「会社で都合よく雑務を押し付けられてばかりで、正当に評価されない」「店探しや予約など、友人から強い口調で頼まれると断り切れない」「気付けばいつもおごらされている」など、「自分はいいように使われているのでは」と、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
本記事では、いいように使われる人の特徴や、「いいように使われること」と「頼られること」の違いを紹介します。他人に利用されないための対処法もまとめました。
いいように使われる人とは?
いいように使われる人とは、本人の都合や意見は配慮されず、相手の意向ばかりが優先されて、結果的に損をしている状況に陥りがちな人のことを指します。
会社の上司やママ友、友人同士などのグループ内で、人から何かを頼まれると断り切れず、つい引き受けてしまうようなタイプです。
笑顔で快く引き受けているようにも見えますが、実は他の業務や日常生活に支障が出ているというケースも少なくありません。
「いいように使われること」と「頼られること」の違いは?
人に何かを頼まれたとき、誰かの役に立つことを誇らしく思う人は多いかもしれませんが、「いいように使われること」と「頼られること」では、意味合いが大きく異なります。
ポイントは、信頼関係があるかないかです。
「頼られること」とは、「これはあの人が適任だからお願いしてみよう」「この人なら、自分のことを理解して助けてくれそう」など、尊敬したり、信用したりする気持ちがあるからこそ声が掛かることです。
この場合、役割分担や時間調整に配慮があり、相手側からも協力的な姿勢が見えるでしょう。また頼られる場合は当然、相手からの感謝や期待が伴いますし、逆に将来こちらが困っているときは、相手が手を差し伸べてくれるはずです。
一方、「いいように使われること」とは、「この人ならお願いしても断らないだろうな」と軽く見られているような状況のことを指します。依頼内容は、誰がやってもいいようなことがほとんどです。
本人の都合は配慮されずに作業を丸投げされて、その後、進捗確認やフォローはほとんどありません。
職場の人や友達からいいように使われる人の特徴
職場や友人同士のコミュニティーなどにおいて、いつの間にか都合のいいように使われている人には、いくつかの特徴があります。自分や周囲の人にあてはまる点がないか、ぜひ参考にしてください。
優しすぎて断れない
他人からいいように使われる人には、優しい人が多いです。普段から常に思いやりをもって他者と接しようと意識している優しい人は、頼まれ事をしたら「何か事情があるのかもしれない」と考え、自分が無理をすることになったとしても断り切れない傾向にあります。
しかし、使う側の人間からは「困っていると伝えれば何でも引き受けてくれる人」と認識されるため、家庭の事情や体調などを理由に、面倒事を押し付けられてしまう可能性があります。
嫌われることが怖い
周囲から嫌われることを怖いと感じている人も、いいように使われる傾向があります。
「他人から認められたい」「尊敬されたい」のような承認欲求が強いため、自分を犠牲にしてでも誰かの役に立とうとする姿勢が原因です。
また、他人から嫌われることを極端に恐れる人は、過去の人間関係にトラウマがある可能性があります。「断ったら仲間外れにされるかも」「コミュニティーの和を乱したくない」など、過去に経験した恐怖を繰り返したくない気持ちから、断れずに何でも引き受けてしまうのです。
任されたことを、そつなくこなせてしまう
仕事ができるからこそ、周囲から都合のいいように使われるケースもあります。頭が良く、機転が利いて何でも器用にこなせてしまうタイプの人が該当します。
問題が発生すると、度々「あの人ならどうにかしてくれるかも」と名前が挙がり、他の人に比べて業務量が多くなりがちです。
頼りにされることは悪いことではないですが、仕事を振られることが当たり前になり、上司や先輩の仕事も請け負うようになるなど、給料が低いままいいように使われてしまう恐れもあります。
真面目すぎる人
何事にも一生懸命で、真面目すぎる人はいいように使われてしまいがちです。基本的に人を疑わず、言葉をそのまま受け取ってしまうような素直さがあるため、相手のペースに巻き込まれやすいといえるでしょう。
