2022年に国内で一番売れた軽自動車は何だったのだろうか? 全軽自協(一般社団法人 全国軽自動車協会連合会)が発表した人気車ブランドのランキングを紹介しよう。
2022年軽自動車人気車種TOP15
順位 | ブランド通称名 | ブランド名 | 販売台数 |
---|---|---|---|
1 | ホンダ | N-BOX | 202,197 |
2 | ダイハツ | タント | 107,810 |
3 | スズキ | スペーシア | 100,206 |
4 | ダイハツ | ムーヴ | 94,837 |
5 | スズキ | ワゴンR | 82,213 |
6 | 日産 | ルークス | 72,600 |
7 | スズキ | ハスラー | 70,373 |
8 | スズキ | アルト | 67,204 |
9 | ダイハツ | ミラ | 65,317 |
10 | ダイハツ | タフト | 56,861 |
11 | 日産 | デイズ | 43,864 |
12 | ホンダ | N-WGN | 42,330 |
13 | スズキ | ジムニー | 41,405 |
14 | 三菱 | eK | 27,145 |
15 | 日産 | サクラ | 21,887 |
※通称名についてはメーカーごとに同一車名のものを合算して集計(アルト、ワゴンR、ミラ、ムーヴ、eK、ピクシスなど) ※eKにeKクロス EVは合算せず
1位:ホンダ「N-BOX」
今や知らない人はいない「N-BOX」は、ホンダが販売する軽スーパーハイトワゴン。現在は2代目だが、2011年に登場した初代から、シンプル&クリーンで誰にでも好まれるデザインと、ホンダの持つブランド力や質感の高さで、軽自動車では8年連続で販売台数第一位を誇るベストセラーとなっている。また、2022年はトヨタの「ヤリス」や「カローラ」などの小型・普通自動車を含めて、国内販売台数で1位に返り咲いた。
初心者や女性でも運転しやすい工夫や、特許技術の「センタータンクレイアウト」によって、27インチの自転車もラクに積み込める広い室内空間の確保など、ホンダ車らしい画期的なアイデアが活かされている。もちろん、「Honda SENSING」といった先進の安全運転支援システムも充実。ベーシックタイプ以外にも、エッジの効いたフロントマスクの「カスタム」や、2トーンカラー、エンジンもターボ仕様が選択可能だ。
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2位:ダイハツ「タント」
ダイハツの「タント」は、今や軽自動車の売り上げの大半を占めている軽スーパーハイトワゴンの元祖ともいえるモデル。子育て女性をメインターゲットとし、2003年に登場した初代は後席も一般的なヒンジ型のドアだったが、2007年の2代目で助手席側をセンターピラーレスのスライドドアとし、大開口の「ミラクルオープンドア」という「タント」独自のユーティリティ性能を実現している。
現行の3代目でも基本コンセプトは進化・継承され、トヨタ「TNGA」のダイハツ版である「DNGA」プラットフォームを採用し、従来モデルよりも走行性能を大幅に向上させた。そのほか、エンジンやCVTも全面刷新に近い改良でキビキビとした走りと低燃費を両立し、予防安全機能「スマートアシスト」も装備している。バリエーションモデルは、従来からラインアップしている上級モデル「カスタム」のほか、2022年10月にはSUVテイストの「ファンクロス」も追加された。
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3位:スズキ「スペーシア」
今や軽自動車のメインストリームである「軽スーパーハイトワゴン」3強の一角がスズキの「スペーシア」。首位の「N-BOX」は独走気味だが、同じ軽自動車専業メーカーのライバルであるダイハツの「タント」とは抜きつ抜かれつの競争を繰り広げている。ほかのスーパーハイト系同様、幼い子供を持つファミリー層をターゲットとしており、広い室内には数多くの収納ボックスやシートアレンジで使い勝手を向上させている。
