島根県の津和野という場所をご存じだろうか? 150年以上前からほとんど変わっていないのではないかと思えるほどにのどかな場所だ。そんな津和野を電動自転車に乗って巡る「keep the time~日本遺産・百景図を巡るサイクリングツアー~」がある。
これは津和野のYu-na推進協議会が運営する体験型観光のプログラムの一つ。「ゆうな」とは、「ゆったりした」という意味を持つ津和野の方言で、その名の通り、ゆったりとした時間を過ごしながら津和野の魅力を五感で体験することができる。
サイクリングツアーのテーマは「Keep the Time」。遥か昔から全く変わっていない津和野の情景を、日本遺産「津和野百景図」を軸に巡っていく。「津和野百景図」とは、最後の藩主亀井茲監に仕えた栗本里治が約4年の年月をかけて描いた100枚の絵。津和野で昔の人がどのように過ごしていたのかが詳細に描かれている。
津和野駅前の「津和野百景図」がずらりと並べられたポスターの前に集合し、電動自転車をお借りする。
電動自転車の使い方などを簡単な説明を受けたらいざ出発だ。
サイクリングしながらたっぷり観光
津和野駅前から本町通りを通り、そして殿町通りに入る。ガイドさんが取り出したのは「津和野百景図」の1枚に描かれた景色。今とほとんど変わらないことに驚く。場所ごとに歴史的背景や見どころなどを教えてもらえる。
殿町通りは道沿いに掘割があり、何匹もの鯉が泳いでいる。
「この中におでこにハート模様の鯉がいるので見つけてみてくださいね!」。そんな観光の楽しみ方も教えてもらえるのがおもしろい。
続いて到着したのは津和野川の前。3月下旬だったこともあり、桜が綺麗に咲いていて、記念写真撮影にも良い。
近くにはスサノオノミコトを祀っていることで知られ、室町時代に吉見氏によって創建された古社・弥栄神社がある。入り口に大きな鳥居があるが、この日は補修工事中。それはそれでレアな景色に出会うことができた。
津和野川沿いを走っていく。
参加者複数人で並んで走っていくので安心感がありつつも、適度な距離感で進むので開放感もある。
こんな景色はなかなかお目にかかれない……! サイクリングをする環境としてこれ以上ないくらい気持ちがいい。
そして驚いたのは地元の方とすれ違う度に、小さなお子さんからおじいちゃんおばあちゃんまで全員から元気に「こんにちは!」と挨拶されたこと。こんなにもあたたかい町ってあるだろうか。
津和野川沿いの美しく並べられた護岸も見どころのひとつ。手前の柵にピンクのリボンが結ばれている場所の近くにはハート型に並べられた石組みがあるので、走りながら見つけることができたらラッキーだ。
津和野駅から3.7kmほど走った場所には鷲原八幡宮がある。毎年4月の第一日曜日には流鏑馬が行われることで有名だ。こうして自転車でぐるりと津和野のメジャーな名所を巡ることが出来るのもツアーの魅力のひとつだ。
価格は1人3,000円。約3時間かけて最後は集合場所の津和野駅前に戻ってくることができる。初めて津和野を訪れる人、自転車で風を感じながら効率よく津和野観光をしたい人におすすめだ。
取材協力: ゆとりろ津和野