家の事情や多忙を理由に訴えかけられれば、疑わず「大変なんだね」と雑用を引き受けてしまい、だまされていることに気付かないということもあります。
その結果、膨大な雑務に追われ、本来自分がしたかったことが何だったかを見失う可能性も考えられます。
困っている人を無視できない
困っている人を見ると無視できない性分の人も、周囲からいいように使われる恐れがあります。正義感が強くお人よしな人は、困っている相手のためには何でもやってあげてしまいたくなりがちです。
配偶者や子ども、両親など、大切な人を守るためには自分を犠牲にすることも必要ですが、赤の他人にそこまですると、単なる都合のいい人になりかねません。
人に寄り添える情の厚さは大きな長所ですが、自分にとって本当に大切なものをおろそかにしないよう、優先順位をつけて行動しましょう。
イエスマンである
何を頼まれても「はい」と受け入れてしまうイエスマンは、いいように使われる可能性があります。使う側からしてみれば、断られることがないため非常に都合が良いといえるでしょう。
イエスマンは他人からの評価を優先し、誰にでも良い顔をしてしまう八方美人タイプに多く見られます。たとえ自分が手一杯な状況でも、周囲からの評価が下がることを恐れ、頼まれたらつい引き受けてしまいがちです。
自己肯定感が低い
自分に自信がなく、「存在価値がない」と自分を過小評価しているなど、自己肯定感が低いことが原因でいいように使われるケースもあります。
「自分なんかに決定権があるわけがない」「何の取りえもない自分が拒否するなんてずうずうしいと思われる」など、自分の意思を表に出すことを恐れ、本来自分がやらなくてもいい雑用でも受け入れてしまいがちです。
常に受け身で主体性がない
主体性がなく、いつも受け身で物事を進める人は、周りからいいように使われる恐れがあります。
主体性がない、受け身であるということは、他者に合わせることが得意で、状況次第で臨機応変に対応できる人とも言えます。しかし、周囲の流れに身を任せ、意見を述べることもなく誰かの指示を待って行動するような人は、いいように扱われてしまう可能性が高まります。
また、自分で責任を負いたくないから受け身になっている人の場合、他人に依存する体質に陥り、ますますいいように使われる恐れがあります。
パートやアルバイトなどで、立場が弱いとみなされている人
パートやアルバイトなど、立場が弱いとみなされている人も、いいように使われる可能性があります。
パートやアルバイトは、職場での立場が必ずしも弱いわけではありません。しかし人によっては「正社員である自分の方が立場は上」と思い込み、非正規雇用者を見下して、自分の都合で仕事を押し付けてくる人も存在します。
仕事を押し付けられ、本来の職務を越えるほど働かされていては、不満がたまってしまいます。
いいように使われないための対処法
自分がいいように使われる人の特徴にあてはまるなと感じたら、他人から都合よく扱われないよう、対処することが大切です。ここでは、いいように使われないための方法を紹介します。
「何でもいいよ」をやめる
いいように使われないためには、相手に合わせ過ぎること、全てを受け入れることをやめましょう。何かを決める際に「なんでもいいよ」「何でも大丈夫です」などと言っていると、他人に決定権を委ねる人なんだと認識され、いいように使われるようになってしまいます。
しかし、仕事の重要な場面でいきなり主張することはなかなか難しいでしょう。そこで友人や家族と出掛けた際に、自分の言葉で気持ちを伝えることから始めてみてください。
普段から自己主張する癖をつけて、「この人は自分の意志をきちんと持っている」と認められれば、都合よく面倒なことを押し付けられる状況から脱出できるはずです。
勇気を持って断る
いいように使われないようにするには、相手から依頼をされても、時には勇気を持って断ることが大切です。自分のキャパシティーを超える業務や、手伝う必要のない雑用など、あまり乗り気になれない仕事を頼まれた場合は、無理に引き受けないようにしましょう。
勇気を出して断れば、自分をいいように使う人間は周囲からいなくなります。嫌われることを恐れず、自分の気持ちを大切にしてください。
ユーモアを交えながら話を流す
いいように使われそうな雰囲気を感じ取ったら、ユーモアを交えつつ、話をはぐらかしてみましょう。その場を和ませつつ話を切り替えることで、雰囲気を悪くせずにさらっとかわせます。
