ハーレーダビッドソン ジャパンは最高級プレミアムモデル「CVO ストリートグライド」と「CVO ロードグライド」を発表した。両モデルとも価格は549.78万円~とバイクとしては超高額だが、どんなユーザーが買うのか。台数限定のモデルなのか。欲しいと思ったら誰でも買えるのか。発表会を取材した。

  • ハーレーダビッドソン「CVOストリートグライド」「CVOロードグライド」

    左が「CVO ストリートグライド」、右が「CVO ロードグライド」

そもそもCVOってどんなモデル?

「CVO」は「Custom Vehicle Operation」の略。すでに販売中の既存モデルをベースとし、排気量を大型化したり純正パーツによってカスタムしたりした特別なモデルだ。熟練の職人によって手作業で組み立てられる点が既存モデルとは異なる。

予約が殺到するといわれるCVOだ。過去には、フェンダーなどに金箔を塗布し高級感を演出したモデルも存在した。さらに、その年のCVOでしか楽しめないこだわりのカラーリングも高く評価されている。

  • ハーレーダビッドソン ジャパン

    新型「CVO」を発表するハーレーダビッドソン ジャパン 代表取締役 野田一夫氏(左)と米国ハーレーダビッドソン社 CEO ヨッヘン・ツァイツ氏(右)

新「CVO」は止まっているのに動いている!?

今回発表されたのは「CVO ストリートグライド」と「CVO ロードグライド」の2車種だ。第一印象としては、ベンチレーションを内蔵した新型のフェアリング(カウルとも)と迫力あるLEDシグネチャーライトが目を引く。また、フェアリングや燃料タンクと調和させた新型サドルバッグも車体全体のデザインバランスを支えている。

  • ハーレーダビッドソン「CVOストリートグライド」

    「CVO」のリアデザインは一体感がありながら流線型でまとめられている

バイクの心臓部であるエンジンは1,977ccの空冷Vツイン「Milwaukee-Eight VVT 121」を搭載。従来のエンジン(Milwaukee-Eight 117)よりもトルクが約8%、馬力が9.5%向上しているうえ、エンジンの効率を高めたことで約3~5%の燃費向上を実現しているという。さらに、冷却システムを改良したことでライダーへの負担軽減を可能にした。

筆者も何度も経験しているが、夏の炎天下にバイクにまたがると、エンジンからの熱風で気が遠くなりそうになることがある。こうした過酷な環境でも、快適に運転できるように配慮されているのはありがたい。

カラーリングは「ダークプラチナ/ピンストライプ」と「ウイスキーニート/レイヴンメタリック」の2色を用意。ダークプラチナ/ピンストライプは輝きがありつつも、アスファルトを思わせる鮮やかなグレーベースのカラーにピンストライプのアクセントが入る。ハーレーダビッドソン ジャパンの野田一夫氏いわく、「ピンストライプによって、止まっていても爽快に走っているかのような軽快なデザインに仕上がっています」とのこと。

  • ハーレーダビッドソン「CVOストリートグライド」

    止まっているのに走っているように見える…かもしれない

一方のウイスキーニート/レイヴンメタリックは実車を見られなかったが、新型フェアリングや燃料タンクの実物は展示されていた。名前の通りオレンジがベースのウイスキーカラーで、ピンストライプのかわりに黒のラインがアクセントになっている。鮮やかなカラーだ。

  • ハーレーダビッドソン「CVOストリートグライド」

    発表会場に展示されていたウイスキーニート/レイヴンメタリックの燃料タンク。これだけでも色の鮮やかさが伝わってきた

予約すれば誰も買える?

魅力の詰まったCVOだが、このバイクは限定モデルなのか、それとも欲しいと思えばだれでも買えるのか。発表会場にいたスタッフによれば、「基本的に予約をすれば誰でも購入可能です。ただし、CVOに限らず輸入車の多くは日本に入荷する割り当て台数が決まっています。発表された現時点で注文いただければ2023年夏のうちには納車可能な状況ですが、日本への割り当て台数を超過してしまうと購入が難しくなります」とのことだ。

CVOを購入するのはどんな人なのかも質問してみた。

「CVOは熱狂的ともいえるハーレーダビッドソンのファンの方にご支持をいただいています。ハーレーダビッドソンに詳しいお客様だからこそ気づいていただける魅力がたくさん詰まっていると自負しています。もちろん、ファンのためだけに作っているモデルではありませんが、CVOはハーレーダビッドソンの最高級プレミアムモデルであると同時に、ファンでありユーザーでもある多くのお客様に支えられているモデルです」

  • ハーレーダビッドソン「CVOモデル」

    発表会場には過去の「CVO」も展示されていた

ちなみに、筆者の親族には熱狂的なハーレーダビッドソンファンが複数人いる。そのうちのひとりは、2018年式のCVO ロードグライドを所有していることがわかった。新しいCVOが発表されたので乗り換えるのか聞いてみると、「2018年式のカラーリングが好きで乗っている。新しいバイクがほしいわけではない。新型に興味がないわけではないが、色が変わるのなら乗り換えないと思う」と話していた。また、関東エリアのハーレーダビッドソン販売店では「CVOは多くの問い合わせが入ります。当店では他社ブランドのバイクを下取りに出してCVOを購入するお客様もいます」と話してくれた。

CVOは年式ごとにオリジナルのカラーリングをまとって登場している。ファンでなかったとしても、その年にしか買えないカラーリングモデルとなれば、乗り換えを考えるライダーがいるのも納得だ。そして何より、好きなカラーリングだからこそ愛着が湧くのかもしれない。

もし2023年発表のCVOに強く惹かれたのであれば、早めの予約注文をおすすめしたい。