GREENINGは6月14日、「沼津倶楽部」を沼津市(静岡県沼津市)に開業する。それに先立ち、5月24日より公式サイトにて宿泊の予約受付を開始した。
沼津倶楽部は、大正2年(1913年)、ミツワ石鹸二代目社長・三輪善兵衛が沼津市から借用した約三千坪の土地に建てた数寄屋造りの建物「松岩亭」に始まる。戦後、日本国憲法の草案が話し合われた場所とされる、約110年の歴史を持つ登録有形文化財。2008年からは株式会社プロジェクトN代表・北山雅史氏を中心に、老朽化の進んだ数寄屋屋敷を補修、一部増築をし、レストランを運営していた。さらに渡辺明氏の建築による会員制の宿泊棟を敷地内に設け、「千本松・沼津倶楽部」として再興。そして2022年8月、その経営・運営はグリーニングに継承され、2023年6月にリニューアルオープンする。
2006年、建築家・渡辺明氏の設計によって敷地内に集合別邸が増築された。木と土という最も自然的な要素をもつ素材を使用した建物は、数寄屋建築の伝統を受け継ぎつつ、現代的に和を表現した意匠へと展開し、全体の調和を作り出している。富士川の砂と土を積層させた版築壁は、陽の移り変わりにより、土の堅さと柔らかさの表情を刻一刻と変化させながら風景に溶け込む。また、屋根に使われている吉野杉を生きている素材と捉え、ほとんど無垢のまま加工せず、びっしりと並べた上から押さえつけるだけで作られている。そして富士の湧水が滾々と注がれる水盤は、夏は涼しげなせせらぎを、冬はあたたかな陽の光を受け、時に建物の陰影を水面に映し込みながら、四季折々の姿で人々を楽しませてくれる。
ゆったりとした時間が過ごせる沼津倶楽部の客室は、わずか8室。布団で休める和室、広々としたバルコニー付きの洋室、和洋の要素が混在したメゾネットなど、様々な客室タイプを用意。さらに、8室のうち1室は、京都・西陣にて1688年の創業以来、長きにわたり着物文化の継承に取り組み、また独自の革新技術によって生み出される西陣織のテキスタイルを、世界のインテリアマーケットで展開するHOSOOが手掛け、「沼津スイート」として新たに生まれ変わる。
別邸の奥に位置する静寂に包まれたスパには、内風呂と露天風呂、サウナ室を備えている。沼津倶楽部の敷地内の井戸から汲み上げられた水は、日本3大清流の1つ、柿田川湧水群と同じ水源の富士山伏流水。長い年月をかけ幾層もの地層で濾過された富士山の雪解け水は、バナジウムやカリウム、マグネシウム等の豊富なミネラルを含んでおり、浄化作用に優れている。
内風呂・露天風呂のタイルにはオーストリアで採掘された天然のバドガシュタイン鉱石が使われている。バドガシュタイン鉱石は、免疫向上や新陳代謝を活性化させる特殊な遠赤外線を発するとされ、その特別仕様の浴槽と富士山の伏流水に入浴することで長時間の温熱効果が得られ、ストレス軽減や健康増進が期待できる。さらに、露天風呂は天然鉱物である光明石のミネラル成分を含んだ人工的な温泉となっている。
1階にはセルフロウリュ付きのサウナが1室、2階には温度の異なる2室のサウナを用意。富士山の伏流水を湛えた水風呂を併設し、屋外スペースには外気浴用のチェアを完備しており、アフターサウナの設備も万全。入浴後、温まった体をリフレッシュさせるリラクゼーションスペースも用意されている。
2023年秋には、トータルビューティーカンパニー ukaによるトリートメントメニューの提供を開始する。シャワーやサウナ、岩盤浴などの設備を活かした、これまでのukaにはない施術メニューを提供予定。「トータルビューティー」をコンセプトに本物を追求するukaと、厳選した素材を使用した沼津倶楽部の設備が融合する、ここでしか体験できないメニューを楽しむことができる。
客室もスパでもukaのアメニティを用意。「あなたと私と地球が、もっとうれしくなることをふやしていきたい」という想いでうまれたukaのプロダクトは、香りやテクスチャーへのこだわりはもちろん、アミノ酸系の洗浄成分を使用することで、川などの自然に排出されると、微生物により分解されるため環境への負荷も低い処方だという。
また、1900年代初頭より大切に受け継がれてきた希少な建物で、同じ静岡県にルーツを持つ齋藤宏文氏監修による中華料理をベースとした沼津の自然の恵みが味わえるコースを提供する。(レストランについては6月に詳細公開予定)
「昭和の間」は、2種類の網代天井と繊細な彫刻が施された欄間のある数寄屋建築でありながら、中央部分に膨らみを持たせたドームのような形状は洋風な趣があり、名匠の技術が詰まっている。リニューアルオープンをきっかけに、宿泊者専用のラウンジとして、夕食の前後に寛げる特別な空間となる。