若い世代は意外に思うかもしれないが、スタジオジブリを語るうえで日本テレビの存在は欠かせない。

6月29日から日テレが主催する「金曜ロードショーとジブリ展」(東京・富山)は、日テレの金曜ロードショーという番組がいかにジブリ作品を日本に広め、世界へと羽ばたかせることに貢献したか、その歴史の一部始終が集約されたまたとない場となっている。

今回は、展覧会の開催に先立って行われた開会セレモニーの模様とともに、展覧会の内容の一部をお伝えしよう。

合計200回以上もジブリ作品を放映してきた「金曜ロードショー」

開会セレモニーには、日本テレビの代表取締役会長執行役員の杉山美邦氏、スタジオジブリの代表取締役プロデューサー・鈴木敏夫氏、そしてKDDI株式会社執行役員常務の竹澤浩氏の3人が登壇した。

  • 左から日テレ・杉山美邦氏、スタジオジブリ・鈴木敏夫氏、KDDI・竹澤浩氏

金曜ロードショーは1985年に始まり、翌86年に『風の谷のナウシカ』を放映して以来、200回以上ものスタジオジブリ作品を放送してきた。

杉山氏は冒頭、放送開始当初の日本は貿易黒字で「力があった時代」だと振り返り、「そんな節目の年に金曜ロードショーを始めて、200回以上もスタジオジブリ作品を放映してきた。我々も放送を通して視聴者から高い支持を得られたのは本当に嬉しい限りだ」と語った。

  • 日テレが関わってきたジブリ番組に関するデータベースの展示も充実/(C)Studio Ghibli

さらに、日テレは金曜ロードショー以外にも幅広くスタジオジブリとパートナーシップを築いているという。ロンドンでは昨年10月から舞台『となりのトトロ』が上演されたが、これも日本テレビがイギリスの名門演劇会社と共同製作したもので、イギリス演劇界で最も権威のある「ローレンス・オリヴィエ賞」では6冠を獲得するという快挙を成し遂げている。

  • (C)Studio Ghibli

こうした事実を踏まえたうえで杉山氏は、「日本テレビはジブリを愛する人間ばかり。これからもスタジオジブリとタイアップしながら、その魅力をみなさんに届けていきたい。『金曜ロードショーとジブリ展』は明日から開幕になるが、ひとりでも多くの皆さんに足を運んでいただき、作品の歴史を見ていただけるよう願っている」と訴えた。

  • (C)Studio Ghibli

KDDIの竹澤氏は、「一足先に展示を内覧し、いろんな発見があった」と話し、「特に(『風の谷のナウシカ』に登場した)腐海の森や王蟲の造形物は、“あれぞ後世に残していただきたい”と思うほど夢があるものだった。我々もARの技術で楽しめるイベントを提供しているので、ぜひそちらも楽しんでいただきたい」と語った。

  • 『風の谷のナウシカ』の腐海の森を再現した展示物

スタジオジブリの鈴木氏は、「金曜ロードショーとジブリ展」を内覧した感想として、「今回の展覧会は参加型。これまでやってきた『鈴木敏夫とジブリ展』、『アニメージュとジブリ展』などと比較すると、あちらは美術展であるのに対し、今回の展覧会はエンターテイメントに徹している。主催者が変わるとこうも違うのかと感じた」と話した。

  • (C)Studio Ghibli

また、7月に公開が迫った映画『君たちはどう生きるか』は、2013年の『風立ちぬ』以来、10年ぶりの宮崎駿監督の新作となるが、鈴木氏は「(10年の間が空いても)みなさんがジブリ作品を忘れないのは、金曜ロードショーによるところが大きい」と言う。

  • 『魔女の宅急便』のポスターフォトスポット

「『金曜ロードショーとジブリ展』は僕が言い出しっぺだった。10年間も映画を出していないのにこれだけの支持があるのは金曜ロードショーのおかげだし、実際にこれまでジブリ作品を見た人たちからは『映画館では見てないんですけど』と言われまくってきた。多分、それが(今回のイベントを考えつくに至る)ヒントになった」(鈴木氏)

  • (C)Studio Ghibli

開催期間は東京展(天王洲・寺田倉庫 B&C HALL/E HALL)が年6月29日から9月24日まで、富山展が10月7日から2024年1月28日となっている。金曜ロードショーの圧倒的なデータベースを通じて、ジブリ作品の世界観を体感する機会はそうそうない。この貴重なチャンス、お見逃しなく!

■information
金曜ロードショーとジブリ展 東京展
会期:2023年6月29日(木)~9月24日(日) 会場:東京・天王洲 寺田倉庫 B&C HALL/E HALL
通常チケット:大人1,800円/中・高校生1,500円/小学生1,100円
特典付きチケット:大人2,700円/中・高校生2,400円/小学生2,000円