「そこに愛がなければ絶対心が動かないです」と熱を込めて語ったEXILE SHOKICHI。アーティストとしての実績は皆の知るところだが、もう一つ、彼が情熱を傾けているのが“肉”への愛だ。多い時には1日10食の焼き肉屋を食べ歩き、“肉”を追求。さらに牛6頭を北海道で育て、いつか日本中に知れ渡るブランド牛を作りたいと目を輝かせる。肉好きが高じて『EXILE SHOKICHI 肉主義(ニクイズム)』を刊行するほどはまっているSHOKICHIが“肉”に突き動かされる理由とは――。

  • EXILE SHOKICHI

男3兄弟で育ったSHOKICHI。食卓ではあまり牛肉を食べる機会はなく、焼き肉に行くことも稀。当然、和牛を食することもなかった。そんなSHOKICHIが、衝撃的な肉と出会ったのが、18歳のときアルバイト先の焼き肉店だった。

「焼き肉を食べさせてもらえると思い、焼き肉屋のアルバイトの面接を受けたんです。残念ながら落ちてしまったのですが、諦めきれずにもう一度受けに行ったら、採用してもらい、そのあと店のオーナーに和牛の焼き肉を食べさせてもらいました」

『EXILE SHOKICHI 肉主義(ニクイズム)』(KADOKAWA)

初体験の和牛。大げさではなく、そのおいしさに衝撃が走った。

「香りからなにから『なんでこんなに旨いんだ!』と。しかもアルバイト先は、18歳の僕に、仕込みや発注、裁きなど全部教えてくれて、ただ肉を食べることだけではなく、店に並ぶまでの過程を学ぶことができたことが、より肉への思いに繋がっていったような気がします」

一度興味を持つと、とことんまで追求したくなるのが、SHOKICHIの“癖”であるようだ。

「好奇心がすべてなんです。大げさな言い方かもしれませんが、自分が死ぬまでに知らないことをどんどん減らしていきたい。知らないことに出会うと、ワクワクします。肉に関しても、最初は味がおいしいというところから入ったのですが、店に肉が並ぶまで多くの人が人生をかけて取り込んでいることを知れば知るほど、そのストーリーがドラマチックで、とてもまぶしく素敵に映りました。終わりがないし、追求しがいがある。本当に奥深い世界なんです」

なかでもSHOKICHIが“和牛”に魅了されていったのは、形に残らないというロマン。

「時計を買います、アクセサリーを買いますというお金の使い方も素晴らしいと思う。でも消えてなくなるものに自分の時間を費やすというのが、とても儚くて好きなんです。形に残らないからこそ、心に強く刻みたくなる。僕が今までいただいた牛さんたちも、ずっと心のなかで熟成され続けています。口にする一瞬のために、多くの方々が命を懸けている。それってめちゃくちゃロマンチックですよね」

■僕がやっていることは色物。だからこそ人一倍勉強

食べることから始まった“肉愛”。全国のブランド牛を食することによって、もっと俯瞰的に肉の魅力を捉えるようになった。そこでSHOKICHIは自身が出演している『EXILE TRIBE 男旅』という北海道の番組に「北海道で和牛を育てる」という企画を出し、現在6頭の牛を飼育するまでになった。

「和牛に関して、血統の話もめちゃくちゃ深いんです。ルーツについては諸説あるのですが、元の牛にたどり着くなか、生産者の方々が命をかけて良い牛を育てるために心血を注いでいるんですよね。その血のロマンみたいなストーリーに惹かれます。いま但馬牛を北海道・大空町で育てて、八将牛(はちまさぎゅう)というブランド牛を作ろうという壮大な夢があります。日本古来の血統のため、病気にも弱いし、大空町はマイナス20度ぐらいにもなるので、本当に難しいのですが、いろいろなデータを調べて『大丈夫』だと確信を得ました。牛1頭1頭ちゃんと幸せに育てるために、しっかりと時間をかけてチャレンジしています」

  • 和牛の育成にも挑戦しているEXILE SHOKICHI

アーティストとして大きな成功を収めているSHOKICHIが、肉へのロマンに魅了され、大きなプロジェクトに取り組む。その熱量は驚くばかりだが、自身のなかで、肝に銘じていることがあるという。それはリスペクトする気持ち。

「八将牛を育てたり、北海道ボールパークFビレッジ(日本ハムファイターズの本拠地)でYagien Ballparkというお店を始めたり……。飲食業界のなかで、僕がやっていることって、言ってみれば“色物”なんです。だからこそ、人一倍勉強して、業界の方々へのリスペクトを忘れてはいけないと思っています。いまでも多くの時間を割いて肉について勉強会に参加するなどして、しっかりと説得力を持たせられるようにやっています」