましょう。