2023年4月の新車販売台数における人気普通自動車ランキングをまとめました。
世界的にコロナウイルスは収束ムードに入り、日本国内でも季節性インフルエンザと同じ5類に移行した。4年ぶりに行動制限のないゴールデンウィークは外出や旅行を楽しむ人もずいぶん増えたようで、コロナ禍以前の状態に回復しつつあるようだ。
とはいえ、長期化するウクライナ情勢や円安などによって物価の上昇にも歯止めがかからず、景気の先行きは不透明なままだ。そのような状況で迎えた4月の新年度だが、国内ではどんなクルマが売れたのだろうか?自販連(一般社団法人 日本自動車販売協会連合会)が発表した2023年4月の販売台数をもとに、ランキング形式で人気車種の特長を紹介する。
【2023年4月】人気車種販売の人気ランキング
順位 | ブランド通称名 | ブランド名 | 販売台数 |
---|---|---|---|
1 | トヨタ | ヤリス | 14,143 |
2 | トヨタ | カローラ | 10,662 |
3 | トヨタ | シエンタ | 9,195 |
4 | トヨタ | プリウス | 7,838 |
5 | トヨタ | ルーミー | 7,811 |
6 | 日産 | ノート | 7,224 |
7 | トヨタ | ノア | 7,020 |
8 | トヨタ | ハリアー | 7,004 |
9 | 日産 | セレナ | 6,507 |
10 | トヨタ | ヴォクシー | 6,495 |
※軽自動車および海外ブランド車を除く
1位 トヨタ「ヤリス」
「ヤリス」はトヨタの小型ハッチバック「スターレット」にルーツを持ち、国内では1999年に「ヴィッツ」の名称で販売されていたモデル。2020年にTNGAプラットフォームを採用し、クルマとしての基本性能を大幅に向上させた4代目からは、国内も世界名称の「ヤリス」に統一された。
基本モデルは3気筒1.5Lのガソリンエンジンとハイブリッドを組み合わせた5ナンバーの小型ハッチバックだが、SUVブームに対応する形で3ナンバーボディを与えられたバリエーションモデル「ヤリスクロス」も大ヒットした。ほかにも、世界戦略車としてのイメージアップをはかるために2017年からは世界ラリー選手権 (WRC) にも復帰していたが、そのホモロゲーションモデルとして強力なエンジンと車体を持つスポーツモデル「GRヤリス」もラインアップに加えている。
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2位 トヨタ「カローラ」
トヨタが「ヤリス」とともに強力なラインアップで世界展開しているのが「カローラ」。55年の歴史を持ち、世界累計販売は5000万台を突破してギネス記録を更新し続けている。一時期はミニバンやコンパクトカー、ハイブリッドの陰に隠れていたが、TNGA戦略の一環として若々しくフルモデルチェンジした17代目で復活を遂げている。
一般的に「カローラ」は庶民のための小型セダンのイメージが強いが、古くから商用バンやワゴンのほか、「レビン」、「FX」といった若者向けのスポーツモデルも展開し、ラリーなどのモータースポーツにも積極的に参戦してきた歴史がある。元気を取り戻した現行モデルも幅広い年齢やライフスタイルにマッチするボディのほか、SUVの「カローラクロス」や「GRヤリス」以上のパワーを発揮するエンジンを搭載した「GRカローラ」も加えられた。
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3位 トヨタ「シエンタ」
1990年代の「エスティマ」や「ステップワゴン」からはじまったミニバンブームは自動車の標準的な外観を一変させた。その勢いは5ナンバー枠の3列7人乗りという新しい市場を生み出したが、「シエンタ」はそのカテゴリーに属するトヨタの人気モデルだ。
現行モデルは2022年8月に登場した3代目で、「TNGA-B」プラットフォームに加え、新設計の1.5Lガソリンエンジンやハイブリッド、E-Four(電気式4WD)のラインアップを持つ。エクステリアは初代のような丸みを帯びたフレンドリーなデザインに戻り、全グレードで3列7人乗りのほか、後席と荷室の使いやすさを重視した2列5人乗りも選択可能になった。
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4位 トヨタ「プリウス」
かつては新車販売でも首位に立ち、もはや“ハイブリッドカー"の代名詞となったトヨタ「プリウス」。大ヒットした2代目、3代目に比べると4代目は前衛的なデザインで好き嫌いが分かれたが、2023年に登場した5代目はグッとAピラーを寝かして進化させたモノフォルムシルエットや、特徴的なハンマーヘッドデザインのヘッドライトなども好評で、一気に4位まで順位を上げてきた。
グレードは2.0Lエンジンを搭載したプラグインハイブリッドと1.8/2.0Lのハイブリッドで、「E-Four」と呼ばれる電気式4WDシステムのほか、外部への給電モード、プラグインハイブリッドにはルーフにソーラーパネルの充電システムをオプションで設定するなど、電動車ならではの装備を充実させている。
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5位 トヨタ「ルーミー」
軽自動車並みの取り回しのよさと、ひとまわり大きなボディを持ったトヨタの小型ハイトワゴンが「ルーミー」。ダイハツ「トール」のOEM車で、2016年の登場以来、細かなマイナーチェンジを積み重ねてきた息の長いモデルだ。ほかに姉妹モデルとしてスバル「ジャスティ」が存在する。
「ルーミー」はデザインも普遍的で、モデルを象徴するような大仕掛けもないトールワゴンだが、全長3.7mの小さな車体に大きな収納力を持ち、現代の自動車に必要な安全運転支援システムも備えながら、価格も150~200万円台に抑えられている。派手さはないが、堅実性に徹した点がロングセラーの秘訣だろう。
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年間でもっとも自動車が売れる年度末に比べれば、翌月の4月は販売台数も落ち着きをみせたが、「ヤリス」「カローラ」の盤石なワン・ツー体制は変わらないものの、3位と4位は昨年にモデルチェンジした「シエンタ」と、かつてのトップセラー「プリウス」が順位を上げてきた。これにすっかり上位の常連となった「ルーミー」が続き、トップ5までトヨタ車が占めるという結果になっている。
トヨタ以外のメーカーとしては孤軍奮闘していた日産「ノート」が6位に落ち、新年度のEV対決は新型の「プリウス」が制したかたちだ。ただし、日産は待望のe-POWER版を加えて4月にモデルチェンジをした中型ミニバン「セレナ」が9位にランクインし、ライバルのトヨタ「ノア」と「ヴォクシー」兄弟の間に割って入っている。
トップ10の中ではあいかわらずトヨタが強く、日産の2台が自社独自のパワートレイン「e-POWER」や「プロパイロット」を武器に食らいついている状況だ。これに対し、かつては大ヒットしたコンパクトカー「フィット」や「フリード」、中型ミニバンの「ステップワゴン」を有するホンダは苦戦が続いている。
ホンダは軽自動車のカテゴリーでは「N-BOX」が一人勝ちだが、華々しい歴史を持つメーカーなだけに、それで満足しているとは思えない。現在でもF1でエンジンを供給するレッドブルが開幕から連勝しているだけに、トヨタを脅かすようなモデルの登場を待ち望んでいるファンも多いはずだ。
※ブランド通称名とは、国産メーカーの同一車名を合算したものであり、海外生産車を含む
※上位台数は車名別の合算値となり、一部教習車などを含む(例:ブランド通称名 カローラはカローラシリーズ全車種と教習車を含む)