帝国データバンクは6月22日、「映画チケット」の価格動向に関する調査結果を発表した。調査は6月21日、全国の映画館事業者のうち、「5スクリーン以上」または「総収容人数500人以上」の設備を有する50社を対象に行われた。
人手不足や電気代の上昇による「サービス価格」値上げの動きが、映画館にも広まっている。全国展開する大手シネマコンプレックス(シネコン)や、地域の大規模映画館など計50社の大手映画館のうち、全体の64%にあたる32社で、昨年以降に「映画チケット」の値上げを実施したことが明らかに。
価格改定前後のチケット料金をみると、一般(通常)料金の改定前(2021年以前)金額は「1900円」が29社、「1800円」が21社だったが、23年6月以降の鑑賞分から21社が「2000円」に値上げ。また、シニア料金では22年以降、4割超の映画館が「1300円」(22社)の設定としたほか、レイトショーでは「1400円未満」に設定した映画館が価格改定前後で11社減少し、「1500円」とした企業が18社に。
なお、値上げした各チケット料金は、いずれも100円の値上げ幅にとどまり、標準的な映画鑑賞料金は「2000円」へのシフトがみられる。
値上げする要因については、価格改定の理由が判明した24社のうち、電気料金などを中心とした「水道光熱費の増加」が最も多く18社。アルバイトなどの「人件費の増加」を理由とした値上げは16社あったほか、「原材料価格の上昇」を理由とした値上げも15社判明するなど、映画館で相次ぐ値上げの背景には、運営コスト等の増加が目立つ結果に。
一方、プロジェクターなどの館内設備や、キャッシュレス決済端末など「最新設備への投資」など、前向きな値上げは16社だった。