一度は愛し合ったふたりでも、時が経てば気持ちは徐々に変化するもの。「奥さんとは別れる」と信じたまま時間だけが経過して、グダグダな関係が続いてしまう場合も往々にしてあります。そんな時、最終手段として「別れさせ屋」を頼る人がいるそうです。……え、別れさせ屋、なんだそれ!? というわけで、これまでに多くの関係を別れさせてきたという方に話を聞くことができました。すると、面白い話が出るわ、出るわ!

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浮気調査から始まった「別れさせ工作」

今回話を聞いたのは、創業20年以上の実績を持つアクアグローバルサポートの剱持さん。“究極の別れさせ工作”を日々追求してきたそうですが、そもそも「別れさせ屋」ってなんですか?

「創業した当初は、浮気調査をメインに請け負っていました。夫の不倫を疑った妻が、その証拠をつかむために我々に調査を依頼する。ただ、決定的な浮気の証拠をつかんでも、実際に離婚を選ぶのは2~3割程度でした。今よりも女性の経済力が低い時代でしたし、子どもがいたりすると、やっぱりなかなか離婚にはふみきれないんですね。どうにか夫と相手を別れさせることができないか、そんな相談を受けることが増えてきて、そこから『別れさせ屋』のサービスがスタートしました」と剱持さん。

当初はそういった“夫と不倫相手を別れさせたい”という妻からの依頼がほとんどを占めていたそうです。それから20年余りを経て、別れさせ屋への依頼内容も時代と共に変化しており、たとえば不倫彼氏とその妻を別れさせたい独身女性、元カレと今カノを別れさせたい元カノ、息子と交際相手を別れさせたい親など、さまざまなパターンの依頼が来るように。特にここ数年で一気に増えた依頼が、ダブル不倫だとか。

ダブル不倫がらみの依頼が増加! 別れさせ後のコワ~イ決断も

「弊社の調査で、不倫中の男女1,000人に質問したところ、なんと53%がどちらにも配偶者がいる“ダブル不倫”でした。女性に経済的余裕ができたことや、アプリの普及で出会いの機会が増えたこともありますね」。女性に経済力がついたのはうれしいことだけど、『昼顔』のようなことがそこかしこで起こっているとは何事だ!? 

「ダブル不倫の依頼で多いのは、最初はお互い独身だと偽って“割り切った関係”で気軽につきあっていたのが、関係が深まるにつれて泥沼にはまるパターンですね。徐々に目に見えないものが欲しくなり、割り切った関係であきたらず、相手の何もかもが欲しくなってしまう。そしてお互いが結婚していることがわかると、女性側が相手男性の家庭を崩壊させたいと考えるようになり、別れさせ工作を依頼してくることが多いです」。

ただ、相手を別れさせることに成功したから一件落着、とはいかないようで……。「そのダブル不倫相手を別れさせてから、今の夫と天秤にかけて、どちらを選ぶか決める依頼者も少なくないです。不倫彼氏が妻帯者でなくなった途端に熱が冷める人も多く、相手を別れさせたにもかかわらず、自分は離婚せず、そのままの生活を続けるという方もいらっしゃいました」。コワ~、女強し! 

さらに最近増えている依頼が、パパ活がらみ。パパ活は、経済的に余裕のある年上男性が若い女性にお金を払ってマッチングするものですが、どうやらパパ側が本気で好きになってしまうケースが多発しているそう。「デートで疑似恋愛するうちにパパがお熱を上げてしまい、相手の女性とその本命彼氏を別れさせてほしい、という依頼もありますね」。え! たとえ相手が本命と別れても、自分のことを好きになる保証は全くないのに、そんな依頼をするなんて……。

パパ活のケースで、「工作」を詳しく解説すると

では実際に、どうやって別れさせていくのか、このパパ活のケースを例に、別れさせ工作を具体的に教えてもらいました。

「まずは事前調査。尾行調査を通じて、ターゲットの人間性や行動パターンを把握します。事前調査で得た情報を元に、ディレクターが工作員の選定や工作プラン作成を行い、別れさせ工作を開始します。このケースのターゲット女性は接客の仕事をしていたので、ショップのお客さんとして、女性工作員を近づけました。パパ活をしている女性にありがちなのですが、同性の友達が少ないタイプで、すぐに心を開いてくれました。

そこで連絡先を交換して、ご飯を一緒に食べに行き、今の恋愛事情についていろいろと聞き出します。すると、依頼者(パパ)以外にもパパが10人ぐらいいることが判明。その中から本命の彼氏を探し出し、同時並行でその本命君の身辺調査も始めます。本命君のほうも調べてみると、そのターゲット女性以外にも、つき合っている女性がたくさんいた。もう、みんな同じ穴の狢ですよね。そこで、本命君に別の女性工作員を近づけます。本命君は恋活アプリのヘビーユーザーだったので、簡単にマッチングできました。マッチング後の詳しい工作内容は伏せますが、その本命君は女性工作員に本気になり、ターゲット女性と別れさせることに成功しました」。

そんな、いとも簡単に! そして誰が誰やら混乱してきたがしかし、ターゲット女性が本命彼氏と別れたからといって、依頼主のことを好きになる保証はないですよね?

「まあそうですね。そこは、ターゲット女性に近づけた女性工作員の手腕にかかっています。工作員はターゲットの相談に乗りながら、依頼主(パパ)をさりげなく薦めて、女性の心を少しずつ動かしていくんです」。ひ~、心理戦ですね。そのことも依頼主に報告するんですか。

「依頼主には、包み隠さず全てのことを報告します。ですから最初に『知りたくないことも知ることになるし、人の心を動かすことなので、ある程度長期戦になることを覚悟しておいてください』とお伝えしてから契約を結びます。受け入れがたい事実ばかり突きつけられるので、メンタルを強く持っていないとキツいですからね。この案件は、終了するまでに半年かかりました」。

別れさせ工作、費用は実際いくらかかるのか

結果、そのパパ活のおふたりはどうなったんでしょうか。「パパ活関係は解消して、良き友人関係を続けています。依頼主は50代、相手の女性は20代前半なので、真剣交際に至るかどうかはなんともいえませんが、パパ活という利害関係から純粋な友達に昇格したことは、一歩前進と言っていいでしょう」。

これで費用はいかほどに?「着手金240万円、成功報酬66万円+経費になります」。パパ活の相手と本命君を別れさせるのにこんな高額を?と思うかもしれないが、別れさせ工作にはディレクター、調査員、工作員など、総勢15名のスタッフがかかわり、半年もの期間を要したことを鑑みると、リーズナブルといえるのかも……? 

「別れさせ屋というと、カップルの関係を壊して何が楽しいのかという印象を持たれる方も多いかもしれませんが、私たちは極めてポジティブです。悩まれている方のサポートをして、現状を打破し、次のステップに進んで人生を充実してほしい、という思いの上にお手伝いしています」。

うーん、別れさせ屋、奥が深い。何かあった時の駆け込み寺として利用することが、この先あなたにもあるかもしれませんよ。