ReBitは3月22日、「LGBTQ医療福祉調査2023」を発表した。同調査は1月15日~2月12日、LGBTQの1,138名(うち有効回答961名)を対象にインターネットで実施した。

  • 障害に関する経験(過去10年)

障害に関する経験(過去10年)について尋ねたところ、41.2%が「精神障害」を経験したと回答した。内閣府の「令和2年度 障害者白書」では、身体障害者は3.4%、知的障害者は0.9%、精神障害者は3.3%であるが、同調査の回答者の分布と比較すると、精神障害者が12.5倍と高い割合であることがわかった。

この背景には、「学齢期のいじめ」(41.6%)、「求職・就労に関する困難」(39.3%)、「セクシュアリティに関するハラスメントやアウティング経験」(45.7%)など、さまざまな困難があると同法人は考えている。障害者手帳の所有について聞くと、18.2%が「精神障害保健福祉手帳」を所有していると回答した。

自殺念慮、自殺未遂、自傷行為の経験について尋ねたところ、64.1%が自殺念慮、26.7%が自殺未遂、40.0%が自傷行為を経験したと回答し、LGBTQは自殺におけるハイリスク層であることがわかった。

特に障害・難病があるLGBTQは、79.3%が自殺念慮、41.3%が自殺未遂、50.9%が自傷行為を経験しており、自殺におけるリスクはさらに深刻になっている。日本財団の『日本財団第 4回自殺意識調査(2021)』と比較し、障害・難病のあるLGBTQの自殺念慮は3.3倍、自殺未遂経験は6.7倍高い状況にあるという 。

生活困窮に関する経験について尋ねたところ、46.8%が「生活困窮を経験した」と答えた。内訳は「お金がないために食事やイベントの誘いを断った」(29.2%)が最も多く、「預金残高が1万円以下になった」(26.4%)、「経済的に困窮し、生活を維持できなかった/なりそうだった」(22.0%)と続く。

  • 生活困窮に関する経験

障害・難病があるLGBTQに関しては、62.2%が生活困窮を経験したと回答した。障害・難病がないLGBTQに比べて、障害・難病があるLGBTQは「生活保護や給付金等の金銭的な支援を受けた/必要とした」割合が7.5倍高い。

最終学歴が小学~高校のLGBTQの62.6%は生活困窮を経験したと回答した。最終学歴が大学~大学院のLGBTQに比べて、最終学歴が小学~高校のLGBTQは「生活保護や給付金等の金銭的な支援を受けた/必要とした」割合が2.8倍高かった。

  • 生活困窮に関する経験(比較)

障害・難病があるLGBTQに、障害・生活困窮に関する行政・福祉サービスの利用経験について聞くと、46.0%は必要時も障害に関する行政・福祉サービス等にアクセスしていないことがわかった。また、金銭や生活基盤で困った際、LGBTQの52.4%が、生活困窮に関する行政・福祉サービス等にアクセスできていなかった。行政・福祉サービスにアクセスしない理由として、49.6%がセクシュアリティに関する不安や困難を挙げている。

  • 障害・生活困窮に関する行政・福祉サービス利用経験(過去10年)

行政・福祉関係者にセクシュアリティについて安心して話せるか尋ねると、95.4%は「話せない」と答えた。行政・福祉サービス等を利用した際にセクシュアリティについて支援者に伝えなかった理由を聞くと、47.9%が「ハラスメントやアウティング(第三者へセクシュアリティを勝手に暴露されること)」と答えている。

また、支援者にセクシュアリティを伝えなかったことで、53.5%が「必要・適切な支援が受けられなかった」と答えた。

  • 障害・生活困窮に関する行政・福祉サービス利用時の支援者との関係

障害や生活困窮に関する行政・福祉サービスを利用した際の困難経験を聞くと、78.6%が「セクシュアリティに関する困難を経験した」と回答した。それにより、31.0%が「病状悪化・心身不調」経験している。さらに21.8%が「自殺を考えた/自殺未遂をした」と答えている。

  • 障害・生活困窮に関する行政・福祉サービス利用時の困難経験(過去10年)