ダイキン工業はこのほど、夏本番を迎える前の「エアコンの試運転」の方法を公開した。
日本気象協会が発表した最新の1カ月予報によると、5月半ばにかけて全国的に気温がかなり高くなる見込みで、急な暑さに注意が必要とのこと。同社では、本格的に暑い日が続く夏になる前に、体を暑さに慣れさせ体調が崩れるのを防ぐ暑熱順化で夏に備えることをすすめている。
「暑くなるにともなって快適な生活を送る上で欠かせないエアコンですが、例年、夏になると点検や設置工事のご依頼が急増します。特に集中する7月~8月には修理や工事の対応をお待ちいただく場合があり、真夏にエアコンが使えない状況になってしまう可能性もあります。夏に向けた準備として、6月前半までの間を目安に試運転を実施することをおすすめします」(同社)。
同社では、全国の20代~60代の男女1,000名を対象に「夏に備える取り組みと夏場のエアコン使用状況」調査を実施した。暑熱順化を意識して入浴や運動をするなど汗をかくための行動に取り組んでいるか聞くと、81.5%が「取り組んでいる」と回答した。
しかし、「エアコンの試運転」について尋ねると、「している」という回答は46.6%と半数以下に留まり、「暑熱順化」と「エアコンの試運転」に取り組む意識の違いが浮き彫りとなった。
同社では、試運転を行うのに適した気温やタイミングを分かりやすく把握できる目安として、「夏のエアコン試運転指数」を新たに考案した。
気温23~25℃を「最適な時期」として、21~22℃を最適に次ぐ「適した時期」、20℃以下を「不向き」としている。また、気温が26℃を超えた場合、熱中症の心配も出てくることから、急いで実施することを促している。夏日が近づいてきている今、試運転をまだ行っていない場合は、早めの実施がおすすめとのこと。
同社が提案するエアコン試運転は「お手軽コース」「念入りコース」の2つ。
お手軽コースは、運転モードを「冷房」にして、温度を最低温度(16~18℃)に設定し、10分程度運転する。その上で、冷風がきちんと出ているか、 異常を示すランプが点滅していないかチェックを行う。ランプが点滅した場合は、異常停止している可能性があるため、リモコンでエラーコードを確認し、販売店または相談窓口への連絡をする。
念入りコースは、お手軽コースの内容に加え、さらに30分程度(目安)運転する。室内機から水漏れがないか確認し、異臭や異音を確認した場合は、同社サイトのAI故障診断でニオイや音の種類に合わせた原因を調べることをすすめている。フィルターや熱交換器の汚れが過多となっている場合、嫌なニオイの原因、振動が原因で異音に至るケースもあるため、確認することも大事だという。
帝京大学医学部付属病院 高度救命救急センター長である三宅康史氏は、「エアコンは涼しい環境を保つために必須です。もし猛暑の時期に必須アイテムのエアコンが使えなくなってしまったら、命の危険に直面し、サバイブすることは不可能になってしまいます。夏前には体を暑熱順化させるとともに、早めにエアコンの試運転もしておいてください」とコメントしている。
また、高齢者は、一人暮らしや老々夫婦世帯、認知症や癌などの治療中であるなど、経済的にも厳しい生活を強いられている場合も少なくない。高齢者だけでなく、乳幼児、持病や障害のある人は、熱中症弱者ともいわれている。「熱中症弱者とされる方は、常に日頃の健康状態に気を配り、我慢せずにエアコンを使うことを常に心がけましょう」とも呼びかけている。