ヤマハ発動機は、ヤマハ発動機販売のレンタル事業「ヤマハ バイクレンタル」に関するニュースレターを5月22日に出した。

  • エクスクルーシブモデル取扱店のみで販売される「YZF-R7」も、この春からレンタル車両として配備

ヤマハ発動機販売でレンタル事業を担当する中居秀仁さんによると、オートバイの新車購入者のうち、20~30歳代の割合は全体の約20%。対してバイクレンタルの利用者に目を移すと、およそ半数を20~30歳代の若い方たちが占めているという。「若年層とのつながり」は二輪業界全体の課題であるが、バイクレンタルは若者への非常に有効なアプローチになっていることがわかる。

同社の「ヤマハ バイクレンタル」サービスはスタートから約5年。2023年5月現在、登録会員数は4万人を超え、貸出窓口となる加盟店は全国78店、レンタル専用車として配備する車両は50㏄スクーター「Vino」から大型スポーツバイク「MT-10」や「YZF-R7」まで、ラインナップを拡充しているという。

「5年間の運営で、お客さまのニーズや志向、またメーカーならではの強みなどがあらためて見えてきました。改善や新しい価値を加えていきながら、お客さまにとってより使いやすいシステムでレンタルの利用を拡げていきたい」と中居さんは期待を寄せる。

  • 利用者の感想で多いのが、「補償が充実していて安心」「しっかり整備されたきれいな車両で楽しめた」「スタッフが親切で安心できた」といった声だという

もともとヤマハ発動機販売がレンタル事業を興した背景には、「休眠ライダー」や「断念ライダー」の存在があったという。結婚や出産を境に愛車を手放すケースの多い30~40代のライダーたちに対し、愛車の所有、その有無を問わないかたちで「バイクとのつながり」「ヤマハとのつながり」を持ち続けてほしいと提案する意図が込められていた。

しかし実際には、想定以上にアイデアあふれるバラエティに富んだ理由や目的でレンタルが活用されている。例えば、免許は取得しているがバイクを購入していないユーザーが「操作フィーリングを忘れたくないから、3か月に1度のレンタルツーリングを楽しんでいる」といった使い方をしていることも。

  • 都市型の電動コミューター「E01」(実証実験車両)のレンタルも開始

また利用データを見ると、レンタル利用者のうち2人に1人は、すでにオートバイを所有しているユーザーだという。「そうしたお客さまは、旅先でレンタルをされたり、買い替え前にじっくりと検討するためにご利用いただいています。お客さまから特に『乗ってみたい!』という声の多いYZF-R7や、まだ市販されていない電動コミューターE01をこの春から新たに配備しました。こうしたことができるのも、私たちメーカーの強みだと考えています」(中居さん)

日本自動車工業会が掲げる「二輪車産業政策ロードマップ2030」にも、実施施策のひとつとして「保有以外の二輪車利用の拡大」が挙げられている。環境の整備や利用者の拡大とともに、バイクレンタルの可能性はもっと大きく拡がっていきそうだ。