先ごろ、スウェーデン大使館にて小規模なフードイベントが開催。駐日スウェーデン大使のペールエリック・ヘーグべリさんより、スウェーデンの食の豊富さについての説明があるなど、同国料理について学ぶ機会となったので紹介します。

  • 駐日スウェーデン大使 ペールエリック・ヘーグべリさん

スウェーデンはサステナブル大国

SDGs達成世界ランキング1位の環境先進国でもあるスウェーデンは、サステイナブルな食の生産や輸出にも力を入れています。

  • スウェーデン大使館の会場は「自宅のような」心地よい雰囲気

チョウザメを屠殺せずに、マッサージをするようにキャビアを出す「Swedish Black Cavia」や、脱炭素エネルギーで生産される「Norrbottens Destilleri」などがあり、2030年までの目標として、食品総生産分の50%を輸出する目標として掲げています。

「OATLY(オートリー)」もその一つ。牛乳、豆乳に次ぐ第三のミルクとして知られるオーツミルクは、スウェーデンの中でも、環境先進都市として知られるマルメ市で生まれました。製造過程で出る麦の廃棄物の再利用や、パッケージに使用する素材をリサイクル資材にこだわっています。

  • 書籍『北欧のおやつとごはん』とスウェーデンのオーツミルク「OATLY(オートリー)」

スーパーで手に入る食材で本格的な北欧料理が作れる

イベントには、北欧料理好きが高じて、北欧料理本を自費出版された三田さんも参加。2006年から毎年2~3回北欧へ訪れ、15年かけて集めた111のレシピが掲載されています。

※スウェーデン料理は47レシピ

  • 『北欧のおやつとごはん』の著者、三田陽子さん

北欧料理と聞くと、レシピが難しかったり、食材を用意したりするのが大変なのでは? と、思いますが、スーパーで簡単に手に入る材料を使い、一般家庭に合わせた量に調整しています。料理の背景についても書かれており、食にまつわる北欧の文化も知ることができる1冊です。

スウェーデン料理でほっこりする

書籍にも載っているきのこのスープをはじめ、3種類のスウェーデン料理を試食しました。

  • スウェーデン語で「スヴァンプソッパ」というきのこのスープ

スウェーデンでは秋になると、家族や友人と一緒にきのこ狩りを楽しむ人が多いそうで、森や山で摘んだ食材が食卓に上がることは一般的なのだそう。

「今回は、数種類のきのことオーツミルク"OATLY"を使い、すべて植物性の食材を使ったスープにしました。植物性の食べ物を選択することは、地球温暖化を防ぐアクションにもつながります」と、三田さん。

植物性の食材だけとは思えない程、濃厚で風味豊かな味わいにパンも進みました。

  • 大使公邸専属シェフ、ヨハンさん

  • 2食目はヨハンさんによる、牛の胸肉を4時間かけて煮込んだビーフシチュー

ほろほろのお肉と、優しい味わいにほっこり。調理に時間がかかるので、誕生日などの特別な日に作る伝統料理なのだそう。

  • デザートはスウェーデンの伝統的なお菓子「セムラ」

シュークリームのような形をした「セムラ」は、スウェーデンで春を告げるお菓子として知られています。ブリオッシュのような甘いパン生地の中にアーモンドペーストと生クリームをたっぷり詰めこんだデザートで、コーヒーとの相性抜群です。

昔は、復活祭の一連の行事である断食に備えてカロリーを蓄えるために、断食の前日に食べていたのだそう。

スウェーデンの食といえば、ミートボールやニシンの酢漬けなどが印象的でしたが、今回いただいたきのこスープやビーフシチューはほっこりする味わいで、和食とも通ずる部分があると感じました。

『北欧のおやつとごはん』には、食の背景がわかるコラムもあるので、スウェーデンの食をより身近に感じるでしょう。チェックしてみてくださいね。