Twitterなどで「年収1,000万円で東京に住むより、それより低い年収でも地方だと余裕のある生活ができる」等、どこで働くかを比較する話題を定期的に見かける。

本人が大事にする指標で変わるので「正解」は無いだろうが、テレワークの浸透もあり、働く場所の選択肢が増えたことは事実だ。

先日、働きがいのある会社研究所が「2023年版各地域における『働きがいのある会社』」に選ばれた優秀企業を発表。その発表内容に興味深い特徴があったので紹介したい。

  • 働きがいのある会社研究所 代表取締役社長 荒川陽子氏

働きがいのある会社とは

対象となる企業は「北海道・東北地域」「(東京を除く)関東地域」「中部地域」「近畿地域」「中国・四国地域」「九州・沖縄地域」と地域で分けられ、働く人、会社それぞれに調査され抽出されている。

  • 「働きがいのある会社」調査実施内容 提供:GPTW

  • 働く人へのアンケートの設問例とスコア算出方法 提供:GPTW

同社で代表取締役社長を務める荒川陽子氏は、「私たちが大事にしている『働きがいのある会社』はマネジメントと従業員との間に『信頼』があり、そこへ紐付く信用・尊重・誇り・連帯感・公正の5つの要素があり、調査での設問はその要素に関連しています」と調査内容に関して説明。

  • 全員型「働きがいのある会社」のモデルと定義 提供:GPTW

その結果を元に、地域優秀企業と他企業や東京の企業と要素に違いがあるのかを分析し、ある傾向があったと言うのだ。

「全体で比較したところ、東京に本社を持つ企業と比べ地域企業の平均は7.2ポイント低いです。差としては小さくありません。しかしながら、地域優秀企業の平均ポイントは東京の認定企業より高いので、『働きがいが高い』と言えるのです」

  • 地域優秀企業の特徴(全設問平均) 提供:GPTW

地方にある企業でも、働きがいを高めることはでき、特に東京に本社のある企業よりもスコアが高いということに驚く。さらに荒川氏の分析は続いた。

「5つの要素別で比較すると、すべての要素で東京認定企業よりスコアが高く、特に『誇り』要素で大きな差異を見せています。なお誇りという要素は、仕事そのものや、事業に対して社員がプライドを感じているかを示しています」

  • 地域優秀企業の特徴(要素別平均) 提供:GPTW

比較相手の東京認定企業は、東京に本社を持ち、同社が働きがいのある会社だと認定した企業。つまり数ある東京の企業の中でもトップだと位置付けされている。

にもかかわらず、地域優秀企業はすべての要素で上回ると言うのだ。

「具体的な設問内容を見てみますと、『この会社は地域・社会に貢献している』という項目で顕著に差異があります。つまり、従業員が自社は地域・社会に貢献している、と強く意識しているのです」

  • 地域優秀企業における上位の設問 提供:GPTW

誇り以外の要素でも、東京認定企業のスコアを上回っているほか、実は他のすべてのエリアでもこの「地域・社会への貢献」という設問は東京認定企業と比較して、差異があったのだ。

この理由について荒川氏に尋ねたところ、「優秀企業に選ばれた会社群が自社の働きがいを高めるために行っている、さまざまな取り組みの中で、誇りに寄与するものが特徴として現れたということになります」と補足してくれた。

地域貢献活動が社員に与える影響

取り組みとは具体的にはどのようなものなのか。地域優秀企業と認定された会社の事例が公表されたので、その一部を紹介しよう。

長野でクラフトビールの製造を主にするヤッホーブルーイング。同社の人事労務ユニットディレクター 長岡知之氏は自らの地域貢献活動の一つとして、「立候補制による道路付近の『業務内』のゴミ拾い」を挙げる。

「年々参加者は増加し、都合が合わない社員のために回数も増やしています。参加者は『達成感を持てる』『地域に貢献できる喜びを感じる』『通常業務では接点のない社員と交流できる』というコメントが出ています」

  • 地域貢献活動 提供:ヤッホーブルーイング

このような事例を踏まえ、荒川氏は「地域優秀企業では会社として積極的に地域貢献活動を行っており、地域の役に立つと同時に従業員に『会社が成し遂げていることの意味や価値』を体験してもらうという取り組みを多彩に行っています」と取り組みによる意義を強調。

その上で、同社が設定する設問のうち、地域社会貢献や仕事への意味・価値の実感は「誇り」に分類されるため、同項目が高く出たのだろうと解説する。

地方の企業で働く価値には、地域との関わり方という面もあるのだろう。「東京で働くと消耗する」と感じる人には一つの魅力になるかもしれない。