昨年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で北条泰時の妻・初役を演じ注目を集めた女優・福地桃子。現在放送中のNHK BSプレミアムドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』(毎週日曜22:00~22:50)では主人公の友人役を演じている。自身は5人きょうだいの末っ子だという福地に、本作での役作りや家族について話を聞いた。

  • 福地桃子にインタビュー 撮影:加藤千雅

    福地桃子 撮影:加藤千雅

本作はSNSで話題の作家・岸田奈美氏のエッセーが原作。ベンチャー企業家だった父は急逝し、母は突然車いすユーザーになるなど、家族をめぐる出来事をつづった自伝的エッセーを、独自の視点での脚色を加えてドラマ化した。

福地が演じているのは、河合優実演じる主人公・岸本七実のクラスメイト・天ヶ瀬環(あまがせ・たまき)役で、ドラマオリジナルのキャラクター。家族がマルチ商法をしていることから“マルチ”といじられているが、我が道を行くタイプで周囲の視線はあまり気にしていない。

「環は決して協調性があるわけではないんですけど、自分の中に強いものを持っていて、嘘をつかないとか、自分の気持ちに正直であるとか、そういうところを演じながらとても感じています」

環を演じるベースの部分は、初日でつかめたという。

「好きなものなどに真っすぐがゆえに周りが見えなくなってしまったり、1話では七実への思いを直接熱弁するシーンがあるのですが、その思いがとてもとてもピュアで、クランクインの日にそのシーンを撮影したのですが、そこで完全にこの役が持つ魅力を感じました」

そして、「環自身がどういうことに楽しいと感じてテンションが上がるのか、そのポイントを見つけることがすごく大事だと思い、そこを意識しています」と説明。

「環ならではのこだわりがあって、周りに流される事がないのでいいと思わないものは嘘でも『いい』と言わず、逆にいいと思うものは、自分1人でもいいと信じ続けられる。誰の目にもとまらない魅力に気づいて1人で楽しんでいるような人だと思うので、そういうことを想像しながら演じています」と語った。

また、「主人公の七海も環も周りから『かわいそう』と見られることがありますが、本人は自分の家族についてそこまで気にしていない」と話す福地。

人から「マルチ」と言われても、それは親の話であると自分の中で線引きし、全く悩まない。「自分は自分」という環の考えに福地も共感する部分があると言い、「会話のテンポなど人に無理をして合わせてみようと思った時期もあったのですが、気づいたらやめていました」と意識の変化を明かす。

「小さい頃からの友達といるとなんの違和感もなく、合わせようという意識もありませんでしたが、受け身でいるだけでは良くないなぁという思いから、なんとなく会話のテンポを合わせるようにしてみたり、頑張ろうとしていた時期もありました。でも、そんなことをしていたら苦しくなるなと思い、気づいたらやめていました」

そして、無理に人に合わせることはせず、自然体で過ごすようにしていたら、ありのままの自分いられる友達が自然とできていったという。

「趣味や共通点から仲良くなることが多いですが、居心地が良くてなんか落ち着くなという友達は自然とできるものなんだなと思います。1人の時間を優先できる友人がいたっていいですし、無理して合わせるのではなく、素の自分でいられる人を大切にしたいと思うようになりました」

日本テレビ系ドラマ『それってパクリじゃないですか?』で演じたカフェ店員のような、その場を明るくする力を持っている人への憧れも口に。

「誰かに元気を与えられる人はすごいなと。自分らしくいながらも、こういう人になりたいという憧れを持つのもいいだろうなと思っています。それも含めて、自分の気持ちに正直に生きていけたらいいなと思っています」