大切なことは、相手のペースに巻き込まれないことです。はぐらかすつもりで「あ~、そうですね~…」などと相づちを打つと、「こないだ、やってくれるって言ったじゃん!」など、相手のいいように解釈されてしまう恐れがあります。「え~こないだも私が代わりにやったじゃないですか~。そういえば…(話題を変える)」などと、同意はせずに、笑顔でやり過ごすようにしてみてください。
相手に自分の状況を伝える
いいように使われないようにするために、自分が今置かれている状況を相手に伝えてみてはいかがでしょうか。よく仕事を頼んでくる人は、単にあなたが今抱えている業務量や状況がわかっていないだけの可能性があります。
周囲からは余裕がありそうに見えており、「仕事を頼んでも大丈夫そう」と認識されているのかもしれません。もし手一杯の状態で仕事を頼まれたら、現在進行中の業務がどの程度あるかを伝えてみてください。
少し無理をすれば引き受けられると思っても、何かトラブルが起きるなどでキャパを超えてしまえば、本来の仕事が手につかない状況に陥ってしまう危険があります。まずは自分のことを最優先に考えましょう。
余裕があるように見せない
仮に本当に余裕があったとしても、いいように使われる人にならないためには、戦略的に余裕があるように見せないことも大切です。
仕事がスピーディーにこなせることは長所です。しかし、その能力を利用されて、自分に関係のない雑用までさせられる可能性があります。仕事が増えた分、評価や給与、経験などにつながるのならば引き受けるのも一つの手ですが、そうだとも限りません。
状況を見極め、引き受ける必要がないと思うのならば、「自分の仕事で手一杯だ」「他の仕事を兼任するほどの余裕はない」など、自分の業務に集中したいことを上手にアピールしましょう。
上司など、第三者に相談する
いいように使われている状況を解決したいなら、他の人に相談することも一つの方法です。
いいように使ってくる人が仕事関係の人であれば、その人より立場が上の上司に相談しましょう。直接注意してもらったり、仕事のやり方の見直しがされたりと、何らかの方法で対処してもらえる可能性があります。
友人関係にある人なら、共通の知人などに相談することもおすすめです。状況を変えるための方法を教えてくれたり、雑用を手伝ってくれたりするかもしれません。
自己肯定感を高める
自己肯定感が低いせいで人からの依頼を断り切れず、いいように使われていると感じているなら、自己肯定感を高めることも大切です。
自己肯定感を高めるためには、自分の長所を探したり、過去の成功体験を振り返ったりと、自分の存在価値を認められるよう努めてみてください。
自分自身を理解することで、自分が大切にしたいと感じる「軸」ができます。その軸がブレないように生活し、周囲と接するようにすれば、都合よく動いてくれる人を探している人は自然と離れていくでしょう。
あなたのことを粗末に扱うような人は、あなたの人生に必要ありません。その人に嫌われても何の問題もないのです。自分のことを大切にしてあげましょう。
正当な評価や対価が得られないなら、転職を検討するのも一つの手
もし仕事をする上で都合のいいように使われているにも関わらず、正当な評価や対価を得られていないと感じているなら、転職を検討することも一つの方法です。
会社の利益に貢献できるよう効率良く仕事をこなし、少しでも多くの業務を処理する姿勢や、周囲を助けようと思う精神は悪いことではありません。
しかし、誰かが楽をするために押し付けられた仕事を処理するだけで、何の評価もスキルも得られない環境であれば、やりがいも感じられないのではないでしょうか。
いいように使われているだけの職場に固執せず、思い切って新しい環境に飛び込んでみれば、正しい評価を得られる会社で充実した仕事ができる可能性があります。
他人に都合よく利用されて、損をしないようにしよう
頼られることや必要とされることと、いいように使われることでは、意味合いが大きく異なります。
自分の能力を正当に評価してもらうためには、自分自身を理解し、自分で自分の価値を認めた上で、粗末に扱われる環境から脱出することが大切です。
いいように使われることのない生き方をしたい人は、この記事を参考に、自分らしく振る舞える方法を探してみてください。