基本モデルはスーツケースをモチーフにしたクリーンなデザインだが、大型のメッキグリルを装備した上級モデルの「カスタム」や、SUVテイストの「ギア」、さらに車中泊などアウトドア志向の強いユーザー向けに、4ナンバー軽の「ベース」も加えられた。そのほか、現在の乗用車としては必須の予防安全技術「スズキセーフティサポート」のほか、事故や故障時にオペレーターとつながる「スズキコネクト」も搭載されている。
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4位:ダイハツ「ムーヴ」
ダイハツ「ムーヴ」は現在主流のスーパーハイト系よりも車高が低く、後席のドアを一般的なヒンジ型としたトールワゴン。1993年に大ヒットしたスズキの「ワゴンR」を徹底的に研究した競合車として2年後にリリースされ、以降は両者間で行われた販売競争の主力を担ってきたモデルだ。ダイハツはこのモデルに対する思い入れが強く、独創的なギミックは「タント」に任せ、誰でも使いやすい乗用車としてのバランスを重視している。
「ムーヴ」はより多くのユーザーに応えるため、過去にも「ラテ」や「コンテ」、「カスタム」といった派生モデルを生み出してきた。スーパーハイト系が主流になると、これらよりも車高が低く、シリーズ初の後席スライドドアとレトロポップなデザインを採用した「キャンバス」をリリースし、女性ユーザーを中心に大ヒットした。2022年のモデルチェンジではパワフルなターボエンジンのグレードも加えられている。
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5位:スズキ「ワゴンR」
現在の軽自動車の主流は車高の高いスーパーハイト系だが、「ワゴンR」は、そのきっかけにもなったトールワゴンの始祖。1993年に登場した初代は、それまでハッチバックが主流だった軽自動車の世界にセンセーショナルを巻き起こし、現在のホンダ「N-BOX」と同様、小型・普通自動車を含めて日本一の販売台数を誇った歴史を持っている。
6代目となる現行モデルは、エンジンにマイルドハイブリッドやターボも装備し、男性ユーザー向けの「スティングレー」や「カスタムZ」といった特別仕様車も揃えている。直接的なライバルはダイハツの「ムーヴ」だが、その派生モデルとしてヒットした「キャンバス」の対抗馬として、同様のパッケージングを持った「スマイル」も追加した。2021年10月は「N-BOX」がモデルチェンジ直前だったこともあるが、このモデルを加えたことで6年10カ月ぶりに首位に返り咲いている。
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軽自動車では8年連続、自動車全体でも1位に返り咲いた王者「N-BOX」
2022年は自動車全体でもホンダの「N-BOX」が20万台以上を売ってトップに返り咲いた。小型・普通自動車は納期遅れの影響もあったが、トヨタの「ヤリス」や「カローラ」、同じ軽自動車のダイハツ「タント」、スズキ「スペーシア」が流行りのSUVモデルという派生モデルを投入して台数を稼いでいるのに対し、「N-BOX」は単一のボディで貫禄勝ちをおさめている。
軽スーパーハイトワゴンはホンダ、ダイハツ、スズキに加え、日産「ルークス」の4強時代が続いていたが、SUVブームでスズキは「スペーシアギア」や「スペーシア ベース」を追加。ダイハツも追うように「タント ファンクロス」で対抗してきた。日産にSUV版はないが、三菱との合弁会社NMKVで作られた「ルークス」の姉妹車にあたる三菱「デリカミニ」が5月に発売される予定で、独特のフロントマスクが注目を集めている。
王者のホンダ「N-BOX」は現在2代目だが、2023年の秋にモデルチェンジが噂されている。6年目でもこれだけ売れているためキープコンセプトになるはずだが、その時にライバルに対抗してSUVタイプが追加されるかも注目だろう。ただ、ホンダとしては「N-BOX」を売りたいものの、ほかのNシリーズや、小型・普通自動車の「フィット」「フリード」の購入ユーザーまで取り込んでしまうというジレンマもあるはずだ。
また、スーパーハイト系が現れるまでは軽自動車のメインストリームだったトールワゴンでも、ダイハツ「ムーヴ」とスズキ「ワゴンR」が、それぞれ「キャンバス」と「スマイル」という派生モデルで競っている。高すぎない車高と使い勝手のよいスライドドアや、愛嬌のあるデザインが女性に受けているようだ。