カゴメは2023年度の春夏新商品に関する記者発表会を開催。100年以上の歴史を持つカゴメトマトケチャップの新商品「旨辛ホットチリケチャップ」「スパイシーカリーケチャップ」、発売から28年になるロングセラーブランド「野菜生活100」のリニューアルなどが紹介された。

また、本発表会に登壇したマーケティング本部の鶴田秀朗氏と西村晋介氏は、同社の商品カテゴリーに関連する市場や生活者動向などを説明した。

■ウィズコロナ・アフターコロナに向けた3つの重点施策

飲料企画部長の鶴田氏は発表会冒頭、コロナ禍直前の2020年1月までの1年間と比較した、飲料の各カテゴリー別の市場動向を紹介。2022年度の大きな環境変化として、食品の値上がりによる消費者の生活防衛意識の高まりに言及しつつ、健康飲料カテゴリーの堅調さを語った。

「弊社の野菜飲料もこの2月から出荷価格の改定を行い、店頭の価格にも反映がされ始めています。そうした中で売れ行き好調なのが「トマトジュース」と「植物性乳酸菌ラブレ」です。「ラブレ」シリーズは2021年秋に「肌の潤いを守る」という機能性表示を付けたことで、ユーザーが増えました。2022年秋には使用していた動物性発酵乳を大豆飲料に置き換え、100%植物性に変更しています。また、トマトジュースは2022年度、過去15年で最高の出荷実績を記録。どちらの商品も昨今の美容への関心の高まりから売れ行きが拡大傾向にあります」

トマトジュースに関しては肌に良いリコピンやむくみをとるカリウムなど、トマトの栄養価がSNSで拡散され、20代~30代と若年層の購入率が増加していることが最近の特徴のようだ。

続いて、鶴田氏は今年度の生活者キーワードを「外食機会の復活」「内側からの美容」「物価値上がり・買い控え」と紹介。同社は「バリューアップ」「美容ニーズ対応」「新領域への拡張」を掲げた施策を、この春夏に展開していくとした。

「まずは主力の「野菜生活100」のバリューアップです。現在4フレーバーがレギュラーとなっていますがパッケージを一新し、野菜60%、フルーツ40%という構成を野菜70%、フルーツ30%と野菜量をアップ。飲みやすさはそのまま、よりすっきりとした美味しさにリニューアルします」

美容ニーズの対応では、通常の「野菜生活」と比べて糖質30%オフを実現した「野菜生活」ブランドの新商品「発酵クレンズ」と、美容とリラックスを提案するフルーツ飲料「ハーブ香る果実」を発売する。

「手軽に食物繊維や野菜が摂れて、ちょっとしたクレンズダイエット(1日の食事を全てジュースに置き換えるダイエット)の気分が味わえる商品です。糖質30%オフを実現するため、3年かけて開発した「発酵にんじん汁」を原料に使用しています。テキーラを醸造する際に用いられる微生物を使い、微生物が糖質を分解する過程で食物繊維が発生します。糖質が7割減って、食物繊維が倍になるという優れた発酵素材です」

「発酵ピーチ&ジャスミン」「発酵白ぶどう&カモミール」を展開する「ハーブ香る果実」は、夕方や夜のリラックスシーンで“ココロやすらぐキレイ習慣”を提案するといったコンセプト。砂糖を使わない、すっきりとした美味しさが特徴で1日分のビタミンCや食物繊維を摂取できるという。

「さらに新領域の拡張では畑生まれのやさしいミルク「焙煎オーツカフェ」を新発売します。原料はオーツ麦で、飲むオートミールといったかたちで豊富で腸活やダイエットに良いとされる発酵性食物繊維を美味しく摂れて、これ1本で1日に不足しているといわれている食物繊維を補えます。

同じく新領域の拡張する商品として、牛乳に混ぜるだけで子供に必要な野菜の栄養が美味しく摂れる濃縮タイプの野菜飲料「野菜生活100すくすくサラダ」を発売します。バナナやぶどうといったお子様が大好きな味で展開し、25mlに牛乳75mlで希釈すると、牛乳の栄養も摂りながら約40g分の野菜の栄養が摂れるという新商品です」

■エスニックメニューの浸透で高まるケチャップ需要

発表会後半では食品企画部長の西村氏より、前年比での調味料カテゴリー数量の動向が紹介された。

「まずはトマトケチャップを含むトマト調味料です。昨年11月・12月に前年を超えており、トマトケチャップを使ったメニューの食卓出現頻度が上がっています。お子様も含めて家族みんなで美味しく食べられる洋食メニューの出現率が昼食・夕食で上がっていること、洋食以外の中華やエスニックのメニューでケチャップが使われていることが背景です」 もともと飲食店などでも愛用されてきたケチャップだが、最近ではエスニック料理でトマトやケチャップを下地に使ったチリソースなども、外食店や総菜などで使われるように。レシピ投稿サイトの中でもケチャップを使ったメニューのシェアが上がっているという。 コロナ禍で外食の味わいを自宅で再現する傾向が強まり、外食構成比が高かった洋食、旨辛スパイシーなエスニックメニューが食卓に浸透しつつあることがうかがえる。

従来の洋食からエスニックメニューに用途が拡張していることを受け、新たに発売されるのがカゴメトマトケチャップの「旨辛ホットチリケチャップ」「スパイシーカリーケチャップ」だ。

「この商品はこだわりのひとつは糖源です。ケチャップは甘さがポイントになる調味料で、レギュラーのカゴメトマトケチャップは、最初の甘さのコクや厚みを出すために砂糖の量を多くし、ブドウ糖や飲料などに使われる加糖液などの成分を使って、すっきりした甘さが残るようにしています。一方、今回のスパイシー系では砂糖よりもすっきりとした甘さのブドウ糖加糖液の量を多くすることで甘さを引きずらず、辛味・スパイシーさを引き立てているのが特徴です」

「旨辛ホットチリ」ではレッドペッパーに加え、ローストガーリックパウダーを使うことで、食欲をそそる旨味と香りを実現するなど、スパイスにもこだわったという。

「スパイシーカリーはクミンやコリアンダーなどの一般的なカレー系スパイスだけでなく、カゴメの醸熟ソースに用いる独自のスパイスを入れ、複雑な香りや旨味を感じられ、深みや厚みの味わいを実現しました」

「かけるだけで、一気にやみつき」を謳う両商品は、冷凍唐揚げやチーズトースト、コロッケなどさまざまな料理で使いやすいのも特徴のようだ。

また、消費者の嗜好の変化を踏まえ、アンナマンマ「アラビアータ」は辛さを約3倍にリニューアル。自宅でも手軽に本格的なパスタを作りたいという需要に応える。

「メニュー専用調味料のカテゴリーでは「なすと挽肉のデミチーズ焼き」も新発売します。チーズは現在、常備率が約6割の食材です。もともとトマトメニューとチーズはとても相性が良く、主にお子さんがいらっしゃる家族世帯へチーズと同じく常備素材である挽肉を使ったメニューをご提案していきます」

大豆ミートを使ったキーマカレーやミートソースなどのレトルト商品と、プラントベースフードブランドの店舗を展開するTWOとの共同開発推進という2軸で、プラントベースフード市場にも注力する同社。

TWOとの取り組みでは昨年3月にプラントベースでできたオムライスを限定販売したが、その第2弾となる共同開発商品を4月に発売予定とのことだ。