キリンビールは4月4日より、ビール酵母で発酵させたレモン果汁を一部で使用した「麒麟百年 極み檸檬サワー」を発売する。オープン価格で、市場想定価格は350ml缶が179円、500ml缶が245円。担当者は「キリングループの強みである発酵技術を活かしました。鮮烈な香りと旨味、なめらかな口当たりで満足度の高いレモンサワーになっています」とアピールする。

  • キリンビールが「麒麟百年 極み檸檬サワー」を発売

■麒麟百年 極み檸檬サワーとは?

麒麟百年 極み檸檬サワーは、皮ごと搾ったレモン果汁を含む複数のレモン果汁に、ビール酵母で発酵させたレモン果汁を加えて製造したレモンサワー。なめらかな口当たりとギュッと詰まったレモン感を実現している。なおビール酵母で発酵させたレモン果汁をRTD(Ready to Drink、栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料)で使用するのはキリンビール史上、初めてだという。

  • 麒麟百年 極み檸檬サワーは、350ml缶と500ml缶で展開する。アルコール分は5%

ビールの泡にヒントを得たという、独特の泡立ちも特徴のひとつ。キリンビールでは商品の開発で得た「発泡性アルコール飲料で『炭酸による刺激感や爽快感が抑制されたまろやかな口当たり』と『柑橘系の良好な香り立ち』を両立する技術」を特許出願中だ。

■新たな成長エンジンに

キリンビール マーケティング部の松村孝弘氏は、まず昨今の消費者のマインドの変化について「モノを買うとき、価格に見合う価値があるか吟味し、付加価値が高い商品であれば高くても購入する、という人が増えました」と紹介する。

  • キリンビール マーケティング部 カテゴリーマネージャーの松村孝弘氏

そしてRTD市場に目を転じると、市場は経年的に拡大中。キリンビールでは、2012年~2022年の10年間で約2倍の市場規模に成長したと推計する。酒税改正により第三のビール(新ジャンル)などは値上げが続くが、RTDは2026年まで現行税率のまま。このため「今後もRTD市場は緩やかに拡大を続けていくのでは」(松村氏)と分析する。

  • RTDの市場動向について

そこで同社では、人気シリーズ「キリン 氷結」を強固なブランドとして維持しながら、高付加価値の商品「麒麟百年 極み檸檬サワー」を新たに市場に投入し、第2の成長エンジンにしていきたい考え。松村氏は「2022年に過去最高の販売数量を記録した氷結ブランドをリニューアルしてさらに磨きをかけることで、中長期的に永く愛されるブランドにします。一方で麒麟百年 極み檸檬サワーはRTDになじみの薄いエントリー層に向けて訴求することで、RTD市場のさらなる間口拡大を図っていきます」と解説する。

  • RTDの取り組み方針

  • 麒麟百年 極み檸檬サワーを新たな成長エンジンにすえる

キリンビールでは、2023年にRTDでトータル約7,400万ケースを販売する計画。このうち「麒麟百年 極み檸檬サワー」は約300万ケースを販売したい、と説明している。

  • 販売目標

■開発背景について

続いてキリンビール マーケティング部 中味開発グループの永井次郎氏は、麒麟百年 極み檸檬サワーの開発背景について説明した。

  • キリンビール マーケティング部 中味開発グループの永井次郎氏

当商品で追及したのは、お酒としての満足感と飲みやすさの両立。より芳醇な味わいを目指し、レモン果汁、酵母種、発酵条件について41パターンの組み合わせを試行錯誤したと明かす。「最終的にビール酵母を使ったものが、最もこの商品にフィットしたということです」と永井氏。

  • レモン果汁、酵母種、発酵条件について41パターンの組み合わせを試行錯誤した

また泡の美味しさを追及。繊細な泡立ちにより、まろやかな口当たりと柑橘の良好な香り立ちを両立した。「炭酸といえば刺激的。爽やかに飲めるのも魅力ではありますが、通常のチューハイに比べて約8分の1もきめ細かい泡をつくったことで、通常のRTDとは異なる口当たりの美味しさを実現しました」と説明する。

  • 通常のRTDと比べて約8分の1もきめ細かい泡を実現した

■既存商品との棲み分けは?

質疑応答には、松村氏、永井氏が対応した。

先行している「麒麟 発酵レモンサワー」(2021年3月発売)との棲み分けについて聞かれると、永井氏は「発酵果汁を使用する、という点では同じですが、麒麟 発酵レモンサワーはワイン酵母で発酵させた果汁を使っています。甘味料、添加物を使わないことをポリシーに中味を設計したのが麒麟 発酵レモンサワーです」と解説。一方で、新商品の麒麟百年 極み檸檬サワーは(既述の通り)ビール酵母で発酵させたものであり、ブランドのイメージとしては「満足感が高く」「お酒の美味しさを主眼」にしている、とした。

また新商品としてレモンフレーバーを選んだ理由について聞かれると、松村氏は「現在、RTD市場の5割近くがレモンフレーバーの商品となります。これからRTDにエントリーする消費者をターゲットに想定したとき、もっとも間口が広いレモンフレーバーにすれば、気軽に商品を手に取ってもらえるのではと考えました。お客様が求めている”本格感”を満たすブランドとして展開していきます」と説明した。