福岡市交通局は26日、七隈線延伸開業式典・特別列車発車式を行った。七隈線延伸区間(博多~天神南間)の開業前日に特別列車が運転され、福岡市長の高島宗一郎氏らによる合図で博多駅を発車した。ホーム端に「福博連理」の銘板も掲げられた。

  • 福岡市地下鉄七隈線の延伸区間がいよいよ明日開業。福岡市の高島市長が発車の合図を行った

    福岡市地下鉄七隈線の延伸区間がいよいよ明日開業。前日の特別列車発車式にて、福岡市の高島市長が発車の合図を行った

七隈線延伸開業式典は11時から博多駅の地下4階コンコースで行われた。主催者挨拶で登壇した高島市長は、七隈線の天神南~橋本間が2005年に開業した後、天神南駅からの延伸に関して、「2011年の3月議会、私が(市長に)就任して3カ月の間に決めなければ国の補助メニューが終わるという中で、このまま(天神南駅までで)終わるか、それとも延伸するかの決断を迫られました。12年前の3月、博多駅に直結するということで市議会の議決をいただき、決断したわけです」と振り返った。

高島市長は、延伸区間の工事が進む中で2016年に発生した博多駅前の陥没事故にも言及。「その際は多くの皆様にご協力いただき、1週間で復旧となりました。市民生活やビジネスへの影響を最小限に抑えつつ、復旧に至ったわけで、本当にあのときのことは忘れることができません」と話し、感謝の気持ちを示した。延伸の決断から12年、陥没事故から6年半近く経ち、ようやく開業の日を迎えられることに、感慨もひとしおといった様子だった。

博多駅の七隈線ホームに「福博連理」の銘板が掲げられており、高島市長が自ら揮毫(きごう)したものだという。「連理」は1本の木の枝が他の木の枝と連なり、木目が通じ合っている状態を意味する言葉で、古来から吉兆の現れとされる。「福岡と博多という2つのエリアが1つになり、大きな力となって、ともに発展していく。そして福岡全体が大きく発展するということで、造語として『福博連理』という言葉を揮毫しました」とのことだった。

延伸区間の博多~天神南間が開業することにより、「福岡市の西南部地域から博多駅までの交通アクセスが格段に向上し、市民の皆様にもご活用いただけると思います」と高島市長。博多駅で空港線・七隈線の改札内乗換えが実現することで、福岡市地下鉄のネットワーク機能が向上することにも期待を示した。「コロナ禍を脱し、日常が戻りつつある中、(七隈線の)延伸開業が福岡市で生活し、活動される多くの皆様に幸いをもたらすことを祈っています」と述べた。

  • 七隈線延伸開業式典で高島市長が挨拶。続いて行われた建設経過報告でも、2016年の陥没事故について説明があった

  • 特別列車発車式にて、高島市長ら出席者によるテープカットとくす玉開披が行われた。天神方のホーム端に、高島市長が揮毫した「福博連理」の銘板も

式典の後、地下5階の七隈線ホームへ移動。特別列車発車式にて、高島市長をはじめ出席者がテープカットとくす玉開披を行った。博多駅からの特別列車は3000A系を使用して運転され、式典の出席者らは博多~櫛田神社前間を往復で試乗可能だったという。12時10分、特別列車は高島市長と博多管区駅長の合図で博多駅を発車した。