東京商工リサーチは5月30日、「⾸都圏の不動産業“活性度”調査」の結果を発表した。調査は、⾸都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の「不動産取引業」「不動産賃貸業・管理業」を抽出し、企業数が200社以上の131市区郡を各ランキングにまとめた。
⾸都圏(1都3県)の不動産業における「活性度」トップは、「東京都港区」で66.8ポイントを獲得。新設法人数は、コロナ禍前の2019年比で17.1%減少したが、企業数は1万723社と突出して多く、ポイントを押し上げた。
続く2位は「埼玉県さいたま市大宮区」(65.5ポイント)、3位は「東京都中央区」(64.3ポイント)が続き、トップ10のうち8エリアを東京23区が占めたほか、東京湾アクアライン開通で利便性が高まり、近年はコストコ本社の移転先として話題になった「千葉県木更津市」(59.2ポイント)が8位に、JR橋本駅南口でリニア中央新幹線新駅の工事が進む「神奈川県相模原市緑区」(58.3ポイント)が11位にランクインした。
新設法人率ランキングでは、「東京都千代田区」(7.0%)、「埼玉県八潮市」(6.6%)、「神奈川県横浜市磯子区」(6.3%)、「神奈川県逗子市」(5.96%)、「神奈川県相模原市緑区」(5.94%)、「千葉県千葉市稲⽑区」(5.5%)、「東京都中央区」(5.4%)など、オフィスや商業施設の集積エリアだけでなく、ベッドタウンも上位に。
新設法人数を2022年と2019年で比較した新設法人増減率では、「千葉県木更津市」が250.0%増で最も高かったほか、「横浜市栄区」(233.3%増)、「相模原市緑区」と「埼玉県入間市」(各200.0%増)など、新設法人増減率は、オフィスなどの多い中心部より住宅地エリアで高い傾向に。一方、企業数が多い「東京都港区」(17.1%減)や「東京都千代田区」(12.2%減)などの都心部では、新設法人数が減少したエリアもあった。
次に、不動産業1社あたりのエリア世帯数を算出したところ、1位「埼玉県久喜市」(323.7世帯/社)、2位「千葉県野田市」(305.8世帯/社)、3位「神奈川県座間市」(301.0世帯/社)と、東京駅から20キロ以上離れたエリアが上位に。一方、1社あたりの世帯数が最も少ないエリアは、「東京都千代田区」で6.1世帯/社。次いで「東京都港区」(13.6世帯/社)、「東京都中央区」(14.9世帯/社)と続き、上位には住宅地エリアが、下位にはオフィスの多い中心部エリアが並ぶ結果となった。
また、2023年とコロナ禍前の2020年(1月1日時点)の地価公示を比較したところ、地価上昇率は「埼玉県さいたま市大宮区」が突出して高く19.6%を記録。次いで、「千葉県浦安市」(14.0%)、「千葉県習志野市」(11.5%)と続き、東京23区では、「東京都台東区」(7.0%)が14位に、「東京都港区」(6.9%)が16位にランクインするなど、都心部でも地価公示は上昇しているものの、すでに高価格帯で推移しており、相対的に割安感のある埼玉県や千葉県エリアで上昇率が大きい傾向が見られた。