6月も下旬になると、そろそろ「夏のボーナス」の時期となります。民間企業では、6月下旬~7月上旬頃に支給されるところが多いですが、国家公務員の場合、夏のボーナスの支給日は法律で6月30日と定められており、地方公務員もこの決まりに準じて支給されます。

では、今年の公務員の夏ボーナスは、いくら支給されるのでしょうか。これまでの夏ボーナスの平均支給額の推移とあわせて、ご紹介します。

  • 公務員の夏ボーナス、今年はいくらもらえる?

■2023年夏のボーナス、公務員の平均は?

新型コロナウイルスの影響も落ち着いてきた、2023年の夏。公務員のボーナスはどのくらい支給されるのでしょうか。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの「2023年夏のボーナス見通し」によると、国家公務員(管理職および非常勤を除く一般行政職)のボーナス(期末・勤勉手当)の平均支給額は、前年比9.0%増の63万7,400円と、大幅に増えることが予想されています。

2022年夏のボーナスは、給与法改正が間に合わなかった2021年冬のボーナスの減額分を調整するため、0.15ヶ月分少なくなりました。今年は、期末手当が2022年夏の減少分(0.15ヶ月)増加するほか、昨年の給与法改正で勤勉手当が0.04〜0.05ヶ月分引き上げられ、合わせて約0.2ヶ月分もの増加が見込まれています。

また、こうした一時的な要因もさることながら、民間企業のボーナス回復動向も、公務員のボーナス増加に影響しています。公務員のボーナスは、民間企業の水準に合わせるという決まりになっているからです。

では、地方公務員の夏ボーナスはどうでしょうか。地方公務員のボーナスは、国家公務員の支給実態に合わせられるところがほとんどです。みずほリサーチ&テクノロジーズの「2023年夏季ボーナス予測」によると、公務員(国+地方)の一人当たりボーナス支給額は、前年比11.3%増の73万1,214円と予想されています。

公務員のボーナスに影響を与える2022年度の人事院勧告では、国家公務員の月例給が増額されたほか、ボーナス支給月数が0.1ヶ月引き上げられていました。また、先ほどもあったように、2022年夏は給与法改正の成立が遅れたことに伴う減額調整があり、その反動もあり、今年の夏ボーナスは高めの伸びとなる見込みです。

■公務員の夏ボーナスはどう推移している?

今年は、昨年と比べて大幅増となった公務員の夏ボーナス。では、公務員の夏のボーナスはどのように推移しているのでしょうか。公務員の夏ボーナスについて、今年2023年の予想額と、2016年~2022年の平均支給額をまとめてみました(全て国家公務員。管理職および非常勤を除く一般行政職)。

  • 公務員の夏ボーナス、今年2023年の予想額と2016年~2022年の平均支給額

2023年 63万7,400円 前年比9.0%増
2022年 58万4,800円 前年比11.5%減
2021年 66万1,100円 前年比2.8%減
2020年 68万100円 前年比0.1%増
2019年 67万9,100円 前年比3.9%増
2018年 65万2,600円 前年比2.1%増
2017年 64万2,100円 前年比1.6%増
2016年 63万100円 前年比1.6%増

2016年から増加を続けてきた公務員の夏ボーナスは、2021年に2.8%減と減少に転じ、昨年2022年には前年比11.5%減と大きく落ち込みました。しかし、今年は一転して前年比9.0%増と回復し、ここ数年の水準に戻りつつあります。

今年の公務員の夏ボーナスは、一時的要因によって大きく減少した昨年の反動で大幅に伸びましたが、同時に、民間企業のボーナスの回復動向が織り込まれています。一時的要因を度外視しても、ボーナスは増加基調に転じたと判断できそうです。

■公務員のボーナスを左右する「人事院勧告」の内容とは

最後に、公務員のボーナスに影響を与える「人事院勧告」の内容を確認してみましょう。国家公務員の給与やボーナスは、民間の支給実績と比較し、民間の水準をもとに決められています。公務員には、ストライキなどを実行する「争議権」が認められておらず、その代わりに、給与やボーナスを民間の水準に合わせるようにしているのです。

具体的には、以下の3点を比較し、国家公務員のボーナス額が算出されています。

・国家公務員の4ヶ月分の給与
・民間企業(企業規模50人以上などの条件あり)の4ヶ月分の給与
・民間企業の前年8月からその年の7月までに支給されたボーナス金額

こうして、民間の基準に合わせるよう、国家公務員の給与水準を改定して俸給制度・諸手当制度の見直しを行っています。なお、比較対象となる給与は、同じ条件(業種、役職階級、学歴、年齢)のものです。

これらの調査結果から、国家公務員の給与を民間の給与に合わせるよう勧告しているのが「人事院勧告」です。そして、人事院勧告の結果をもとに給与法が改正され、国家公務員の給与やボーナスが決まる流れとなっています。

では、2023年の夏ボーナスに影響を与える、2022年8月発表の人事院勧告の内容はどのようなものだったのでしょうか。昨年8月の人事院勧告では、民間給与の平均は40万5,970円、国家公務員の給与は40万5,049円で、国家公務員のほうが、921円(0.23%)安い結果となりました。これを受けて、

・民間給与との均衡を図るため、初任給及び若年層の俸給月額を引き上げる
・ボーナス(勤勉手当)を引き上げる(0.1ヶ月分)

ことが勧告され、今回の夏ボーナスの金額に反映されています。

■大幅増となる見込みの公務員の夏ボーナス

国家公務員の夏ボーナスは、前年比9.0%増と大幅に増える見込みです。一方、民間企業のボーナスは、コロナ禍による落ち込みを経て2021年冬あたりから回復傾向にあり、今後も増加基調が続くと予想されています。

これを受け、公務員のボーナスも今後数年は増加するでしょう。この予想通り、民間、公務員ともにボーナスが順調に上がっていくことを期待したいですね。